社員が使うSaaS が増えると、覚えるパスワード と、退職のときに止めるアカウントが増えます。その入口を1つにまとめる道具が、IDaaS(クラウド のID管理 )とSSO (シングルサインオン)です。国内と海外の11製品を、ログインの方式、本人の確かめ方、アカウントの自動の作成と削除、データの置き場所、公式の料金で地図にしました。
この地図の決まりと見方
確かめた日: 2026年10月19日。各社の公式のページ、ドキュメント、料金表で確かめたことだけを載せています
並び: 編集部が4つのまとまりに分け、その中はアルファベット順です。順位やおすすめではありません
公式で確認できず: 確かめた公式のページに書かれていなかったという意味で、「できない」という意味ではありません
料金: 公式に書かれた額だけです。額がないものは「要問い合わせ」にしました。広告やアフィリエイトの契約はありません
SAMLとOIDC(OpenID Connect)は、IDaaSとSaaSの間でログインの結果を受け渡す決まりです。SCIMは、IDaaSからSaaSへ、アカウントの作成・変更・削除を伝える決まりです。パスキー(FIDO2)は、パスワードの代わりに、端末の指紋や顔、PINで本人を確かめる方式です。
SaaS全体の地図は情シスのSaaSマップ 2026年秋 で、この記事はそのID管理の欄(5製品)を深く見たものです。端末の管理はMDM・UEMの製品の地図 に同じ形でまとめています。
地図 11製品を4つのまとまりに
出どころと得意な範囲で4つに分け、SSOにつなげないサービスを補う道具も右下に並べました。
IDaaS・SSOの11製品を4つのまとまりに分けた地図(2026年10月19日確認) 作成: 編集部 / もとの資料: 各社の公式のページ
1 OSや基盤の会社のID
新しく買う前に、今のMicrosoftやGoogleの契約に入っていないかを見ます。
Microsoft Entra ID: 旧Azure ADです。Free版はMicrosoft 365やAzureの契約に含まれ、SSOと多要素認証が使えます。場所や端末で入口を絞る条件付きアクセスはP1からで、P1はMicrosoft 365 E3とBusiness Premiumに含まれます
Google Cloud Identity: Free版は既定で50ユーザー分で、SAMLのSSOと2段階認証が使えます。対応アプリへの自動の作成と、端末や場所で絞るコンテキストアウェア アクセスはPremiumの機能です
2 海外のIDaaS専業
Okta Workforce Identityは、円で価格を公開しています。2022年2月に、東京を主、大阪を災害時の予備にした日本のインフラを始めています。PingOne for Workforceは、5,000ユーザーからの年間契約を前提に、米ドルの価格を出しています。地域の一覧(北米、欧州、オーストラリアなど)に日本はありません。
3 多要素認証・特権の管理から広がる
Cisco Duoは、10ユーザーまで無料で使える多要素認証の版があり、SSOはEssentialsからです。データセンターを置く9か国に、日本が入っています。
CyberArk Workforce Identityの製品ページは、2026年10月19日の時点でPalo Alto NetworksのIdiraに移っていました。同社は2026年5月15日のブログで、2月のCyberArkとの統合とIdiraの発表を伝えています。IdiraはSSO、アダプティブMFA、パスキーを含むパスワードレスを案内していますが、SAMLやOIDCの方式名と料金は書かれていませんでした。
4 国産のIDaaS
CloudGate UNO: 都内のデータセンターで運用と案内しています。パスキーとプロビジョニング(SCIM 2.0)は全プランに載ります
Gluegent Gate: サイオステクノロジーが2026年5月に版を改め、全社のSSO向けのProfessionalを加えました。SCIMはEnterpriseからで、Professionalはオプションです
GMOトラスト・ログイン: 30名からの12か月契約です。端末の制限は、1ID月150円のオプションです
HENNGE One Identity Edition: 最小の契約は200 IDです。IDは、SAMLでつないだサービスへのJIT(初回のログインで作る形)とAPIで作ります。SaaSとの連携の例はHENNGE One、ZISEDAI LANDとSSO連携で認証管理を集約 で書いています
