社員に「通販サイトから漏えいのお知らせが届いたけれど、どうすればいいですか」と聞かれたら、どこを案内しますか。IPAの窓口が、その答えになります。IPAは11月2日、「情報セキュリティ安心相談窓口」を強化し、自分の情報が漏えいして不安に感じている人の相談を受け付けると発表しました。
ただ、この窓口は補償や契約の相談を受けていません。相談の中身で案内先を分けておけば、社員をたらい回しにせずに済みます。
ほかの2件は、JVNが公表したCore Tempの脆弱性と、IPAがPHPの注意喚起に書き足した機器です。3件とも11月2日の発表で、前回のダイジェストには入っていません。1
IPA
漏えいの不安も、安心相談窓口が受け付ける(11月2日)
IPAが強化に踏み切ったのは、不正アクセスで個人情報が漏えいする事案が相次いでいるためです。窓口は全国の個人を対象に、二次被害を防ぐための対処や日頃の対策を助言します。消費生活センターなど、関係機関の窓口とも連携を強めるといいます。
連絡先は今までと同じです。電話は03-5978-7509で、受付は平日の10時から17時。IPAの案内ページによると、電話で相談できるのは1回30分以内で、メールは受け取ってから3営業日以内を目安に返信します。強化といっても、人を増やすのか、受付時間を延ばすのかは、発表からは読み取れません。

発表ではっきりしたのは、IPAが受け持つ範囲です。首相官邸が載せている相談窓口の一覧では、11月3日の時点でも、漏えいを心配する人が「まずは」かける先は188です。IPAは「パソコンやスマホへの不正アクセス・ウイルス感染」の相談先として載っています。11月2日の発表は、IPAの窓口の対応内容に「情報漏えいの被害にあわれた方の不安に対する相談」を挙げました。
「届いたメールは本物か」「パスワードはどこまで変えればいいか」のような技術寄りの質問なら、188よりIPAのほうが答えやすいはずです。でも、カードに身に覚えのない請求があったときのように急ぐ話は、窓口の返事を待たないほうがよいでしょう。メールの返信は3営業日が目安です。
案内先は、社員の相談の中身で分ける
IPAは、受けられない相談の例も案内ページに挙げています。法的解釈、契約や支払い方法、ネットのサービスの品質や役務の不履行、ほかの組織への連絡や通報の仲介、犯罪者の検挙や事件の捜査の要望などです。この例に照らすと、「漏らした会社に補償を求めたい」「退会や返金の手続きを進めたい」という相談は、IPAの窓口の対象から外れると読めます。
官邸の一覧と合わせると、社員の相談は次のように振り分けられます。
| 社員の相談 | 案内先 |
|---|---|
| 届いたメールやSMSが本物か、パスワードをどこまで変えるかなど、二次被害の防ぎ方 | IPAの情報セキュリティ安心相談窓口(03-5978-7509、平日10時〜17時。メールでも受付) |
| 漏えいした会社への補償や、退会、返金 | 消費者ホットライン(188)。近くの消費生活センターなどにつながる |
| 詐欺や脅迫など犯罪の被害の心配、運転免許証の再発行 | 警察相談専用電話(#9110) |
| クレジットカードの情報が漏れた | カード会社。相談は日本クレジット協会の「クレジットに関する消費者相談窓口」(03-5645-3361) |
| 取引のある金融機関から情報が漏れた | 金融庁の金融サービス利用者相談室(0570-016811、IP電話からは03-5251-6811) |
| ネットに載った自分の情報の削除を申し出る方法を知りたい | 違法・有害情報相談センター(総務省の委託・Webで受付) |
| 漏らしたのが携帯電話会社やプロバイダーなどの電気通信事業者で、その会社の窓口が分からない | 総務省の電気通信消費者相談センター(03-5253-5900) |
| 漏らした会社の個人情報の扱い方について相談したい | 個人情報保護委員会の個人情報保護法相談ダイヤル(03-6457-9849) |
どれに当たるか迷うなら、官邸の一覧どおり188が入口です。IPAの電話が休みの土日祝日も、188は施設点検日と年末年始を除いて原則毎日つながると、消費者庁の案内にあります。IPAに電話する社員には、相談の前に整理してほしいとIPAが挙げる項目を伝えておくと、30分を有効に使えます。端末の種類とOS、入れているセキュリティソフト、使っているクラウドサービス、時系列を含めた具体的な出来事などです。漏れた情報ごとの対処は、IPAの手引きの表として10月27日のダイジェストでご覧いただけます。
PHPの注意喚起に、VPN機器などを追記(11月2日)
IPAは11月2日、PHPの脆弱性(CVE-2026-109618とCVE-2026-109619、PHP2shell)の注意喚起を更新しました。PHPは「VPN機器やセキュリティアプライアンス製品におけるウェブインターフェース」などでも使われているとして、製品開発者が出す情報を注視し、対策が出たら適用するよう求めています。
JPCERT/CCは10月29日に、同じ向きの更新を済ませていました。中身は10月30日のダイジェストでご覧いただけます。PAN-OSでは、その前日に管理画面への攻撃が確認されています。IPAの追記は、すでに起きていることに文面が追いついた形ですが、IPAとJPCERT/CCがそろって同じことを言うようになった意味はあります。機器の点検に予算や作業の時間を取るとき、社内で説明しやすくなるでしょう。
機器の中のPHPは、利用者が自分では上げられません。だから見るべきは、PHPの版ではなくメーカーの勧告です。CiscoのExpresswayはX15.5.20でもPHP2Shell未修正だったように、「対応済み」と思った版が、メーカーの次の改訂で変わることもあります。機器ごとに修正版が出たかどうかは、脆弱性の更新16件を図解でご覧いただけます。












