米Oracleは米国時間2026年10月20日(日本時間21日)、四半期ごとの定例セキュリティ更新「Critical Patch Update(CPU)」を出しました。新しい修正は1,295件で、Java SE、MySQL、VirtualBox、WebLogic Server、E-Business Suiteなど、社内でよく使う製品が並びます。あわせて、Oracle JDK 21の更新版は今回から、無償で使える範囲が狭いライセンスでの提供に変わりました。修正の適用と、ライセンスの確認の、両方が必要です。
1,295件の内訳
Oracleのアドバイザリは、製品のまとまり(ファミリー)ごとに件数を示しています。件数の多いものと、社内で使うことが多いものを抜き出しました。認証なしの件数は、ネットワーク越しに、ログインせずに悪用できるとされたものです。
| 製品のまとまり |
修正 |
うち認証なしで悪用できる |
最も高いCVSS |
| Fusion Middleware(WebLogic Server、Access Managerなど) |
206件 |
134件 |
10.0 |
| E-Business Suite |
194件 |
31件 |
10.0 |
| Database製品(Database Server、Essbaseなど) |
126件 |
41件 |
9.9 |
| Siebel CRM |
122件 |
66件 |
9.9 |
| Communications |
110件 |
77件 |
9.8 |
| PeopleSoft |
109件 |
41件 |
9.8 |
| JD Edwards |
102件 |
44件 |
10.0 |
| MySQL |
98件 |
29件 |
9.8 |
| Java SE |
55件 |
49件 |
7.5 |
| Virtualization(VirtualBox) |
6件 |
0件 |
8.4 |
表の全体を当社で数えると、認証なしで悪用できるものは590件、CVSS 9.0以上は112件、10.0は6件でした。同じCVEが複数の製品に出てくるため、CVE番号で数えると1,209件です。
OracleのCPUのアドバイザリの冒頭。修正を遅れずに当てるよう強く勧め、今回の修正が1,295件だと書く出典: Oracle「Critical Patch Update Advisory - October 2026」(引用)
特定の脆弱性が悪用されているという記載は、アドバイザリにはありません。それでもOracleは冒頭で、すでに修正を出した脆弱性を狙う攻撃の報告を受け続けており、修正を当てていなかった顧客が被害にあった例もあると書き、サポート中の版を使い、修正を遅れずに当てるよう強く勧めています。
外から届くサーバー製品は、10.0と9.8が並ぶ
点数が高いのは、インターネットや社内のネットワークに口を開けて動くサーバー製品です。
- WebLogic Server: 11件。CVE-2026-91323(HTTP)とCVE-2026-83399(T3・IIOP)は、認証なしで悪用でき、CVSSは9.8です。対象は12.2.1.4.0、14.1.1.0.0、14.1.2.0.0、15.1.1.0.0です。
- Access Manager: CVE-2026-87337(認証の仕組み)は認証なしで、CVSSは10.0です。対象は12.2.1.4.0と14.1.2.1.0です。同じFusion MiddlewareのSOA Suiteにも、10.0が3件あります。
- E-Business Suite: CVE-2026-101809(ワークフローの通知メールの機能)は認証なしで、CVSSは10.0です。CVE-2026-101767(共通の基盤)も認証なしで9.8です。対象は12.2.3〜12.2.15です。
- Database Server: 14件で、最も高いのはCVE-2026-75803の9.8です。中に組み込まれたOpenSSLの脆弱性で、TLSの接続を通じて、認証なしで悪用できるとされています。対象は19.3〜19.32と、23.4.0〜23.26.3です。
E-Business SuiteとWebLogic Serverは、過去にも攻撃に使われたことがある製品です。外から届く場所に置いているなら、今回の修正を最初に当てます(当社の見立て)。
Java SE: 55件、更新後の版と、JDK 21のライセンス
Java SEの修正は55件で、うち49件は認証なしでネットワーク越しに悪用できるとされています。CVSSは最も高いもので7.5です。Oracleが示す、更新後の版は次のとおりです。
| 系列 |
更新後の版 |
| Java 27 |
27.0.1(Java 27の初めての更新) |
| Java 25 |
25.0.5 |
| Java 21 |
21.0.13 |
| Java 17 |
17.0.21 |
| Java 11 |
11.0.33 |
| Java 8 |
8u511 |