IIJ IDサービス: 国内の東西にある複数のデータセンターで、IIJが運用しています。1ユーザーから契約でき、最低の利用期間はありません
補う道具 SSOにつなげないサービス
SAMLやOIDCに対応しないログイン画面は、代理入力(フォーム認証)かパスワード管理で補います。代理入力はCloudGate UNO、Gluegent Gate、GMOトラスト・ログインが案内しています。パスワード管理では、HENNGE Password Managerと、会社のIdPからログインできるKeeper(SSO Connect)があります。比べ方は法人向けパスワード管理ツール比較 にまとめています。
11製品の方式・データの置き場所・料金
2026年10月19日に公式のページで見た内容です。料金は、1ユーザー(1ID)あたりの月額です。
製品(会社)
SSOの方式
日本のデータの置き場所
料金(公式の記載)
Google Cloud Identity(Google)
SAML、Googleでログイン(OIDC)
選べる地域に日本なし
Freeあり。Premiumは年間プランで1ライセンス年7,740円、フレキシブルプランで月774円
Microsoft Entra ID(Microsoft)
SAML、OIDC
日本(多要素認証のデータは米国)
Freeあり。P1は1,049円、P2は1,499円(年払い・年間契約)
Okta Workforce Identity(Okta)
SAML、OIDC
日本(東京・大阪)
Starter 940円、Core Essentials 2,020円、Essentials 2,670円(年間一括の請求・年240,000円から)
PingOne for Workforce(Ping Identity)
SAML、OIDC
地域の一覧に日本なし
Essential 3米ドル、Plus 6米ドル(年間契約・5,000ユーザーから)
Cisco Duo(Cisco)
SAML、OIDC
日本にデータセンター
Free(10ユーザーまで)、Essentials 3米ドル、Advantage 6米ドル、Premier 9米ドル
Idira(Palo Alto Networks)
SSOと案内(方式名は記載なし)
公式で確認できず
要問い合わせ
CloudGate UNO(インターナショナルシステムリサーチ)
SAML、OIDC、フォーム
都内のデータセンター
Standard Plus 400円(税込440円)、Enterprise Plus 500円(税込550円)、Smart Pack 600円(税込660円)
Gluegent Gate(サイオステクノロジー)
SAML、OIDC、代理認証
公式で確認できず
Professional 250円、Enterprise 500円、Unlimited 1,000円(税別・1年から)
GMOトラスト・ログイン(GMOグローバルサイン)
SAML、OIDC、フォーム、Basic
公式で確認できず
SaaS管理 290円、SSOプロ 300円、SSOプロ+SaaS管理 500円(税抜・12か月・30名から)
HENNGE One Identity Edition(HENNGE)
SAML、OIDC
公式で確認できず
IdP 400円、IdP Pro 600円、IdP Ultra 1,000円(最小200 ID)
IIJ IDサービス(インターネットイニシアティブ)
SAML、OIDC
国内東西のデータセンター
SSO連携 120円、SSO連携+多要素認証 240円(税抜・初期費用0円)
Entra ID、Cloud Identity、Okta、HENNGE Oneの円の額と米ドルの額は、税の扱いが書かれていません。Cloud IdentityのPremiumはGoogle Cloudの資料の額で、Google Workspaceのヘルプには8.40米ドルの例もあり、資料で額が違います。
機能の対応表 差はSCIMと置き場所に出る
11製品の主な機能が公式のページに書かれているか(2026年10月19日確認) 作成: 編集部 / もとの資料: 各社の公式のページ
ログインの方式と多要素認証はほぼすべてにあり、違いが大きいのは次の3つです。
SCIMによる自動の作成と削除
