11月の山は、10日と17日です。10日(日本時間では11日の未明)にはMicrosoft の月例とサポート終了 、米国の期限 が重なり、17日にはChrome 158がXSLTを止めて、RD Web Accessの画面が開かなくなります。
ただ、2つの山は同じ重さではありません。10日に並ぶものは適用する更新、止まる更新、目安の期限と中身が別々で、一度に片づけようとすると順番を誤るでしょう。
だから今回のカレンダーは、日付順に並べるだけで終わらせていません。発表元の文書で確認できた日だけを置き、「他社が決めた日」「自社で決める日」「米国の目安」に色分けしました。下期のカレンダー のあとに分かった日付を足した、11月版です。
11月を1枚のカレンダーにすると
2026年11月の予定を月のカレンダーに置いた図。青は自社では動かせない日、オレンジは編集部の案 作成: 編集部 / 出典: Microsoft Learn・CISA・Cisco・Chromeほか
公表された時刻があるものは日本時間に直したので、Cisco の勧告は5日、Zoomの最小バージョンは8日の欄に入っています。サポート終了の日は、発表元の表記のままです。
見落としやすいのは週末です。1日、7日、8日、14日、15日と、土日に5日も他社の予定が入っています。月曜の朝に気づいても遅い行があります。たとえば14日のZoom CRCなら、13日までに済ませる置き方になります。
12月以降も日付は続きます。年内は12月8日(米国)の月例、10日の週のEdge 159(XSLTが既定でオフ)、12月のCisco ISE 3.5のeMudhra修正(3.3と3.4は2027年4月)、31日のPHP 8.2のサポート終了。年明けは2027年1月12日のWindows Server 2016 と、1月20日のCiscoの次のhardening勧告です。
10日の仕事は、中身で4つに分かれる
Microsoftは月例を、第2火曜の米国太平洋時間10時ごろに出します。11月1日に米国の夏時間が終わる ので、日本では11日(水)の3時ごろ。10月より1時間遅くなります。
同じ日付でも、情シスの作業はかなり違うものです。
種類
11月10日に来るもの
その日に起きること
情シスの作業
適用する更新
Microsoftの月例
更新が配られる
11日の朝に読み、検証に回す
止まる更新
Windows 11 23H2、.NET 8・9、PowerShell 7.4・7.5、Azure Functionsのインプロセス
修正の提供が終わる
残りを数え、移行の日を決める
読む勧告
Fortinetの月例の勧告
勧告が公開される
未適用がないかを照合する
米国の目安
KEVのAdobe Commerce、Brotli
連邦機関の期限が来る
持っていれば順番を上げる
気をつけたいのは2段目です。11月10日を過ぎても、23H2のPCや.NET 8のアプリがその日に止まるわけではありません。届かなくなるのは次の修正で、カレンダーで数えると最初は12月8日(米国時間)の月例になります。
だから10日の前後に問い合わせは増えないはずで、静かなまま脆弱性だけが残っていく形になるでしょう。
ただ、同じ.NET 8でも、AWS Lambdaでは事情が違います。AWSのランタイムの表では、.NET 8の非推奨が11月10日、関数の新規作成ができなくなるのが2027年7月29日、更新ができなくなるのが8月31日です。AWSは計画のための予測の日付としていますが、10日を境に関数が使えなくなる話ではありません。
Fortinetは、Highまでの脆弱性の勧告を第2火曜に公開すると説明しています。10月に先に修正版を出した5つの製品系列 を上げた会社は、ここで中身を照合することになります。
編集部は、11日の朝に全部を片づけようとしないほうがよいと考えます。月例は検証に回す、止まる製品は数える、Fortinetは読む。その日のうちに手を動かすのは、月例の検証だけで足ります。
KEVの期限は、日本の会社の義務ではない
KEVの期限は、米国の連邦機関に向けたものです。CISA自身も、10月28日の告知で適用先を連邦の文民機関に限っています。
While BOD 26-04 applies only to FCEB agencies, CISA encourages all organizations to adopt risk-based vulnerability management and prioritize remediation of KEV Catalog vulnerabilities.
