生成AIを会社で使うとき、迷いやすいのが「どの法人プランにするか」です。この記事では、ChatGPT、Claude、Gemini、Microsoft 365 Copilotの法人プランを、各社の公式の料金ページとヘルプで比べます。料金と機能は2026年10月3日時点の情報です。
比べる前に押さえる3つの違い
4つのサービスは、同じ「生成AI」でも買い方が違います。料金表だけを並べると、高い安いを読み違えます。
| 違い |
内容 |
当てはまるサービス |
| 単体で買うか、セットに付くか |
AIだけを契約するか、オフィスソフトの料金に含まれるか |
単体: ChatGPT、Claude。セット: Gemini、Copilot |
| 席の料金か、使った分か |
1人あたりの定額か、使った量に応じた料金が加わるか |
Claude Enterpriseは席の料金に使った分を加算 |
| 個人向けか、法人向けか |
学習への利用や管理の仕組みが変わる |
4社とも個人向けと法人向けを分けている |
ここで言う「席(シート)」は、AIを使える人1人分の契約のことです。法人プランは、この席の数で料金が決まるものが中心です。
1人あたりの料金を比べる
次の表は、各社の公式の料金ページに載っている価格です。
料金の比較表(2026年10月3日時点・すべて税抜・年払いか月払いかは各行に記載)
| サービスとプラン |
1人あたり月額 |
支払い方 |
主な条件 |
| ChatGPT Business 標準シート |
20ドル / 25ドル |
年払い / 月払い |
2〜200人のチーム向け |
| ChatGPT Business プレミアムシート |
100ドル / 125ドル |
年払い / 月払い |
標準シートの5倍の利用枠 |
| ChatGPT Enterprise |
公開なし |
営業と個別に契約 |
クレジット制やトークン制も選べる |
| Claude Team スタンダードシート |
20ドル / 25ドル |
年払い / 月払い |
2〜150人のチーム向け |
| Claude Team プレミアムシート |
100ドル / 125ドル |
年払い / 月払い |
スタンダードの5倍の使用量 |
| Claude Enterprise |
20ドルと使った分 |
年払い |
使った分はAPIの料金で加算。最低20席 |
| Gemini(Google Workspace Business Standardに含む) |
1,600円 / 1,900円 |
年間プラン / フレキシブルプラン |
Workspace本体の料金。最大300人 |
| Gemini Enterprise Business |
21ドルから |
公式ページに記載なし |
Workspaceとは別の製品。最大300人 |
| Microsoft 365 Copilot(大企業向け) |
30ドル(日本4,497円) / 31.50ドル(4,722円) |
年契約の年払い / 年契約の月払い |
対象のMicrosoft 365が別に必要 |
| Microsoft 365 Copilot Business |
21ドル(日本3,148円) |
年契約 |
300人まで。対象のBusinessプランが必要 |
ChatGPTの日本語の料金ページには、標準シートが「3,050円から」、プレミアムシートが「15,250円から」とも表示されます。
OpenAIの公式サイトのChatGPT Business・Enterpriseの料金ページ(2026年10月時点)出典: OpenAI「ビジネス向け料金」(引用)
Microsoft 365 Copilot Businessには、2026年7月1日から12月31日までの割引があります。初年度は18ドル(日本2,698円)です。対象は、Businessプランを使っている既存の顧客に限られます。
Microsoftの料金ページのMicrosoft 365 Copilot Businessの欄(2026年10月時点)出典: Microsoft「Microsoft 365 Copilot プランと価格」(引用)
本体のソフトの料金も足して考える
GeminiとCopilotは、オフィスソフトとの組み合わせで料金が変わります。すでに払っているものによって、追加の費用が大きく違います。
- Google Workspaceは、Business StarterからGeminiを含みます。ただしStarterでは、ドキュメントやスプレッドシートの中でGeminiを使えません
- Business Standard以上なら、Gmail、ドキュメント、スプレッドシート、Meet、ドライブの中でGeminiを使えます
- Microsoft 365の対象プランの利用者は、追加料金なしでCopilot Chatを使えます。Copilot Chatが使うのは、主にWebの情報と、指示の中で示したファイルです
- WordやExcel、Teamsの中で社内のメールや資料をもとに作業させるには、有料のCopilotを足します
人数を入れて年額を出す
使う人数と1ドルの円を入れると、プランごとの月額と年額を円で並べて比べられます。初期値は上の表の年払いの価格で、書き換えもできます。
このシミュレーターは、席の料金だけを計算します。次のものは含みません。
- 消費税
- Claude Enterpriseの使った分の料金
- 追加で買う利用枠(クレジット)
- Copilotに必要なMicrosoft 365本体の料金
たとえば30人が年払いで使い、1ドルを150円と仮に置くと、税抜の年額は次のとおりです。
| プラン |
計算 |
年額(税抜) |
| ChatGPT Business 標準シート |
20ドル×30人×12か月×150円 |
108万円 |
| Claude Team スタンダードシート |
20ドル×30人×12か月×150円 |
108万円 |
| Microsoft 365 Copilot Business |
3,148円×30人×12か月 |
