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IT技術者の求人倍率はなぜ下がった?求人は増え、求職者が約8割増

ハローワークのIT技術者の有効求人倍率は2017年度の2.48倍から2025年度は1.45倍に下がりましたが、求人は5.3%増え、求職者が79.3%増えていました。社内SEを目指す人と採用する情シスが見るべき就職率や都道府県の差を、ほかの職業と比べます。

公開 更新 執筆・監修:佐々木 航人が監修しながらAIを活用して執筆
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IT技術者の求人倍率はなぜ下がった?求人は増え、求職者が約8割増

この記事のまとめ

  • 倍率を下げたのは求職者の側で、IT職の区分の求職者は8年で1.79倍になりました。
  • IT技術者の就職率は7.7%、充足率は2.5%で、どちらも全職業の平均より低い水準です。
  • 受理地別に見ると、47都道府県のうち32でIT技術者の倍率が1倍を下回りました。
こんな方に#20代#30代#40代実務

2017年度に2.48倍あったIT技術者の有効求人倍率は、2025年度に1.45倍まで下がりました。それでも、ハローワークの数字で見るかぎり求人は減っていません。2017年度より5.3%多く、増えたのは情報処理・通信技術者の区分で仕事を探す人のほうです。

倍率は、厚生労働省が年度ごとに公表している職業別の求人数と求職者数から、編集部で割り出しました。14年分の推移とほかの職業、47都道府県の数字を並べると、「IT職は求人倍率が高いから入りやすい」とは言えない理由が見えてきます。

求人倍率を下げたのは、求職者の増え方

有効求人倍率は、有効求人数を有効求職者数で割った数字です。分子の求人が減っても、分母の求職者が増えても下がります。IT技術者の場合、効いたのは分母でした。

ひと月あたりの平均で比べると、有効求人は2017年度の50,147人から2025年度は52,799人へ5.3%増えました。有効求職者は20,236人から36,290人へ、79.3%の増加です。倍率は2017年度の2.48倍が山で、2020年度に1.32倍まで下がり、その後は1.5倍前後で止まっています。

図解。題はIT技術者の求人倍率を下げたのは、求職者の増加だった。有効求人倍率の推移(常用・パートタイムを含む・年度)は、IT技術者(職業中分類の情報処理・通信技術者)が2012年度1.38倍、2013年度1.68倍、2014年度1.93倍、2015年度2.12倍、2016年度2.35倍、2017年度2.48倍、2018年度2.45倍、2019年度2.22倍、2020年度1.32倍、2021年度1.36倍、2022年度1.51倍、2023年度1.53倍、2024年度1.53倍、2025年度1.45倍。職業計は2012年度0.74倍、2017年度1.38倍、2025年度1.10倍。一般事務は2012年度0.20倍、2025年度0.34倍。2023年度から職業の分類が変わった。IT技術者の2017年度と2025年度の比較(ひと月の平均)は、有効求人数50,147人から52,799人(5.3%増)、有効求職者数20,236人から36,290人(79.3%増)、就職件数(年度の合計)8,679件から5,137件(40.8%減)。IT職で仕事を探す人の年齢(ひと月の平均、2017年度から2025年度)は、24歳以下2,306人から3,529人(1.53倍)、25〜29歳3,393人から7,617人(2.24倍)、30〜34歳2,874人から5,825人(2.03倍)、35〜39歳2,462人から3,784人(1.54倍)、40〜49歳4,210人から5,523人(1.31倍)、50〜59歳3,287人から5,028人(1.53倍)、60歳以上1,704人から4,984人(2.93倍)。同じ期間の職業計の有効求職者は25〜29歳で0.93倍、60歳以上で1.60倍。まとめは、求人はこの間に5.3%増え、IT職で仕事を探す人が79.3%増えた、就職件数は4割減った。
IT技術者の有効求人倍率の推移と、2017年度・2025年度の求人と求職者(ハローワーク)作成: 編集部 / 出典: 厚生労働省「一般職業紹介状況(職業安定業務統計)雇用関係指標(年度)」

全職業を合わせた職業計も、1.38倍から1.10倍に下がりました。ただ、求人の動きは逆向きです。職業計の有効求人は13.8%減り、有効求職者は8.2%の増加にとどまります。IT技術者は求人が増えたのに、それを大きく上回る速さで求職者が増えました。つまり同じ倍率の低下でも、職業計は主に求人が減った結果で、IT技術者は求職者が増えた結果です。