出典: CISA「CISA Adds Two Known Exploited Vulnerabilities to Catalog」
つまり日本の会社に、期限を守る義務はありません。それでもカレンダーに入れるのは、悪用の証拠があるという印だからです。
数えてみると、別の使い方も見えてきます。10月30日版のカタログで11月に期限が来るのは10件で、追加から期限までの日数は3日と14日の2通りでした。
追加から期限まで
件数
製品(期限)
3日
3件
GitLab、Cisco ASA・FTD(1日)、Ivanti Connect SecureのCVE-2026-111357(2日)
14日
7件
Plexの2件、Siemens Software Center(3日)、Adobe Commerce、Brotli(10日)、VMware ESX(11日)、Ivanti Connect SecureのCVE-2026-118527(13日)
3日の期限は、月の初めにカレンダーを作っても間に合いません。10月27日から30日の4日間だけで8件増えているので、11月も途中で割り込みが入るとみておくのが自然です。期限の差が生まれる仕組みは、Fragnesiaの記事 で説明しました。
目を引くのはIvanti Connect Secureの2件です。同じ日に追加され、同じ修正版 で直るのに、期限は2日と13日に分かれました。持っている会社が13日まで待つ理由はありません。KEVの日付をそのまま写すと、かえって遅くなる例です。
自社で決める日は、動かせない日から逆算する
11月の予定を3種類に分け、週ごとに先にやることを並べた表 作成: 編集部 / 出典: Microsoft Learn・CISA・Cisco・Chromeほか
他社が決めた日は変えられなくても、その前に置く社内の日は変えられます。起点にしたいのは、3連休の前の20日(金)です。月例が日本に届く11日から20日までは、土日を除くと8日あります。
次の表は編集部の案で、検証にかかる日数に合わせてずらして使えます。月例に悪用済みの脆弱性があれば、展開は前倒しです。
日付
自社で決める日(案)
逆算のもと
2日(月)
休むなら当番が公開機器を確認。RD Web Accessを使う端末にXSLTEnabledを配る
1〜3日のKEVの期限、4日のChrome 158の早期安定版
4日(水)
拡張機能の問い合わせを確認。RD Web Accessが開かない端末にはXSLTEnabledを配る。Ciscoの3製品を台帳で探す
3日のChrome 157、4日の早期安定版、5日のCiscoの勧告
6日(金)
ZoomのVDIプラグインなどの更新を終える。ファイアウォールの許可範囲も更新
7日のIP範囲、8日の最小バージョン
9日(月)
23H2と.NET 8・9の残りを数える
10日のサポート終了
11日(水)朝
月例を読み分け、検証機へ
3時ごろの月例
13日(金)
検証を終え、CRCの接続先の設定を更新する
14日のDNS変更
16日(月)
XSLTEnabledの配り漏れを確認し、月例の展開を始める
17日のChrome 158
18日(水)18時
再起動の期限
20日に残りを見る時間
20日(金)
連休前の点検。月例の残りとKEVの追加分
21日からの3連休
24日(火)
休み明けの点検
3連休
25日(水)
米国の窓口への質問を済ませる
26日の感謝祭
30日(月)
残り台数を報告し、12月のカレンダーを作る
12月8日の月例
18日18時は、経理の締めカレンダーの記事の文例と同じ日にそろえました。経理に知らせた日と食い違わないよう、自社のカレンダーでも1か所にまとめておきたいところです。
Chromeだけは別の筋で動きます。Chrome Platform Statusの予定では、158の早期安定版は11月4日に始まります。17日の安定版より前に、一部の端末で同じ症状が出るかもしれません。
そこで案では、RD Web Accessを使う端末に、祝日の前の2日までにXSLTEnabledを配っておきます。連休明けに「開かない」という問い合わせが来たら、まず早期安定版を疑い、その端末へ同じポリシーを配ります。
もっとも、このポリシーは一時しのぎです。Chromeでは176(2027年8月17日)で使えなくなる予定だからです。MicrosoftはHTML5のWebクライアントに移る回避策も挙げていて、長く使う入口の比べ方はRD Web Accessの記事 に書きました。
3日と23日で、当番の置き方が変わる
11月3日は火曜日です。2日(月)に休みを足すと、10月31日から4連休になります(AI対談の回 )。ところがこの4日間に、KEVの期限が1日、2日、3日と続き、最後の日にはChrome 157の安定版が来ます。