Oracle JDK 21は、今回の21.0.13から、ライセンスが「Oracle Technology Network License Agreement for Oracle Java SE(OTN)」に変わりました。これまでの21の更新版は、商用の本番でも無償で使える「Oracle No-Fee Terms and Conditions(NFTC)」でした。OTNは、個人の利用や開発での利用は無償ですが、NFTCで認められていた使い方の一部はできなくなるとOracleは書いています。
JDK 21.0.13のリリースノート。21の更新版で初めてOTNのライセンスで提供すると書く出典: Oracle「Java SE Development Kit 21, 21.0.13 Release Notes」(引用)
Oracleのサポートの予定表によると、Oracle JDK 17はすでに2024年10月の更新版からOTNです。無償のライセンスで使い続けたい人は、Oracle JDK 25以降に移るよう案内しています。Oracle JDK 25の更新版は、2028年9月より後に出るものからOTNに変わる予定です。
つまり、社内の業務システムや、配った端末でOracle JDK 21を本番に使っている場合、21.0.13に上げると、ライセンスの条件が変わります。上げないと、脆弱性が残ります。どちらを選ぶかは、情シスだけでなく、契約の担当と一緒に決める話です。
MySQLとVirtualBox
- MySQL: 98件で、うち29件は認証なしで悪用できます。9.8の2件は、MySQL Serverと、バックアップの道具のMySQL Enterprise Backupに組み込まれた、curl(CVE-2026-9547)とOpenSSL(CVE-2025-15467)の脆弱性です。MySQL Serverの対象は8.4.0〜8.4.12、9.7.0〜9.7.3、26.7.0〜26.7.1です。
- VirtualBox: 6件で、認証なしでネットワーク越しに悪用できるものはありません。最も高いのは8.4です。6件とも、悪用には何らかの権限が要る型です。修正版の7.2.22は10月20日に出ています。
次の修正の予定
Oracleは、セキュリティの修正を毎月第3火曜(米国時間)に出すとしています。今回は四半期ごとのCPUで、次の4回は次のとおりです。
- 2026年11月17日: CSPU(月ごとの修正)
- 2026年12月15日: CSPU
- 2027年1月19日: CPU(四半期ごとの定例)
- 2027年2月16日: CSPU
日本時間では、それぞれの翌日の朝になります。今年のCPUは今回が最後ですが、11月と12月にも修正は出ます。
影響する会社・しない会社
- 影響する: Oracle JDKやJavaで動く業務アプリを使う会社です。社内の端末やサーバーに、Oracle JDK 21が入っている会社は、修正とライセンスの両方を確かめます。
- 影響する: WebLogic Server、Access Manager、E-Business Suite、Database、MySQLを自社で動かす会社と、それらを使うシステムを外部に任せている会社です。
- 影響する: 開発や検証の端末でVirtualBoxを使っている会社です。
- 影響しない: Oracleの製品を使っていない会社です。ただし、パッケージソフトや機器の中にJavaやMySQLが入っていることがあり、使っていないつもりでも入っていることがあります。
情シスが今日やること
- 外から届くOracle製品を先に洗い出す。 WebLogic Server、Access Manager、E-Business Suiteが、インターネットや取引先から届く場所にないかを確かめ、あれば今回の修正の予定を最初に組みます。外部に保守を任せているなら、保守会社に適用の日程を問い合わせます。
- Javaの版と配布元を数える。 資産管理の道具で、端末とサーバーに入っているJavaの版と、Oracle JDKか、それ以外の配布元かを分けて数えます。上の表の版より古いものは更新の対象です。
- Oracle JDK 21の本番利用を、契約の担当と決める。 本番で使っている場合は、21.0.13のライセンス(OTN)の条件を読み、Oracleの契約を結ぶか、無償で使えるOracle JDK 25以降に移るか、別の配布元のJDKに替えるかを決めます。決まるまでの間、更新をしないまま放っておかないようにします(当社の見立て)。
- MySQLとVirtualBoxの版を確かめる。 MySQL Serverは対象の版より新しい版へ、VirtualBoxは7.2.22へ上げます。MySQL Enterprise Backupを使っている場合も、同じく上げます。
- 11月17日の修正も予定に入れる。 次は日本時間11月18日の朝に、月ごとの修正(CSPU)が出ます。Oracleの修正が毎月出る前提で、確認の担当と時間を決めておきます。