IT職の区分に入る求職者を年齢で分けると、増え方の偏りがはっきりします。2017年度と比べた人数は、25〜29歳が2.24倍、30〜34歳が2.03倍、60歳以上が2.93倍。求人倍率ではなく、求職者の数の伸びです。同じ8年に、職業計で見た25〜29歳の有効求職者は0.93倍に減りました。若い求職者が全体では減るなかで、IT職の区分の25〜34歳は倍以上に増えた形です。この区分で女性が占める割合も、13.2%から20.2%に上がりました。

年度 IT技術者 職業計 一般事務
2012年度 1.38倍 0.74倍 0.20倍
2013年度 1.68倍 0.87倍 0.22倍
2014年度 1.93倍 1.00倍 0.25倍
2015年度 2.12倍 1.11倍 0.28倍
2016年度 2.35倍 1.25倍 0.32倍
2017年度 2.48倍 1.38倍 0.36倍
2018年度 2.45倍 1.46倍 0.39倍
2019年度 2.22倍 1.41倍 0.39倍
2020年度 1.32倍 1.01倍 0.29倍
2021年度 1.36倍 1.05倍 0.30倍
2022年度 1.51倍 1.19倍 0.36倍
2023年度 1.53倍 1.17倍 0.36倍
2024年度 1.53倍 1.14倍 0.35倍
2025年度 1.45倍 1.10倍 0.34倍
項目 2017年度 2025年度 増え方
有効求人数(ひと月の平均) 50,147人 52,799人 +5.3%
有効求職者数(ひと月の平均) 20,236人 36,290人 +79.3%
 うち24歳以下 2,306人 3,529人 1.53倍
 うち25〜29歳 3,393人 7,617人 2.24倍
 うち30〜34歳 2,874人 5,825人 2.03倍
 うち35〜39歳 2,462人 3,784人 1.54倍
 うち40〜49歳 4,210人 5,523人 1.31倍
 うち50〜59歳 3,287人 5,028人 1.53倍
 うち60歳以上 1,704人 4,984人 2.93倍
就職件数(年度の合計) 8,679件 5,137件 −40.8%

倍率と人数は年度計から計算した値です。人数は12で割ったひと月の平均で、女性の割合も同じ表から割り出しました。

8割増は、倍率が山だった2017年度と比べた数字です。この年は、14年のうちでIT職の区分の求職者が最も少ない年でした。2012年度はひと月31,623人いたので、2025年度の36,290人はその1.15倍にあたります。

大きく増えたのは2020年度で、前の年度の22,301人から29,491人になりました。オンラインで登録した求職者も数えるようになった2021年9月より前のことで、その後も毎年増えています。

編集部は、この増え方を、IT職への転職を考える人がハローワークでも増えた表れとみています。ただし表からは、その人たちが未経験なのか、IT企業からの転職なのかまでは読めません。

最新の月も同じ向きです。2026年9月の原数値では、IT技術者の有効求人倍率は1.33倍で、前年同月より0.08ポイント低くなりました。新規求人は前年同月より7.3%増えた一方、新規の求職も5.3%増え、就職件数は17.5%減りました。9月の全職業の倍率1.19倍(季節調整値)などの話は、ベンチャー・スピリット!の10月30日の国の情報まとめにあります。

新卒の就活の数字ではない

この統計に、新規学卒者は入っていません。厚生労働省の説明では、一般職業紹介状況はハローワークの求人、求職、就職の状況を「新規学卒者を除く」形でまとめた統計です。大学や高校を卒業して社内SEを目指す人は、この倍率を自分の就活の競争率としては読めません。

もう一つは、ハローワークを通った求人と求職者だけの数字だという点です。民間の転職サイトや紹介会社、会社への直接の応募は入りません。2021年9月からは、来所せずにオンラインで登録した求職者や、ハローワークインターネットサービスの求人へ直接応募した就職件数も含まれるようになりました。

範囲の違いで、数字の大きさも変わります。厚生労働省が2026年4月に発表した2025年度平均の有効求人倍率1.20倍は、臨時や季節の仕事も含む「一般」の数字です。この記事の職業別の倍率は、雇用期間の定めがないか4か月以上の「常用」(パートタイムを含む)の年度計から計算しており、職業計は1.10倍になります。

