脆弱性管理ツールの新着が10月下旬から増えていないなら、原因はツールではないかもしれません。JVN iPediaとMyJVNの全サービスが止まったままで、10月30日に更新された停止のページは、再開の見込みを「11月中」としました。
今日のうちに経理へ声をかけたいのは、e-Taxです。10月30日の接続しづらい事象で、一部の申告や納税の手続きが正常に完了していない可能性があり、国税庁は受信通知の確認を求めています。8月決算の会社の申告と納税の期限は、今日11月2日です。1
もう1件は、消費税率引下げに向けたe-Taxの更新日です。3件とも10月30日の更新で、前回のダイジェストには入っていません。2
JPCERT/CC・IPA
JVN iPediaとMyJVNの停止、再開は「11月中」の見込み(10月30日更新)
JPCERT/CCは10月22日、システムメンテナンスのためJVN iPediaとMyJVNを一時停止していると知らせ、再開時期は未定としていました。止まっているのは検索画面だけではありません。停止のページが挙げる対象は、JVN iPedia検索、MyJVN API、JVNDBRSS(全データフィード)、MyJVNバージョンチェッカ、mjcheck4です。
JVN本体は通常どおり使えます。ただ、再開までに公表されるJVNのアドバイザリには、JVN iPediaへのリンクが付きません。再開はJVN iPediaのトップページとXで知らせる予定です。
2025年1月のメンテナンスと比べると、今回の長さが際立ちます。このときは14日前に予告があり、1月31日17時から2月3日15時までの約3日の予定でした。今回は止まり始めた日が書かれておらず、10月22日のお知らせの時点ですでに止まっていました。その日から数えても、11月末まで続けば39日になります。理由は「システムメンテナンス」としか書かれておらず、長引く事情は分かりません。
JVNが動いているならRSSをそちらに替えれば済みそうですが、そうはいきません。IPAの統計で2026年第3四半期の登録を収集元別に見ると、99.2%がNVD経由でした。割合は編集部の計算です。
| 収集元 |
登録件数 |
割合 |
| NVD |
19,913件 |
99.2% |
| JVN |
147件 |
0.7% |
| 国内製品開発者 |
13件 |
0.1% |
| 計 |
20,073件 |
100% |
JVNの新着のRSSは10月30日の分まで配信されていて、国内で調整された案件を追うには使えます。しかしJVN iPediaの情報の大半は、NVDから集めて翻訳したものです。第3四半期と同じペースなら、止まっている間は1日約218件の登録が届かない計算です(20,073件を92日で割った編集部の試算)。
編集部がいちばん気にしているのは、止まったことに気づきにくい点です。MyJVN APIやJVNDBRSSを読むスクリプトや脆弱性管理ツールは、取得に失敗しても、画面の上では「新着なし」に見えるかもしれません。go-cve-dictionaryのように、NVDと並べてJVNのデータを取り込むOSSもあるので、自作のスクリプトだけでなく、組み込んだツールも見ておきます。
最初に見るのは新着の件数ではなく、最終取得日です。
当面の代わりは、止まったものごとに違います。
| 止まったもの |
当面の代わり |
| JVN iPediaの検索 |
製品ベンダーのセキュリティ情報を先に見て、CVE番号はNVDで引く |
| MyJVN API、JVNDBRSSを読むツール |
取得元の設定を確認し、NVDを読めるなら切り替える。できないツールは、取得できていない期間を記録しておく |
| MyJVNバージョンチェッカ |
資産管理ツールやIntuneのアプリ一覧で版を見る。台帳にないPCはwinget upgradeで更新できるアプリの一覧を出す |
次の山は、11月10日(日本は11日未明)のMicrosoftの月例です。11月のIT期限カレンダーの中でも予定が重なる日なので、情報の取得元が欠けたまま迎えないようにしたいところです。
国税庁
10月30日のe-Tax、受信通知の確認を(10月30日)
e-Taxは10月30日10時頃から接続しづらくなり、いまは解消しています。同じ日には、一部の受信通知のメッセージボックスへの格納も遅れました。解消した時刻、原因、影響した件数は、どちらのお知らせにも書かれていません。
国税庁がe-Taxのサイトに掲載したお知らせ。受信通知の確認を求めている出典: 国税庁(e-Tax)(引用)
目を引くのは、利用者の側に確認を求めた点です。9月25日にe-Taxの一部の機能が使えなくなったときのお知らせには、この依頼はありませんでした。10月30日は10月の最後の平日です。送信したはずの手続きも、受信通知を見るまでは完了と言い切れません。
確認するのは経理ですが、つまずくと情シスに声がかかるはずです。次の3点を押さえておくと答えられます。
