「エラーが出ました」
チャットに届いたのは、その一言と写真が1枚。モニターを斜め上から撮った写真で、画面いっぱいに虹色の縞が走り、肝心のメッセージは蛍光灯の映り込みで白く飛んでいます。右下の時計は、指で隠れて見えません。
送った人に悪気はありません。スマホで撮るほうが、ずっと早いのです。ただ、この写真からはエラーの番号も時刻も読めず、情シスは「もう一度送ってもらえますか」と返すことになります。
頼み方を一言変えるだけで、届く画像はかなり変わります。反対に、スマホで撮ってもらうしかない画面もある。その線引きを、窓口の案内に入れておきたいところです。
写真のほうが早い、は本当
画面をスマホで撮るのは、ITが苦手な人に限った話ではありません。Jタウンネットの記者も、こう書いています。
そんなとき、パソコンでスクリーンショットを撮ってからスマホへ転送するより、スマホでそのまま画面の写真を撮ってしまうほうが早いことも。
出典: Jタウンネット「PC画面を撮ろうとすると邪魔してくるあの「ナミナミ」 簡単に撃退する方法が話題」(2021年5月)
もう一つの理由は、慣れの差です。スマホのスクリーンショットは毎日のように使うのに、パソコンのキーの組み合わせは知らない。法人向けにIT機器を販売する会社のnoteも、そこから話を始めています。
スマートフォンではスクリーンショットを日常的に利用されている方が多いので、Windowsパソコンにおけるスクリーンショットのショートカットキーをご紹介します。
出典: note「PC画面をスマホで撮影していませんか?」アスコネックス・法人事業部(2023年2月17日)
縞模様にも理由があります。同じJタウンネットの記事で、大手パソコンメーカーの広報はモアレという現象だろうと答え、画面とカメラの解像度の違いや、リフレッシュレートとシャッター速度の違いを主な原因に挙げました。スマホを傾けると消えることもありますが、角度によっては消えないそうです。
情シスとして、もう一つ気になる点があります。私物のスマホで撮った社内の画面は、写真アプリに残ります。それを私物のLINEで送れば、会社が管理していないサービスにも載ることになる。顧客名や社内のURLが写っていれば、なおさらです。
写真にすると消える情報
困るのは、読みにくさだけではありません。届いた画像に、次の切り分けに要る情報が写っていないことが多いのです。
| 欲しい情報 |
スマホの写真 |
スクリーンショット |
| エラーの文面と番号 |
縞や映り込みで読めないことがある |
そのまま読める。文字として取り出せる |
| 起きた時刻 |
画面の端の時計が切れやすい |
全画面なら右下の時計まで写る |
| どの画面か |
ウィンドウの題やURLが枠の外に出やすい |
ウィンドウの題やアドレスバーも残る |
| 周りの様子 |
机の上の書類や人が写り込む |
画面の中だけ |
なかでも助かるのは、文字を取り出せることです。Windowsの切り取りツール(Snipping Tool)には「テキスト アクション」があり、撮った画像から文字を抜き出してコピーできると、Microsoftは説明しています。エラーの文面をそのまま検索にかけられるので、聞き返しが一つ減ります。
スクショでは撮れない画面もある
ここからは、情シスの側が笑われる番です。2024年7月、ブルースクリーンの画像を探していた人の投稿に、「分かる」という返信がいくつも付きました。Togetterのまとめから引きます。
ブルースクリーンの画像をさがしている時に
「なんでカメラで撮ったような画像しかないんだ。スクリーンショットは無いのか?」
と思ったことがあります
出典: Togetter「ブルースクリーンの画像を探している時に『なんでカメラで撮ったような画像しかないんだ。スクリーンショットは無いのか?』と思ったことがある」(2024年7月)
同じまとめには、情シスに頼まれた側の返信も入っています。
情シスから「PCがフリーズしてるときの画面スクショを送ってくれ」って言われたことならあります。
スマホで撮影でいいですか?って聞き返して、気付いたようでしたが。
出典: Togetter「ブルースクリーンの画像を探している時に…」に収録された返信(2024年7月)
