退職した人のアカウントが残ったまま、休眠アカウントや使われていない権限が放置される。情シスなら、身に覚えのある悩みではないでしょうか。シーイーシーが2026年10月14日に提供を開始した「SmartSESAME IDApex」は、こうしたID・権限の管理を自動化するクラウドサービスです。
どんな課題に応える製品か
シーイーシーの発表によると、SmartSESAME IDApexは、認証・認可(IAM)と、権限管理・ガバナンス(IGA)を一つにまとめた、クラウドのID基盤です。主な機能は次のとおりです。
- 人事データと連動したIDの自動管理: 入社・異動・退職にあわせて、権限の付与と削除を自動化します。休眠アカウントや不要な権限を自動で検知・削除し、退職者IDの悪用リスクを抑えるとしています。
- IDに連動した認証・アクセス制御: 組織変更や人事異動のときも、SSO(シングルサインオン)で使えるシステムを更新します。役割に応じて必要な権限だけを与える、ロールベースアクセス制御(RBAC)にも対応します。
- 監査記録: 権限の申請から承認、付与、変更までの操作を記録し、監査や法令対応(個人情報保護法やGDPR)の証跡を示せるとしています。
シーイーシーが公表したSmartSESAME IDApexの提供開始(2026年10月14日)出典: 株式会社シーイーシー(引用)
このサービスは、同社のオフィスセキュリティ製品「SmartSESAME」と「Cyber NEXT」を融合したセキュリティプラットフォームの一部で、多要素認証の基盤「SmartSESAME Cloud UniPass」とも連携できるとされています。今後は、特権アクセス管理(PAM)への対応や、24時間365日の監視サービス「CEC SOC」との連携(2027年予定)も挙げられています。料金はオープン価格です。
関係するのはどんな組織か
ID・権限の管理は、どの組織にも共通する課題です。とくに、使うシステムやSaaSが増え、人の出入りや異動が多い組織ほど、「誰が、どのシステムに、どの権限を持っているか」を把握しきれなくなりがちです。退職者IDの放置や過剰な権限は、本セッションでも繰り返し取り上げてきたように、実際の情報漏えいや不正アクセスの入口になっています。今回のような、人事と連動してID・権限を自動で整える仕組みは、こうした課題を抱える組織にとって、選択肢の一つになります。
情シスが検討するときに確かめること
新しいID管理の仕組みを選ぶときは、機能の見出しだけでなく、自社の運用に合うかを確かめることが大切です。
- 人事システムとの連携: 自社の人事システムと、どの方式で連携できるか(対応製品・連携のしかた)を確認します。ここがかみ合わないと、自動化の効果が出ません。
- SSOの対象範囲: 自社で使っているSaaSや社内システムが、SSOの対象になるかを確かめます。対象外のシステムが多いと、二重管理が残ります。
- 休眠・削除の判定と承認: 休眠アカウントと判定する基準や、権限を削除する前の承認の流れを確認します。自動削除は便利な一方、必要な権限まで消えると業務が止まります。
- 監査ログとデータの扱い: 監査ログの保存期間・出力形式、データの保管場所や暗号化、第三者認証の取得状況を確認します。
- 料金と導入の負荷: 料金はオープン価格のため、見積もりと、導入・移行にかかる手間を、具体的に確かめます。
ID・権限の管理は、便利さとリスクの両方に直結する、情シスの土台の仕事です。製品の良し悪しを決めつける前に、自社の「誰が・何に・どの権限を持つか」の現状を棚卸しし、どこを自動化したいかを整理しておくと、こうしたサービスを選ぶときの物差しになります。