約113万円 |
| Microsoft 365 Copilot(大企業向け) |
4,497円×30人×12か月 |
約162万円 |
| Gemini(Workspace Business Standardを使用中) |
追加の費用なし |
0円 |
データの学習への利用と管理機能を比べる
情シスが料金の次に確かめたいのは、入れた情報がAIの学習に使われるかと、管理者が何を見られるかです。用語を2つだけ先に説明します。
- SSO(シングルサインオン): 会社のアカウント1つで、ほかのサービスにもログインできる仕組み
- SCIM: 社員の入社や退職に合わせて、アカウントを自動で作ったり止めたりする仕組み
| プラン |
学習への利用 |
SSO |
SCIM |
管理者が見られるログ |
データの置き場所 |
| ChatGPT Business |
既定で使われない |
SAML SSOあり |
なし |
基本的な利用分析 |
地域は選べない |
| ChatGPT Enterprise |
既定で使われない |
あり |
あり |
Compliance APIで記録を取り出せる |
日本を含む10地域から選べる |
| Claude Team |
既定で使われない |
あり |
なし |
使用状況の分析。監査ログはなし |
料金ページに記載なし |
| Claude Enterprise |
既定で使われない |
あり |
あり |
監査ログ、Compliance API |
米国のみで処理する設定を選べる |
| Gemini(Workspace) |
許可なくドメイン外の学習に使われない |
Workspaceのアカウント |
Workspaceの利用者管理に従う |
監査ログあり |
Enterpriseプランで地域を指定できる |
| Microsoft 365 Copilot |
基盤のモデルの学習に使われない |
Entra IDのアカウント |
Entra IDの利用者管理に従う |
Purviewでやり取りの記録を検索・保持 |
Microsoftのデータ所在地の約束の対象 |
Googleは、Geminiとのチャットやアップロードしたファイルを「人間のレビュアーが確認することもない」と説明しています。Microsoftは、Copilotとのやり取りを、Microsoft 365のほかの社内データと同じ約束で扱うとしています。
日本語で使えるか
4つとも、日本語で指示を出して日本語で答えを受け取れます。Claudeは画面の表示言語に日本語があり、Microsoftは日本語をCopilotの対応言語として公開しています。Geminiも対応言語の一覧に日本語があります。
会社の規模と目的で選ぶ
どれが一番よいかは、会社がすでに使っているソフトと、管理の要件で変わります。次の条件に当てはまるものから検討すると、比べる手間が減ります。
| 会社の状況 |
合いやすい選び方 |
理由 |
| Google Workspace Business Standard以上を使っている |
まずWorkspaceに含まれるGeminiを試す |
追加の費用がかからない |
| Microsoft 365を使い、Word・Excel・Teamsの中で社内の資料を使わせたい |
Copilot Business(300人まで)か、大企業向けのCopilot |
社内のメールや資料をもとに作業できる |
| 使うソフトを問わず、少人数で文章作成や調査に使いたい |
ChatGPT BusinessかClaude Team |
2人から契約でき、月払いも選べる |
| 開発の部署がある |
ChatGPT BusinessかClaude Team以上 |
ChatGPTにはCodex、ClaudeにはClaude Codeが含まれる |
| 監査ログ、SCIM、データの置き場所が社内の要件にある |
各社のEnterpriseプラン |
Business・Teamでは使えない機能がある |
一部の部署だけで使うなら、全員分を契約する必要はありません。席の種類を混ぜられるサービスもあります。ChatGPT BusinessとClaude Teamは、標準とプレミアムの席を組み合わせられると案内しています。
契約の前に確かめるチェックリスト
| 確かめること |
見る場所 |
| 入れた情報が学習に使われない設定が、既定になっているか |
料金ページ、利用規約、管理画面 |
| SSOで会社のアカウントからログインできるか |
料金ページの機能比較 |
| 退職者のアカウントをすぐ止められるか |
管理画面、SCIMの有無 |
| 利用の上限に達したとき、追加の料金がかかるか |
料金ページの注記、クレジットの説明 |
| 年契約の途中で人数を減らせるか |
契約の条件、申し込みの画面 |
| 誰が、どのログを、何日分見られるか |
管理者向けのヘルプ |
ChatGPTはBusinessとEnterpriseで、より多く使うためのクレジットを追加で買えると書いています。Claudeは有料プランで、上限に達した後も標準のAPI料金で使い続ける設定を用意しています。予算を決めるときは、上限に達したときの動きも決めておきます。
今日からできること
- 社内で、誰がどの生成AIを個人の契約で使っているかを聞き取る
- Google WorkspaceやMicrosoft 365のプランを確かめ、すでに使えるAI機能を洗い出す
- 上のシミュレーターで、使う人数と年額を2〜3通り試算する
- 入れてよい情報と入れてはいけない情報を、社内ルールにする
- 候補を2つに絞り、少人数で1〜2か月試してから広げる
社内ルールの作り方は、生成AIの社内ルールは何を書く?で詳しく説明しています。次のひな形は、そのまま社員向けのガイドラインに使えます。
Microsoft 365本体の値上げも含めて考えるなら、Microsoft 365とGoogle Workspaceの比較もあわせて読むと、総額をつかみやすくなります。料金は改定されることがあるため、契約の前に各社の料金ページで最新の価格を確かめてください。