スクリーンショットは、OSがふつうに動いているから撮れるもの。止まった画面は、外から撮るしかありません。まとめには、逆の笑い話も並んでいます。
ドット抜けして困ってます(スクショ)
画面割れたんですけど(スクショ)
出典: Togetter「ブルースクリーンの画像を探している時に…」に収録された投稿(2024年7月)
画面そのものの不調は、スクリーンショットには写りません。スマホの写真で頼むのは、次のような場面です。
- 停止エラーの画面。Microsoftによると、画面の下の方に停止コード(PAGE_FAULT_IN_NONPAGED_AREAなど)が出ます。画面の色と文面はWindows 11の版によって違い、青い画面とは限りません
- 電源を入れた直後の画面、BitLockerの回復キーを求める画面、サインインの前の画面
- マウスもキーも効かず、固まってしまった画面
- 画面の割れや線、ドット抜け。ケーブルの差し込みやランプの色
ハードの不調に写真を勧める話は、「何もしてないのに壊れた」の正体でも取り上げました。写真で頼むときは、停止コードの行まで入るように、画面全体を正面から撮ってもらいます。
エラーの連絡は、動いている画面はスクショ、止まった画面はスマホで撮ってもらう作成: 編集部 / 出典: 情シスの相棒編集部(もとの資料: Microsoft・Appleのサポートの説明)
「スクショで送って」が通じないとき
「スクショで送ってください」の一言は、思ったほど通じません。スマホでは毎日撮っていても、パソコンの「スクショ」は別のものと受け取られることがあるからです。
読めない写真が届いたときの返し方も、最初の一言で決まります。「これじゃ読めません」と返すと、相手は次から連絡そのものをためらうかもしれません。お礼から入って、頼むのは一枚だけにします。
キーの名前で言うと、話が早く進みます。
- 「Windowsのマークのキーと、Shiftと、Sを同時に押してください。画面が少し暗くなったら、写したい所を四角で囲みます」
- 「囲んだら、このチャットでCtrlとVを押して貼り付けてください」
- Macなら「shiftとcommandと4を同時に押して、写したい所を囲んでください」
Microsoftの説明では、ロゴキー、Shift、Sの組み合わせで切り取りツールの画面が開き、撮った画像は「スクリーンショット」フォルダーにも自動で保存されます。一方のPrint Screenキーは、画面全体をクリップボードに入れる動きです。「押したのに何も起きない」と言われたら、そのまま貼り付けてもらえば足ります。Macは、shift+command+3で画面全体、shift+command+4で一部を撮れると、Appleが案内しています。
窓口に置く一行と、受け取ったあとの手順
案内は、問い合わせのフォームやチャットの入口の上に置きます。長い手順書より、短い一行のほうが読まれるからです。
受け取る側の動きも、そろえておくと楽になります。
- 画像が届いたら、エラーの文面と時刻が読めるかを見ます。読めなければ、上の一行を返すだけで済ませます
- 文面が長いときは、切り取りツールのテキスト アクションで文字を取り出し、チャットに貼ってもらいます
- スマホで撮った写真は、私物のLINEではなく、会社のTeamsやフォームで送ってもらう決まりにします。社用のスマホがあれば、そちらで撮ってもらいます
- 顧客名や個人情報が写りそうな画面は、囲む範囲を絞ってもらうか、送る前にペンで塗ってもらいます
画像と一緒に、次のことも聞いておきます。どれも、画像だけでは分かりません。
- 出る直前に、どのボタンを押したか、どのファイルを開いたか
- 毎回出るのか、今日一度だけか
- 隣の席のPCや、同じ部署の人でも出ているか
最後の答えで、そのPCだけの問題か、サーバーやネットワークの側かの見当がつきます。全員に出ているなら、写真を待つより先に、障害のお知らせを出したほうが早いでしょう。
窓口と受付時間の決め方は、「ちょっといいですか」が1日に何十回にまとめています。
縞模様の写真が1枚届いたら、それは手抜きではなく、急いでいたしるしです。次に届く画像を読めるものにするのは、叱る言葉より、窓口に置いた一行でしょう。