決まる割合は、職業でこれだけ違う

では、求人倍率が1倍を超えていれば、仕事は見つかりやすいのでしょうか。IT技術者の数字を見るかぎり、そう単純ではありません。

2025年度のIT技術者の就職率は7.7%でした。就職率は就職件数を新規求職申込件数で割った数字で、厚生労働省が用語の解説で示す定義です。職業計の22.7%と比べて3分の1ほどで、求人倍率が0.34倍の一般事務の19.2%も下回ります。

図解。題はIT技術者の求人は賃金が高く、ハローワークで決まる割合は低い。職業中分類から9区分と職業計を選び、2025年度の職業ごとの有効求人倍率、就職率(就職件数÷新規求職申込件数)、充足率(就職件数÷新規求人数)、求人の平均賃金(月給、上限と下限の平均、パートタイムを除く常用)。技術の仕事では、情報処理・通信技術者が1.45倍、7.7%、2.5%、34.7万円。同じ職業の2017年度は2.48倍、18.0%、4.3%、30.2万円。製造技術者(開発)は1.88倍、11.3%、3.3%、30.8万円。建築・土木・測量技術者は5.58倍、23.8%、2.8%、34.3万円。人と接する仕事では、営業職業従事者が2.13倍、15.4%、4.4%、28.1万円。介護サービス職業従事者が3.84倍、44.3%、7.2%、22.9万円。事務の仕事では、会計事務従事者が0.61倍、25.4%、22.8%、25.2万円。一般事務従事者が0.34倍、19.2%、28.0%、22.2万円。事務用機器操作員が0.32倍、25.0%、29.4%、24.2万円。制作の仕事では、美術家・デザイナー・写真家・映像撮影者が0.17倍、5.9%、14.3%、26.6万円。職業計は1.10倍、22.7%、11.5%、25.9万円。まとめは、IT技術者の就職率7.7%は職業計の22.7%を、充足率2.5%は職業計の11.5%を下回る。求人倍率と賃金だけでは決まりやすさは読めない。
IT技術者とほかの職業の有効求人倍率・就職率・充足率・求人賃金(2025年度)作成: 編集部 / 出典: 厚生労働省「一般職業紹介状況(職業安定業務統計)雇用関係指標(年度)」

求人の側から見た充足率も、IT技術者は2.5%です。新規求人の数と比べて、就職がどれだけ決まったかを示す数字です。職業計は11.5%、一般事務は28.0%でした。2017年度のIT技術者は就職率18.0%、充足率4.3%だったので、どちらも8年で下がっています。

職業 有効求人倍率 新規求人倍率 就職率 充足率 求人の平均賃金(月給)
情報処理・通信技術者 1.45倍 3.14倍 7.7% 2.5% 34.7万円
情報処理・通信技術者(2017年度) 2.48倍 4.22倍 18.0% 4.3% 30.2万円
製造技術者(開発) 1.88倍 3.41倍 11.3% 3.3% 30.8万円
建築・土木・測量技術者 5.58倍 8.46倍 23.8% 2.8% 34.3万円
営業職業従事者 2.13倍 3.47倍 15.4% 4.4% 28.1万円
介護サービス職業従事者 3.84倍 6.14倍 44.3% 7.2% 22.9万円
会計事務従事者 0.61倍 1.11倍 25.4% 22.8% 25.2万円
一般事務従事者 0.34倍 0.69倍 19.2% 28.0% 22.2万円
事務用機器操作員 0.32倍 0.85倍 25.0% 29.4% 24.2万円
美術家・デザイナー・写真家・映像撮影者 0.17倍 0.41倍 5.9% 14.3% 26.6万円
職業計 1.10倍 1.97倍 22.7% 11.5% 25.9万円

表でまず見てほしいのは、IT技術者の新規求人倍率3.14倍と有効求人倍率1.45倍の開きです。有効求職者は、前の月から繰り越した求職者に、その月の新しい申し込みを足した数です。決まらないまま登録を続ける人が多いほど、新規の倍率に比べて有効の倍率は低くなります。職業計は1.97倍と1.10倍なので、IT技術者のほうが開きが大きいのです。

