10月の定例の更新から2週間、リモートデスクトップ でつなげない端末を回避策でしのいでいた会社には、ひとまず出口が見えました。Microsoft は10月28日(米国時間)、Windows 11 の任意のプレビューの更新KB5127936を出し、管理者保護を有効にした端末へのリモートデスクトップの接続が失敗する問題を直しました。
ただし、直ったのはWindows 11の25H2と26H2(と、別の更新で26H1)です。既知の問題のページを見ると、24H2はまだ「回避策のみ」の状態にあります。版ごとに、修正を入れるか、回避策を続けるかが分かれます。
25H2の既知の問題のページ。KB5127936で解決済み 出典: Microsoft「Windows 11, version 25H2 known issues and notifications」 (引用)
直ったのは25H2・26H2と26H1、24H2はまだ
この問題は、9月の任意のプレビューの更新(KB5124010)かそれ以降の更新を入れた端末で起きていました。管理者保護(Administrator protection)を有効にした端末に、管理者でない利用者がリモートデスクトップでつなぐと、「The token that was passed to the function is invalid.」と0xC000000Dのエラーが出て失敗します。中身と回避策は、10月14日の記事にまとめています(Windows 11でリモートデスクトップ接続が失敗する不具合 [管理者保護]絡み、回避策あり )。
既知の問題のページを見ると、状態は版によって違います。
Windowsの版
10月30日に確認した状態
直った更新
Windows 11 25H2・26H2
解決済 み(10月28日)
KB5127936とそれより後の更新
Windows 11 26H1
解決済み(10月28日)
KB5127653
Windows 11 24H2
回避策のみ(10月13日から)
まだ無い。Microsoftは今後の更新で直すとしている
24H2の既知の問題の一覧。同じ問題は「Mitigated」のまま 出典: Microsoft「Windows 11, version 24H2 known issues and notifications」 (引用)
Microsoftは、セキュリティの基準の設定(Windowsのセキュリティベースライン)を当てている会社では、24H2・25H2・26H2で管理者保護が初めから有効になると注記しています。自分で有効にした覚えが無くても、ベースラインを当てていれば当たりえます。
入れるか、11月10日の定例を待つか
KB5127936は、セキュリティの修正を含まない任意の更新です。Microsoftは、KB5127936「とそれより後の」更新で直ったとしています。11月の定例の更新(11月10日の予定)を入れれば、この修正も入ることになります。
それまでの約2週間をどうしのぐかで、選び方が分かれます。
やり方
向いている場合
気をつけること
KB5127936を先に入れる
リモートデスクトップの接続先の端末で困っている部署がある
任意の更新なので、少ない台数で試してから広げる
回避策で管理者保護を一時的に切る
プレビューを入れない決まりがある
管理者の操作の再確認が無くなる。修正を入れたら元に戻す
何もしない
管理者保護を使っていない、またはリモートデスクトップで管理者でない利用者がつながない
11月の定例の更新でまとめて直る
回避策は、管理者保護を一時的に切るものです。IntuneかグループポリシーでUACの「管理者承認モードの種類」のポリシーを、元の値に戻します(英語の名前はUser Account Control Type Of Admin Approval Mode)。24H2の端末には、今のところこの方法しかありません。
ほかに管理者が見ておく修正
KB5127936には、10月の不具合の修正がほかにも入っています。会社の端末で関係しそうなものは、次のとおりです。
分野
中身
リモートデスクトップ
信頼する.rdpの発行元の証明書の拇印を指定するポリシーを、Intuneで設定できなかった問題を修正
Always On VPN
9月のセキュリティ更新のあと、プロトコルの自動選択や切り替えを設定した接続が「接続中」のまま止まる、または「The specified port is already in use」が出る問題を修正
Smart App Control
一度切ったあと、Windowsセキュリティの画面でオンに戻せなかった問題を修正
アプリの制御
PS_UpdateAndCompareCIPolicyのCIMメソッドを使ったあと、端末が起動しなくなることがある問題を修正
証明書
Microsoft以外の鍵の保存の仕組みが異常な値を返したとき、TPMの証明書の登録が止まる問題を修正
BitLocker
起動前のPINの再入力の扱いを改め、TPMの総当たり防止の締め出しと回復キーの入力を招きにくくした
スマートカード
PIVのスマートカードで、RSA-3072の鍵に対応
Windows PowerShell
名前に「5.1」を付ける。スタートメニューのショートカットは前の名前のまま残ることがある
Always On VPNの件は、Microsoftが一度「10月の更新で直った」とした案内を取り消していたものです。経緯は、Always On VPNの接続失敗、10月更新でも未修正Microsoftが訂正 にあります。Smart App Controlの件は、Windows10月更新でSmart App Controlを有効化できない不具合 にまとめています。リリースプレビューの段階で出ていた、メモリ整合性やIPv6のCLATなどの変更は、Windows 11の次の更新、メモリ整合性を自動で有効にIPv6のCLATも にまとめています。
残っている問題と、イメージに入れるときの注意
KB5127936の時点でも、9月8日のセキュリティ更新から続く、USB Audio Class 1.0の機器が「このデバイスを開始できません(コード10)」で動かない、または音が出ない問題は直っていません。Microsoftは解決に取り組んでいるとしています。
もう1つは、Windowsのイメージにこの更新を組み込む場合です。動的な更新として既存のイメージに入れるときは、インストールの媒体にboot.stlのファイルを含めないと、媒体から起動できず、0xc0430001のエラーになることがあるとしています。boot.stlはセキュアブートの検証に使うもので、更新するイメージの版と種類に合っている必要があります。
影響する端末と、影響しない端末
影響するのは、Windows 11の24H2・25H2・26H2・26H1の端末のうち、管理者保護を有効にしていて、管理者でない利用者がリモートデスクトップでつなぐ先になっている端末です。共有の作業用の端末や、開発・検証の端末に多い使い方です。Microsoftは、Windows Serverは対象に入っていないとしています。
Always On VPNの件は、9月のセキュリティ更新を入れ、プロトコルの自動選択や切り替えを設定している会社が対象です。
11月10日までの手順
管理者保護が有効な端末を、Intuneの構成やグループポリシー、ベースラインの適用状況から洗い出し、版(24H2か25H2以降か)で分けます。
25H2・26H2で、リモートデスクトップの接続先として困っている端末があれば、KB5127936を数台で試します。接続とAlways On VPNを確かめてから広げます。
24H2で困っている端末は、回避策を続けます。回避策を当てた端末の一覧を作り、修正が出たら元に戻せるようにしておきます。
Windowsのイメージを作り直している場合は、boot.stlを含めているかを、イメージを作る担当に確かめます。
11月の定例の更新を配る計画に、回避策を戻す作業と、USBの音声の機器の確認を入れます。