IDaaSで社員を登録・停止すると、SaaS側のアカウントも作る・止める仕組みです。退職者のアカウントの消し忘れを減らせます。
形
公式に案内している製品
SCIMで送る
Entra ID、Okta(StarterはLifecycle Managementの追加が要る)、PingOne、CloudGate UNO、Gluegent Gate(Enterpriseから)
特定のサービスや別の形
Cloud Identity(対応アプリ・Premium)、GMOトラスト・ログイン(Microsoft 365・Google Workspaceなどと同期)、HENNGE One(JIT・API)、IIJ IDサービス(AD・Entra IDとの連携)
確かめたページで確認できず
Cisco Duo、Idira
つなぐSaaSの側のSCIMの対応も確かめます。
パスキーと多要素認証
パスキーは、偽のサイトにパスワードを入れさせる手口(フィッシング)に強い方式です。10製品が案内していますが、使える版が違います。Entra IDはFreeを含むすべての版、CloudGate UNOは全プランで使えます。PingOneはPlus、Cisco DuoはEssentials、IIJ IDサービスは多要素認証の版(1ID月240円)からです。HENNGE Oneの価格表にある多要素認証は、IPアドレス、入場証、ワンタイムパスワード、証明書で、パスキーは確かめたページに書かれていませんでした。同期するパスキーの注意は同期パスキーの落とし穴 にまとめています。
データの置き場所
Entra ID、Okta、Cisco Duo、CloudGate UNO、IIJ IDサービスが、日本のデータの置き場所を案内しています。ただしEntra IDは、日本のテナントでも、多要素認証のデータは米国に置いて世界で処理すると書いています。GoogleとPingOneは、選べる地域に日本がありません。
選ぶときの観点
製品の良し悪しではなく、自社のSaaS、契約、入社と退職の流れから見ていく順番です。
選ぶときの観点 5つの順番と、会社の状況ごとに見る点 作成: 編集部 / もとの資料: Microsoft・Google・Okta・Ping Identity・Cisco・国産の各社の公式のページ
会社の状況ごとの例です。数字は地図のまとまりの番号です。
会社の状況
先に見る観点
まとまり
Microsoft 365 E3・Business Premiumを使っている
含まれるEntra ID P1の条件付きアクセスで足りるか
1
Google Workspaceが中心
Cloud Identity Premiumで足りるか、ほかのIDaaSとつなぐか
1、2、4
退職者のアカウントの消し忘れが多い
SCIMへの対応と、使っているSaaS側の対応
1、2、4
日本にデータを置く決まりがある
日本の置き場所を公式に案内しているか
1、2、3、4
私物の端末から使わせたくない
端末の証明書や端末の条件と、その料金
1、2、3、4
フィッシングの被害を減らしたい
パスキーがどの版で使えるか
1、2、3、4
社員が数十人の会社
最低の人数と、年間の最低額
3、4
SAMLに対応しない社内システムが多い
代理入力やパスワード管理で補えるか
4、補う道具
最低の契約は会社で違います。Oktaは年間240,000円、PingOneは5,000ユーザー、HENNGE Oneは200 ID、GMOトラスト・ログインは30名から。IIJ IDサービスとGluegent Gateは1ユーザーからです。
今日からできること
社内で使っているSaaSを書き出し、SAML・OIDC・SCIMのどれに対応するかを、各SaaSの管理画面か資料で確かめる
Microsoft 365とGoogle Workspaceの契約の版を確かめ、Entra ID P1やCloud Identity Premiumが含まれていないかを見る
直近の退職者を1人選び、退職の日から何日で、どのSaaSのアカウントが止まったかを調べる
パスキーを使う人と、端末の証明書が要る人を決め、機能の表で候補を2〜3製品にしぼる
候補の料金を、1ユーザーか1IDか、月か年か、税込か税抜か、円かドルか、最低の人数をそろえて並べる
書き出しには、次の台帳が使えます。
製品の機能と料金は変わることがあります。契約の前と更新のたびに、公式のページで確かめてください。