- 法人は、e-Taxソフト(WEB版)に利用者識別番号とパスワードでログインし、「お知らせ・受信通知」を開きます。受付日時や手続き名で送信した内容を探し、メッセージを開くと受信通知が出ます。法人はこのログインで、メッセージの詳細をすべて見られます。
- 受信通知にエラー情報がなければ、正常に送信できています。送信直後の即時通知でエラーが出たときは、受信通知は格納されません。
- 「送信エラー」と出ていたら、内容を確認して訂正し、再送信します。
受信通知が見当たらないときに送り直すかどうかは、経理と顧問税理士の判断です。期限が今日の手続きは、午前のうちに確認を終えると、送り直す時間が残ります。
解消のあともつながらないなら、原因は社内の設定かもしれません。KSK2の稼働でe-TaxのIPアドレスは固定から動的に変わったので、ファイアウォールやプロキシーにIPアドレス指定の許可が残っていないかも見ておきます。国税庁KSK2の記事で詳しくご覧いただけます。総務や経理の側の動きは、ベンチャー・スピリット!の10月30日の国の情報まとめで読めます。
税率1%のe-Tax受付は2027年5月24日の予定、社内の目安は4月1日(10月30日)
国税庁は10月30日、e-Taxソフトを令和9年5月24日(月)に更新し、消費税率引下げに対応した帳票の受付を始める予定だと知らせました。帳票の一覧には、一般用と簡易課税用の申告書、付表など20行が並びます。仕様書のドラフト版は令和8年内を目途に公開する予定です。
もとになる大綱は9月15日に閣議決定され、2027年4月1日から2029年3月31日までの2年間、飲食料品の税率を1%に下げる内容です。国税庁の特設サイトは11月2日の時点でも、法案が可決・成立した場合の内容だと断っています。
社内の期限を5月24日と読むと、遅れます。5月24日は申告の受付の話で、法案が成立した場合に税率が変わるのは、その53日前の4月1日だからです。
食品を売らない会社にも関係します。法案が成立すれば、来客用に買うお茶や配達の弁当のように今8%の品は、請求書やレシートの税率が1%になります。酒類や外食、ケータリングは10%のままです。編集部は、経費精算と会計の税区分に1%が要るとみています。
切り替えの時期は、日付だけでは決まりません。国税庁のQ&Aでは、買い手は売り手が適用した税率で仕入税額控除を計算します。3月30日に出荷され4月2日に届いた品でも、売り手が8%で請求すれば8%です。
8%もなくなりません。同じQ&Aでは、条件を満たす前払いの定期便やカタログ販売、3月31日以前に販売した分の返品、定期購読で週2回以上発行される新聞は、4月1日以後も8%です。だから、税率を1か所書き換える改修では足りません。10%と8%と1%を取引ごとに使い分ける形になりそうで、2年間の措置が終わる2029年4月には、もう一度切り替えが来ます。
法案の成立を待ってから動くと、年度末の繁忙期と重なるおそれがあります。編集部は、仕様の確定を待たずに、ベンダーへ対応の時期だけ先に聞いておくのがよいとみています。
同じ日には、令和9年1月4日受付開始予定のe-Tax仕様書のドラフト版も載りました。源泉徴収票のオンライン送信やクラウドサービスを使った法定調書の提出などの仕様で、見るのはe-Taxとつなぐソフトを自社で開発している会社です。確定版は11月25日に掲載の予定です。
影響する会社と、今週でなくてよい会社
| 件 |
影響する会社 |
影響しない会社 |
動く時期 |
| e-Taxの受信通知 |
10月30日の10時頃より後にe-Taxで申告や納税をした会社。8月決算で今日が期限の会社は最優先 |
その時間より後にe-Taxを使っていない会社 |
今日 |
| JVN iPediaとMyJVN |
MyJVN APIやJVNDBRSSを読むツール、バージョンチェッカを手順に入れている会社 |
製品ベンダーの情報とNVDを直接見ていて、JVN iPediaを使っていない会社 |
11月10日の月例まで |
| 税率1%への対応 |
飲食料品を売る会社、経費精算や購買で飲食料品を扱う会社 |
飲食料品の売買も経費の計上もない会社 |
年内にベンダーへ確認 |
急ぐのは1行目だけで、経理に一声かければ済みます。
今日から月例までの手順
- 経理に、10月30日の10時頃より後にe-Taxで送った申告と納税がないかを聞き、あれば受信通知を見てもらいます。解消の時刻が書かれていないので、その後に送った分も含め、期限が今日の手続きから確認します。顧問税理士が送信した分は、税理士に確認を頼みます。
- MyJVN API、JVNDBRSS、バージョンチェッカを使うツールと手順書を洗い出し、それぞれの最終取得日を確認します。
- 止まっているものに表の代わりの確認先を割り当て、11月10日の月例の前に手順書へ書き足します。
- JVN iPediaの再開後に、最終取得日より後の分が取り込まれたかを確認する予定を入れます。
- 会計、販売、購買、経費精算のベンダーに、1%の税区分と8%の併存への対応時期を聞きます。税率を直書きした社内のマクロも探します。
月例の前に、1つだけ確かめてみてください。自社の脆弱性の一覧は、最後にいつ更新されましたか。