富士通は2026年10月22日、ミスミグループ本社向けに、異なる役割のAIを組み合わせた商品情報管理基盤を構築したと発表しました。ミスミは2026年10月から、ECサイトに掲載する数万点の商品を対象に実運用を始めています。情報の収集からAIによる生成・評価、人の最終確認までを一連の流れにした点が特徴です。
富士通が発表に添えた画像出典: 富士通(PR TIMES)(報道用の素材)
9つのAIが生成と点検を分担、人が確認・承認
基盤には「Fujitsu Data Intelligence PaaS」を活用しました。役割を持って処理を担うAIエージェントを9つ組み合わせ、シリーズ名称の生成、カテゴリ候補の提示、仕様情報の抽出などを分担させています。
AIは情報を作るだけではありません。使用できない文字である禁則文字の確認や、候補が妥当かどうかの評価も担当します。さらに、AI同士が互いの出力を評価する仕組みを採用しました。
そのうえで、業務の流れには担当者による確認・承認を組み込んでいます。富士通によると、AIの相互評価と人の確認を通じて、表記ゆれや分類のばらつきを抑える狙いです。今回の実運用は、最終確認までをAIだけで完結させるものではありません。
現場の判断基準を反映、約2.5カ月で実業務に適用
ミスミでは取扱商品の拡大に伴い、カテゴリや仕様情報などの登録対象が増えていました。新規商品の登録などには、複数のシステムや外部サービスを使う手作業が多く、掲載までに時間がかかっていたといいます。
構築では、富士通のFDEと呼ばれる担当者が現場と連携し、業務上の判断基準や確認方法をAIに反映しました。短い単位で開発と改善を重ねるアジャイル手法を使い、現場の意見も継続的に取り入れています。富士通によると、プロジェクト開始から約2.5カ月で実業務に適用しました。
今後は、サプライヤーの商品データ取り込みから、商品情報の基礎となる商品マスタの管理まで、適用を広げる方針です。周辺システムとの連携や他業務への展開も進めます。担当者の最終確認・承認を含む、さらなる自動化は将来の目標です。
影響する会社・しない会社
- 影響する: 今回、直接業務が変わるのは、ミスミで対象商品の情報管理を担う部門です。数万点のEC掲載商品の管理に、AIの生成・評価と人の承認を組み合わせた流れを使います。
- 影響する: 複数システムや外部サービスを使って商品情報を手作業で登録している会社は、検討の参考になります。ただし、同じ仕組みを導入できる条件や、他社で得られる効果は発表には書かれていません。
- 影響しない: ミスミの今回の対象業務に関わらない会社に、システム変更や更新を求める発表ではありません。一般向けサービスの仕様変更として受け止める必要はありません。
他社が参考にする際は、AIの数や開発期間だけでなく、どの判断をAIに任せ、どこで人が承認するかを分けて読むことが重要です。
情シスが今日やること
今回の発表を受けた一律の対応期限はありません。商品情報管理の自動化を検討する情シスは、導入判断の前に次の点を確認するとよいでしょう。
- 商品管理の担当部門と、現在の登録作業を確認する。 自社の商品登録画面や作業手順書を見ながら、名称・カテゴリ・仕様をどこに入力し、どの外部サービスを参照しているかを一覧にします。発表には個別の管理画面名や操作方法は書かれていないため、自社の業務を起点に整理します。
- AI導入の相談前に、判断基準を集める。 商品管理の責任者に、表記ルール、分類基準、使用できない文字、差し戻し理由の整理を依頼します。今回の事例でも、現場の判断基準と確認方法をAIに反映しています。
- 試行を始める前に、承認者を決める。 AIが作った名称や抽出した仕様を誰が確認し、どの段階で承認するかを担当部門と合意します。将来の自動化構想と、現時点で人が担う確認を混同しないことが大切です。
- 社内説明では、実績と計画を分ける。 約2.5カ月は今回の実業務への適用実績として共有し、自社の納期には置き換えないようにします。商品マスタ管理への拡大や最終承認を含む自動化は今後の方針として、導入検討メモにも区別して記載します。