NTTは2026年10月21日、光ファイバとAIを使い、給水管の漏水位置を特定する実証に成功したと発表しました。福岡市管工事協同組合と福岡市内で共同実施し、専門的な熟練スキルなしで、測定からAI解析まで約15分で完了したとしています。経験に頼ってきた漏水探査を、測定データとAIで支える取り組みです。
路上にデバイスを置き、5分間の振動を測る
実証の対象は、地下30cmから120cmに埋設された給水管です。給水管の真上に当たる路上に光ファイバデバイスを置き、漏水に伴う微弱な振動を測定しました。
測定には、光ファイバを使って振動を捉える分布型音響センシング技術(DAS)を使用しました。現場ではデバイスを敷き、5分間の振動測定を行います。その後、AIが周囲の雑音から漏水による振動を取り出し、特徴的な振動がある地点を自動で推定します。
福岡市管工事協同組合は、給水管情報の確認と、掘削による実際の漏水位置の確認を担当しました。AIの推定だけで結果を判断するのではなく、現場で確認した位置と照合した実証です。
NTTによると、光ファイバセンシングによる給水管の漏水位置特定の実証成功は世界初です。
実務上の精度目標を上回る結果、全国導入を目指す
NTTが示した推定精度は、水平誤差75cm以内で正解率88%でした。同社が実務上の目標とする「誤差80cm以内で正解率80%以上」を上回っています。ただし、今回示されたのは実証対象の給水管で得られた結果です。異なる埋設条件でも同じ精度になるとまでは判断できません。
従来の音を聞く漏水探査は、熟練者の経験に依存し、習得に数年を要したとNTTは説明しています。今回の成果は、漏水位置の推定に必要な作業を、専門的な熟練スキルなしで進められた点にあります。
今後は解析精度と現場での運用性を改善し、全国の水道事業者・自治体への導入を目指します。導入済みのサービスの更新ではなく、実証成果の発表として捉える必要があります。価格や具体的な導入開始時期は、発表には書かれていません。
研究成果は、2026年11月18日~25日のNTT R&D FORUM 2026に展示予定です。
影響する会社・しない会社
- 影響する: 給水管の漏水探査を担う水道事業者・自治体。NTTが今後の導入先として挙げており、技術継承や人材不足への対応を検討する際の確認対象になります。
- 影響する: 給水管情報の確認や漏水箇所の掘削確認を担う組織。今回の実証では福岡市管工事協同組合が担当しており、導入検討ではAIの精度だけでなく、現場との役割分担も論点になります。
- 影響しない: 業務用の光回線を利用しているだけの会社。今回の発表は給水管の漏水位置特定に関するもので、通信サービスの契約や設定の変更は発表には書かれていません。