全員が休む会社では、公開機器を見る人がいないまま水曜を迎えることになります。
2日を休む会社でも当番を1人置き、公開機器の版を見る作業だけを頼む形なら、負担は小さいはずです。ほかは4日でも間に合います。
一方、23日は月曜なので、21日から3連休。20日に展開を終える理由はここにあります。その次の週は、26日が米国の感謝祭です。米国に窓口がある製品への質問は、25日までに出しておくと返事を待つ時間が読みやすいでしょう。
もう1つ、予定表そのものにも注意が要ります。Microsoftは、Outlookの祝日カレンダーについて、日本の2026年の残りと2027年の祝日が欠けていることがある と案内しています。当番表を作るときは、内閣府の一覧で3日と23日を確認してください。
うちの会社に関係する行の絞り方
カレンダーの全部が当てはまる会社は、まずありません。台帳を横に置いて、関係しない行を消すところから始めます。
17日のChrome 158で困るのは、RD Web AccessのページをChromeで開いている会社です。Edgeは12月10日の週の159からです。
RD Web Accessを使っていなくても、XSLTに頼る社内のWebページがあれば同じように表示できなくなります。ChromeのLegacy Technology Reportで利用の有無を確認できます。
10日の23H2は、Enterprise、Education、IoT Enterpriseで23H2が残っている会社が対象です。Home・Proの23H2は2025年11月11日に終わりました。
10日の.NETとPowerShellは、自社開発や委託開発のアプリ、運用スクリプトを持つ会社に関係します。委託先に版を聞かないと分からないことが多い行です。
8日のZoomは、VDIプラグイン、Zoom Phone Local Survivability、Meeting SDK(Web)を使う会社だけです。ほかのクライアントは8月の要件のままです。
14日のZoom CRCは、会議室の機器をSIP/H.323でつなぐ会社が対象です。
灰色のKEVの行は、製品を持っていなければ消してかまいません。ただし、委託先が運用する機器は台帳に載っていないことがあります。
カレンダーに載せなかった日
確認できなかった日は、予定らしく見えても置いていません。
AdobeとSAP、Oracleは、公式のページを今回読めませんでした。Adobe とSAP は10月に第2火曜の13日で更新を出し、Oracle は毎月第3火曜に修正を出すとしています。11月の第2火曜は10日、第3火曜は17日です。同じ周期で来るとみて、日付は各社の告知を見てから入れるのが安全です。
Androidの11月の告知は、まだ一覧にありません。2026年の公開日は、1月から10月まで9月の8日を除いて第1月曜でした。11月の第1月曜は2日ですが、予告ではありません。
eMudhraの残りのルートについて、Googleは10月20日の発表で調査中とするだけで、日付を示していません。
経理、税、労務の期限は受け持ちの外です。ITの準備が要るものは、ベンチャー・スピリット!の年末調整の電子化の進め方 とe-Taxの2027年1月の変更 にあります。情シスの分担は年末調整の「ログインできない」の記事 で扱いました。
今日から2日までの手順
カレンダーの青と灰色の行から、自社の製品に当たるものだけを予定表に写します。
Ivanti Connect Secure、GitLab、Cisco ASA・FTDを持っていれば、版を確認します。Ivantiは10月13日の修正版(25.1.1.2・22.8R2.5)に上げた機器も、25.1.1.3か22.8R2.6への更新が要ります。25.1.3.0以降は対象外です。
11月2日に休む人を確認し、公開機器を見る当番を決めます。
11月1日にe-Govの電子納付が止まることを、経理と総務に伝えます。
RD Web Accessを使っている部署があるかを、リモート接続の担当に聞きます。使っていれば、2日までに端末へXSLTEnabledを配ります。
カレンダーは作った日から古くなり始めます。古くなるのが早いのは灰色の行です。青の行でも、Chrome、Edge、AWS、Ciscoの日付は予定や目標なので、動くことがあります。月曜の朝にKEVの一覧と各社の予定を見直す時間を、毎週1回入れる。このカレンダーに最初に足すのは、その1行で十分です。
日付は2026年10月31日に公式の資料で確認しました。KEVは2026.10.30版、AWS Lambdaの日付はAWSの予測です。各社が予定を変えることがあるので、作業の前に発表元を見てください。