印刷大手のTOPPANは、受託する「保険料控除証明書 発行サービス」の運用業務で、契約者のデータを、本来の宛先ではない別の保険会社へ誤って送ったと公表しました。原因は、サイバー攻撃ではなく、納品時の手作業の誤操作です。この記事は、同社の公式のお知らせに書かれていることだけをまとめます。
何が起きたか
TOPPANは、生命保険料控除などの証明書を発行するサービスを、複数の保険会社から受託して運用しています。今回、この業務の納品データの受け渡しで、損害保険ジャパンの契約者情報を含むファイルが、誤って別の1社の損害保険会社へ送られました。
対象は177,426名です。ただし、同じ契約者の重複を含む可能性があり、精査の後に減る場合があるとしています。
発覚は、受け取った側からの指摘でした。2026年9月1日17時15分に、誤送付先の損害保険会社が日本損害保険協会へ照会し、9月2日に協会からTOPPANへ調査の要請があって判明した、という経緯です。自社の監視で気づいたのではなく、取引先の連鎖で分かった形です。
混入した情報と、含まれない情報
| 区分 |
内容 |
| 別の会社へ送られた |
カナ氏名、保険料控除用の証券番号、業務ID |
| 含まれない |
漢字氏名、住所、生年月日、電話番号、メールアドレス、クレジットカード情報、金融機関口座情報、マイナンバー |
原因は、納品時の手作業
公式の説明によると、原因は次のとおりです。
- 控除証明書のハガキを出さない契約者のリスト(CSV)を、ZIPファイルにまとめて納品していた
- 複数の保険会社向けのZIPファイルを、同じフォルダに置いていた
- マウスのドラッグ&ドロップの誤操作で、損保ジャパン向けのファイルが、別の会社向けのZIPの中にコピーされた状態になった
- 送信前に、ZIPの中身を確かめる工程が、機能していなかった
TOPPANは、この事案はシステム障害や不正アクセス、サイバー攻撃ではないと明言しています。再発防止として、ドラッグ&ドロップをやめて「ファイルを選択」する方式に統一する、作業者とは別の確認者が全工程を確認する、添付ファイルの容量・タイムスタンプを元データと照合する、送付プロセスを恒久的に仕組み化する、の4点を挙げています。
影響する会社・しない会社
- 影響する: 損保ジャパンの契約者で、今回の対象に含まれる人です。カナ氏名、控除用の証券番号、業務IDが、別の1社へ渡りました。対象者への案内は、委託元の損保ジャパンが行うとしています。
- 影響する: 外部の委託先に、顧客データの作成や発送を任せている会社です。委託先の手作業の工程に、誤送付を防ぐ仕組みが入っているかを確かめる価値があります。
- 影響する: 1つの受託先が、複数の顧客のデータをまとめて扱っている業務です。宛先の取り違えが、他社のデータの混入に直結します。
- 影響しない(可能性が高い): データの受け渡しを、宛先ごとに分け、送信前に中身を照合している業務です。ただし、本当にそうなっているかは、作業の現場を見ないと分かりません。
情シスが今日やること
- 宛先ごとにデータを分ける。複数の宛先のデータを、同じフォルダに置いていないか。置いていると、取り違えが起きます。宛先ごとにフォルダや経路を分けます。
- 送信前の照合。ファイルを送る前に、中身・件数・容量・日時を、元のデータと突き合わせているか。手順書だけでなく、仕組みで止める形にできないか考えます。
- 別の人の確認。作業した人とは別の人が、宛先と中身を確かめる段取りがあるか。1人で完結していないかを確かめます。
- 手作業を仕組みに。ドラッグ&ドロップのような、取り違えやすい手作業を、選択式や自動化に置き換えられないかを検討します。