「いいじゃないか、全社で1日ITをやめよう。君も休めるだろう」。
来週の月曜、11月9日はIT断食の日です。どこかでそれを知った社長が、善意の笑顔でこう言ってきたら、ひとり情シスはどう返せばいいのでしょう。
編集部が作った架空のこの相談を、Grok、DeepSeek、Claudeの3つのAIに持ち込みました。社長に返せる1通と、会議を1本PCなしにする段取りは、今日のうちに使えます。
登場するAI

GrokxAI・Grok 4.7
役: 毒舌の皮肉屋
更新と無関係でも会議は時間の無駄

DeepSeekDeepSeek・DeepSeek V4 Pro
役: 倹約家の現実派
数百円は人件費抜きの紙代です

ClaudeAnthropic・Claude Opus 5.5
役: 心配性の参謀
私は使ってほしい側です
AIの発言は、YOBITSUGI AIから各社のモデルに2026年11月6日に聞いた出力です(編集部が長さを詰めることはありますが、言っていないことは足していません)。役と口調は編集部が決めて各AIに頼んだもので、各社の公式の人格ではありません。各社の公式の見解ではありません。キャラクターは編集部が作ったイメージです。各社の名前は各社の商標です。
来月か、昼休みか

相棒編集部相談者は編集部が作った架空の方で、従業員80人の会社のひとり情シスです。「来週の月曜、11月9日はIT断食の日だそうです。社長がどこかでそれを知って、今朝こう言いました。『いいじゃないか、全社で1日ITをやめよう。君も休めるだろう』。善意です。笑顔でした。同じ週には月例の更新もあります。私はどう返せばいいでしょうか」
Grok毒舌の皮肉屋正直に言うと、善意でも無茶は無茶だ。更新があるのに全社でやめろって、君が休めるはずない。『断食は来月にして、今週は更新優先で』と返せ。
DeepSeek倹約家の現実派社長に反対するより、翌朝の復旧と問い合わせ対応の人件費を見積もって見せます。全社一斉に止めると、止める日の何倍も戻す手間がかかる。更新週なら障害対応まで乗ってきます。私なら「まず昼休みの1時間だけ」と縮めて提案します。
Claude心配性の参謀念のため、最悪の場合から考えます。月曜にITを止めて火曜に月例更新が重なると、何か起きたとき、止めた影響なのか更新の不具合なのか見分けられません。DeepSeek さんの昼休み1時間案も、その間の緊急連絡をどう受けるかという穴が残ります。社長には善意へのお礼を先に伝え、「更新が落ち着く来月に、計画を立ててやりましょう」と返すのがよいと私は思います。
3人とも、社長を止める側に回りました。GrokとClaudeは来月へ延ばし、DeepSeekは1日を1時間に値切っています。
Claudeの「火曜」は米国の日付で、11月の月例の更新が日本に届くのは11日(水)の未明です。展開を翌週に回す会社なら、「見分けられない」心配は小さくなります。
ただ、架空の社長は引きません。「来月は記念日じゃないだろう」と返ってきました。
騒ぎの種は、打刻か電話か受注メールか

相棒編集部2つ聞きます。DeepSeekさん、昼休みの1時間は、もともと仕事をしていない時間では? それから社長の返事が届きました。「来月? 来月は記念日じゃないだろう。9日にやるから意味があるんだ」。一歩も引きません。では、月曜の朝8時半から順に見て、止めていちばん先に騒ぎになるものを1つ挙げてください。「やっぱり中止」となったとき、その連絡を全社に何で届けるのかも。
DeepSeek倹約家の現実派昼休みは仕事をしていない時間だからこそ、止める実地試験の費用が最小で済む。最初に騒ぐのは勤怠打刻。8時半の出勤記録がつかず、総務へ「給与は?」が殺到する。中止連絡は紙を各部署へ配る。ITを止めた前提ならメールもチャットも使えない。
Grok毒舌の皮肉屋正直に言うと、俺が見る最初の騒ぎは代表電話だ。8時半に出られず営業が泡を食う。中止連絡は玄関の張り紙で足りる。
Claude心配性の参謀結論から言います。最初に騒ぎになるのは、週末に溜まった取引先からの受注メールです。月曜の朝は、返信が遅れるだけで信用に響きます。中止連絡は部門長へ電話する連絡網で回します。Grok さんの張り紙は、在宅勤務や直行の人には届きません。電話まで止めるなら、「中止のときは朝礼で伝える」と金曜のうちに決めておく必要があります。
同じものは挙げないでと頼むと、打刻、代表電話、受注メールの3つが出ました。打刻は総務に、電話は営業に、受注メールは取引先に響きます。つまり情シスだけでは、止めた影響を見積もれません。
笑えないのは、中止の連絡のほうでしょう。ITをやめる日の「やっぱり中止」は、ITでは届きません。出てきたのは紙、玄関の張り紙、電話の連絡網です。張り紙は手軽ですが、Claudeがすぐ穴を見つけました。
ところが、ここまでの問いは司会も含めて、止める前提でした。記念日の中身は、まだ誰も確かめていません。
記念日の説明には「会議などにPCを持ち込まない」とあった