IT職を探す人は、職業計で見た平均より長く、決まらないまま登録を続けているようです。根拠は、新しい申し込みと有効求職者の比です。2025年度の新しい申し込みは66,533件、有効求職者は年度計で延べ435,484人で、比べると6.5倍。ならすと、申し込み1件が延べ6.5か月分、有効求職者として数えられている計算です。職業計の5.2倍より大きく、2017年度の5.0倍からも上がりました。

一方、求人の平均賃金は、IT技術者が月34.7万円で、職業計の25.9万円より高い額です。2017年度の30.2万円から14.9%上がりました。求人の賃金は上がり、求職者も増えたのに、決まる件数は減っている。この組み合わせに、ハローワーク経由でIT職を採る難しさが表れています。

この賃金は、求人票に書かれた基本給と定額の手当の、上限と下限の平均で、実際に支払われた給与ではありません。数えたのはパートタイムを除く常用の求人で、倍率や就職率とは範囲が少し違います。

1倍を下回る都道府県が32に

都道府県で見ると、景色はさらに変わります。2025年度、IT技術者の有効求人倍率が1倍を下回ったのは47都道府県のうち32で、2017年度の10から増えました。数えたのは小数第3位を四捨五入した倍率で、0.998倍の山梨県は1.00倍として1倍以上に入れています。四捨五入する前の値で数えると33です。その都道府県の職業計より低いところも、16から35になりました。

図解。題はIT技術者の求人倍率、32の都道府県で1倍を下回る。日本の形に47都道府県の四角を並べ、2025年度のIT技術者(情報処理・通信技術者)の有効求人倍率(受理地別、常用・パートタイムを含む)を色と数字で示した地図。倍率は小数第3位を四捨五入した値で数え、山梨は0.998倍で1.00倍とした。1倍を下回る都道府県は2017年度10から2025年度32、その県の職業計より低い都道府県は16から35。東京のハローワークが受け付けた割合は、全国のIT技術者の有効求人の41.2%、有効求職者の20.7%。色の区分ごとの数は2017年度と2025年度で、2.00倍以上11と3、1.50〜1.99倍14と3、1.00〜1.49倍12と9、0.50〜0.99倍9と26、0.50倍未満1と6。各都道府県の2025年度の値は、北海道0.85倍、青森0.75倍、岩手2.86倍、宮城2.06倍、秋田1.18倍、山形0.94倍、福島0.77倍、茨城0.94倍、栃木0.47倍、群馬0.88倍、埼玉0.48倍、千葉0.89倍、東京2.90倍、神奈川0.96倍、新潟1.22倍、富山0.98倍、石川1.49倍、福井1.42倍、山梨1.00倍、長野1.01倍、岐阜0.67倍、静岡1.23倍、愛知1.69倍、三重0.66倍、滋賀0.20倍、京都0.91倍、大阪1.89倍、兵庫0.57倍、奈良0.39倍、和歌山0.35倍、鳥取0.97倍、島根0.97倍、岡山0.95倍、広島1.49倍、山口0.87倍、徳島0.48倍、香川0.77倍、愛媛0.79倍、高知0.75倍、福岡1.05倍、佐賀0.80倍、長崎0.53倍、熊本0.71倍、大分0.99倍、宮崎1.93倍、鹿児島0.84倍、沖縄0.83倍。注記として、受理地別は求人を受け付けたハローワークの所在地で数え、働く場所とは限らない。全職業の2026年9月の季節調整値は、受理地別で東京都、就業地別で福井県と山梨県が最も高い。まとめは、43の都道府県で倍率が下がり、全国の1.45倍を上回るのは8都府県だけ。
都道府県別のIT技術者の有効求人倍率(2025年度・受理地別)作成: 編集部 / 出典: 厚生労働省「一般職業紹介状況(職業安定業務統計)雇用関係指標(年度)」

全国の1.45倍を上回るのは、東京都の2.90倍をはじめとする8都府県だけです。2017年度から2025年度にかけて、43の都道府県で倍率が下がりました。

東京都の数字には、読み方の注意があります。この表は、求人を受け付けたハローワークの所在地で数える受理地別です。2025年度、IT技術者の有効求人のうち41.2%は、東京のハローワークが受け付けたものでした。一方、有効求職者に占める東京の割合は20.7%です。全職業でも、2026年9月の季節調整値は、受理地別では東京都が、働く場所で数える就業地別では福井県と山梨県が最も高い倍率です。東京で受け付けた求人の中には、ほかの県で働く仕事も入っている可能性があります。

