取引先 から「納税証明書 を出してください」と言われ、経理 の担当者が税務署の窓口へ行ったところ、普段は待たない窓口で、何時間かかるか分からないと言われた。国税庁の新システム「KSK2」が稼働した2026年9月24日以降、こうした場面が全国で起きています。
日経クロステックは10月26日付の記事で、稼働から1か月がたった今も納税証明書の交付に通常より時間がかかり、国税労働組合総連合(国税労組)が解決を求めていると伝えています。国税庁は自分のサイトで案内を更新し続けており、この記事ではその公式の案内を中心に、会社の経理と情シス に関わる部分を整理します。
国税庁が案内していること
国税庁の「税務署窓口における各種手続について」は、9月24日の掲載後、28日・29日・10月19日に更新されています。10月19日版の中身は次のとおりです。
現金領収、納税証明書の交付など、税務署窓口の各種手続に、通常より時間を要する場合がある
窓口の業務に必要なシステムの稼働について、改善に取り組んでいる
納税証明書は、e-Taxで請求しても通常より時間がかかる。電子交付を希望しても、書面での交付になる場合があり、その場合は税務署から連絡がある
電子申請をするときは、マイページの「基本情報」の電話番号の欄に必ず登録する。登録がないと、税務署から連絡できず、手続を進められない
電子申請の処理状況は、税務署に問い合わせる
国税の納付は、ダイレクト納付、インターネットバンキング、クレジットカード納付、スマホ アプリ納付などのキャッシュレス納付を使う
状況は、あらためて国税庁のホームページで知らせる
あわせて、国税庁の納税証明書のページには、2026年10月1日から全国のすべての税務署で、総合窓口の受付時間を原則として午前9時から午後3時までとする、との記載があります。窓口の待ち時間と受付時間が重なり、午後に着くと間に合わない可能性があります。
e-Taxについては、9月25日(金)に一部の機能が使えない状況があり、国税庁(e-Tax)の9月27日付の更新で解消したと案内しています。9月25日午前0時から4時には、障害対応の緊急メンテナンスも実施されました。
うちの会社に影響するのはどの手続か
国税庁の案内は、遅れの対象を窓口の手続としています。会社の業務に当てはめると、次のように分かれます。
影響する: 入札、融資、補助金、許認可の申請などで、納税証明書を求められる会社。請求から受け取りまでの日数が読めません。
影響する: 税務署の窓口で、現金で税金を納めている会社。受付が午後3時までで、手続にも時間がかかります。
影響する: e-Taxで納税証明書を請求し、電子交付を待つ会社。書面になる場合があり、電話番号の登録がないと止まります。
影響しない: e-Taxの申告や、ダイレクト納付・インターネットバンキングなどのキャッシュレス納付が中心の会社。窓口の遅れは、直接はかかりません。
影響しない: 納税証明書をふだん使わない会社。ただし、後で必要になったときの日数には注意が必要です。
還付金や申告の受付の遅れについて、国税庁の案内(10月19日版)は触れていません。処理状況を知りたいときは、案内にあるとおり、管轄の税務署に電話で聞きます。
窓口の遅れとは別に、会社の設定で確かめる変更点
KSK2の稼働では、窓口以外にも会社の側に関わる変更がありました。国税庁の「国税システムの更改について」から、情シスが関わるものを挙げます。
国税庁が告知した、e-TaxのIPアドレスと電子交付などの変更 出典: 国税庁「国税システムの更改について」 (引用)
e-TaxのIPアドレスは、固定から動的(接続のたびに変わる)に変更されました。ファイアウォールやプロキシーで、e-TaxのIPアドレスを指定して通信を許可している会社は、URLで指定する設定に変更する必要があります。許可が古いままだと、e-Taxに接続できなくなるおそれがあります。
処分通知等の電子交付は、対象が広がり、同意の方法が「申請などの都度」から「事前の一括同意」に変わりました。電子交付を使っていた会社も、e-Tax上で一括同意の手続が必要です。
税務署から届く文書や納税証明書で使う漢字は、JIS X 0213の範囲になりました。旧字体の一部は字形が変わるか、手書きで表示されます。取引先や金融機関に出す書類の表記と食い違わないか、届いた証明書で確かめておくと安心です。納付書の「整理番号」(8桁)は、「お問い合わせ番号」(13桁)に変わりました。
会社・情シスが今日やること
納税証明書がいつまでに要るかを洗い出す。 入札、融資、更新の申請など、経理や総務が出す予定の書類を一覧にし、期限から逆算して請求日を前倒しします。
e-Taxの電話番号を確認する。 会社のe-Taxのマイページを開き、基本情報の電話番号の欄が登録されているかを確かめます。担当者が退職していて、つながらない番号になっていないかも見ます。
接続の許可設定を確認する。 ファイアウォールやプロキシーの設定で、e-TaxのIPアドレスを指定しているものがあれば、URLでの指定に切り替えます。
電子交付の一括同意を済ませる。 電子交付を使う会社は、e-Taxで事前の一括同意の手続が済んでいるかを、経理の担当者に確かめます。
窓口へ行く日と時間を決める。 午後3時までの受付を前提に、午前のうちに着く日程にします。納付はキャッシュレスに切り替えられないか、検討します。
国税庁は、状況は改めてホームページで知らせるとしています。案内のページを週に1回ほど見て、改善の知らせが出たら、請求の予定を見直してください。