地方で社内SEの仕事を探す人にとって、全国の1.45倍は自分の県の数字ではありません。滋賀県は0.20倍、和歌山県は0.35倍で、県全体の職業計(0.94倍、0.96倍)を大きく下回ります。逆に岩手県は1.40倍から2.86倍に上がりましたが、ひと月あたりの有効求人は665人と規模が小さく、年ごとの振れ幅は大きくなりがちです。47都道府県の数字は、記事の最後の表にあります。

社内SEを目指す人は、倍率より就職率を見る

IT職の倍率が職業計より高いことと、決まりやすいことは別の話です。読み方は、立場で分かれます。

ほかの職からIT職へ移りたい20代後半から30代前半の人は、競う相手が8年で2倍を超えた層にいます。ハローワークで応募する前に、気になる求人票を10件ほど開き、仕事の内容と必要な経験や資格の欄を読んでみてください。自分が条件を満たす求人がいくつあるかを数えると、倍率よりも手元の実感に近い数字になります。

地方で探す人は、全国の倍率ではなく自分の県の数字と、県の職業計を並べて見ます。1倍を下回る県でも、通勤できる範囲の隣の県の数字は違うことがあります。東京都の数字は、受理地別の影響を差し引いて読むのが安全です。

新卒で社内SEを目指す人には、この統計はそもそも当てはまりません。社内SEという仕事の全体像と入り口は、社内SE(情シス)という就職先を図解した記事で整理しました。会社ごとの平均年収を見たいときは、IT企業の平均年収・年齢・勤続年数を有価証券報告書で比べた記事が使えます。

採用する情シスから見た充足率2.5%

自社で社内SEを募集する情シスには、充足率2.5%が気になる数字でしょう。ハローワークに出したIT技術者の求人は、新規求人100人分あたり、決まった就職が2.5件という計算です。ハローワークだけで採用の見込みを立てると、募集の期間を読み違えるおそれがあります。

ただ、応募してくる人は増えています。IT職の区分の求職者は8年で8割近く増え、とくに25〜34歳と60歳以上が厚くなりました。この中に未経験の人がどれだけいるかは表から分かりません。だからこそ、入社後に覚えてもらう範囲と、最初から求める経験を求人票で書き分けておくと、どの層に向けた募集かが伝わり、面接でのすれ違いを減らせるはずです。

賃金の目安を探しているなら、IT技術者の求人の平均34.7万円(2025年度・月給)は一つの物差しになります。もっとも、これは求人票の額の平均で、地域や経験で幅があります。自社と同じ県の求人票を何件か開いて見比べるほうが、確かな手がかりになるでしょう。

表からは読めないこと

厚生労働省の用語の解説には、求職者をどの職業の区分で数えるかの決め方は書かれていません。この記事では、情報処理・通信技術者の区分に数えられた求職者を「IT職で仕事を探す人」と呼んでいます。

求人に経験が必要かどうか、求職者が未経験かどうか、民間の転職サービスを並行して使っているかどうかも、この表には出てきません。IT技術者の求人の数を働く場所で数えた就業地別の数字も、年度の職業別の表にはありませんでした。職業別で就業地別があるのは、求人の賃金の表だけです。

自分の県の数字を確認する手順

  1. 厚生労働省の「雇用関係指標(年度)」のページを開き、通番4「有効求人数」と通番5「有効求職者数」のExcelを保存します。通番5は約24MBあります。
  2. どちらも「パート含む常用、2023年度~」のシートを開き、自分の都道府県の労働局の行から「10情報処理・通信技術者」を探します。通番5は「年齢計」の行の「性計」の列を使います。
  3. 同じ年度どうしで、有効求人数を有効求職者数で割ります。同じ労働局の「職業計」も割り、県全体の倍率と並べます。
  4. 通勤できる範囲の隣の県も、同じ手順で計算します。
  5. 決まりやすさまで見たいときは、通番7「新規求職申込件数」と通番8「就職件数」を保存し、就職件数を新規求職申込件数で割って就職率を出します。

倍率が1倍を下回る県でも、求人はゼロではありません。数字で見えるのは、競う相手の多さと決まる割合までです。そこから先は、求人票を1件ずつ読むことでしか分かりません。

47都道府県のIT技術者の倍率

北から順に並べました。順位ではありません。倍率はどれも受理地別で、年度計から計算した値です。

都道府県 IT技術者(2025年度) IT技術者(2017年度) 職業計(2025年度)
北海道 0.85倍 1.65倍 0.91倍
青森県 0.75倍 0.79倍 1.05倍
岩手県 2.86倍 1.40倍 1.02倍
宮城県 2.06倍 3.08倍 1.04倍
秋田県 1.18倍 0.99倍 1.14倍
山形県 0.94倍 1.29倍 1.18倍
福島県 0.77倍 1.78倍 1.13倍
茨城県 0.94倍 1.88倍 1.06倍
栃木県 0.47倍 1.42倍 1.09倍
群馬県 0.88倍 2.20倍 1.16倍
埼玉県 0.48倍 0.59倍 0.93倍
千葉県 0.89倍 1.08倍 0.91倍
東京都 2.90倍 4.25倍 1.53倍
神奈川県 0.96倍 1.85倍 0.78倍
新潟県 1.22倍 1.71倍 1.32倍
富山県 0.98倍 1.61倍 1.42倍
石川県 1.49倍 2.26倍 1.47倍
福井県 1.42倍 2.79倍 1.55倍
山梨県 1.00倍 1.75倍 1.13倍
長野県 1.01倍 1.95倍 1.16倍
岐阜県 0.67倍 0.94倍 1.36倍
静岡県 1.23倍 2.36倍 1.00倍
愛知県 1.69倍 3.64倍 1.13倍
三重県 0.66倍 1.35倍 1.04倍
滋賀県 0.20倍 0.90倍 0.94倍
京都府 0.91倍 2.44倍 1.10倍
大阪府 1.89倍 4.32倍 1.09倍
兵庫県 0.57倍 1.15倍 0.87倍
奈良県 0.39倍 0.63倍 1.07倍
和歌山県 0.35倍 0.42倍 0.96倍
鳥取県 0.97倍 2.56倍 1.15倍
島根県 0.97倍 1.64倍 1.24倍
岡山県 0.95倍 1.66倍 1.24倍
広島県 1.49倍 2.72倍 1.26倍
山口県 0.87倍 1.44倍 1.27倍
徳島県 0.48倍 0.70倍 1.08倍
香川県 0.77倍 1.31倍 1.33倍
愛媛県 0.79倍 1.56倍 1.25倍
高知県 0.75倍 1.44倍 1.01倍
福岡県 1.05倍 1.87倍 0.95倍
佐賀県 0.80倍 0.78倍 1.09倍
長崎県 0.53倍 0.94倍 1.02倍
熊本県 0.71倍 1.57倍 1.04倍
大分県 0.99倍 1.60倍 1.15倍
宮崎県 1.93倍 1.14倍 1.07倍
鹿児島県 0.84倍 1.37倍 1.00倍
沖縄県 0.83倍 1.45倍 0.87倍

数字は厚生労働省の公表資料から編集部で計算しました(2026年11月1日確認)。

よくある質問

Q職業別の求人倍率は、毎月どこで見られますか。

A厚生労働省が毎月公表する「一般職業紹介状況」の参考統計表に、職業別の表があります。常用(パートタイムを含む)と、パートタイムを除く常用の2種類があり、それぞれ新規求人倍率と有効求人倍率が載っています。年度の数字や都道府県別は、雇用関係指標(年度)のExcelで見られます。

Q正社員に限った求人倍率は分かりますか。

A全職業の正社員有効求人倍率は、2026年9月で1.01倍(季節調整値)です。厚生労働省は、求職者の側に派遣や契約社員を希望する人も含むため、厳密な意味の正社員の倍率より低い値になると注記しています。職業別では、情報処理・通信技術者のパートタイムを除く常用の有効求人倍率が1.48倍(2026年9月・原数値)でした。

出典・参考

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執筆・監修

佐々木 航株式会社Game

代表取締役。工学部出身で、21歳で起業してからシステム会社の経営一筋で8期目。アプリの受託開発から始め、いまはAIを使ったシステムソリューションを手がけています。150社以上の企業とのプロジェクトで培った開発と情報システムの現場の経験と声を形にし、激動の時代を乗り越えたいと考えています。

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