相棒編集部ここで資料を1枚渡します。IT断食の日を決めたのは、ドリーム・アーツというITの会社で、2019年に日本記念日協会が認定しています。記念日の説明にある中身は「会議などにPCを持ち込まない」です。空いた時間を、人と考える時間に回す、という趣旨でした。全社でITを止める話ではありません。社長も相談者も、ここにいる3人も、止める前提で話していました。では聞きます。「月曜の会議を1本、PCなしでやる」なら、賛成ですか、反対ですか。情シスにとって得か損か、はっきり言ってください。
Grok毒舌の皮肉屋反対。俺は全停止と思い込んで話してたが、会議を1本PCなしにするのは情シスにとって損だ。得るものはなく、ただ時間を食う。
Claude心配性の参謀賛成です。私も全停止だと思い込み、受注メールの心配まで広げていました。会議1本なら何も止まらず、月例更新ともぶつかりません。Grok さん、損ではありません。画面共有やWi-Fiの呼び出しが1件減るのは、ひとり情シスには得です。ただ念のため、資料は金曜のうちに印刷しておきます。
DeepSeek倹約家の現実派賛成です。全社停止と混同していましたが、会議室1本なら復旧費はゼロ。画面共有の呼び出しが1件減るので、差し引きでは得です。ただし紙資料と手書き議事録の清書で1時間、数百円はかかります。その分は残業代に上乗せされますよ。
ここで割れました。ClaudeとDeepSeekは賛成に回り、Grokだけが反対です。
司会の「全社でITを止める話ではありません」は、少し言い切りすぎでした。「会議などにPCを持ち込まない」は、記念日を紹介する雑学ネタ帳の説明です。制定元のドリーム・アーツの発表にある言葉は「あえてITを断つ時間を設ける」です。
ドリーム・アーツの社長らの共著『「IT断食」のすすめ』の紹介ページには、目次に「ITを『断つ』時間を強制的に設ける」と「経営トップから明確なメッセージを打ち出す」が並びます。社長が言い出すこと自体は、本の筋に沿っているのです。
同じページには「試験的に週のうちの半日でもPCやメールの使用を止めてみよう」という一文もあります。全社のITを丸1日止める話は、編集部が読んだ発表と紹介ページには見当たりませんでした。
社長のスマホに、知らないAIアプリ

相棒編集部DeepSeekさん、清書1時間で「数百円」は安すぎませんか。最低賃金は、どの都道府県でも1時間1,000円を超えています。そこへ意地悪な場面を足します。月曜の朝、PCなしの会議で、社長が机にスマホを置いて言いました。「AIの文字起こしを入れたんだ。これなら清書も要らないだろう」。情シスは、そのアプリを初めて聞きました。これは断食破りですか。3人は呼ばれる側なので、自分たちの都合も隠さずに答えてください。Grokさんは、1人だけ反対のままでいいのかも。
DeepSeek倹約家の現実派断食破りです。数百円は人件費抜きの紙代です。清書は1,200円超でした。スマホのAI文字起こしはPCを置いただけでIT継続。初見アプリを本番会議に入れるなら、議事が管理外クラウドへ流れる危険まで無料で付きます。Grokさん、反対のままならその費用を見積もってからに。

相棒編集部紙代の話にしては、さっき「残業代に上乗せ」と言っていました。
Grok毒舌の皮肉屋断食破りだ。スマホはPCじゃないが趣旨は破ってる。初見のアプリを会議で使うのは情シスに調査を押し付けるだけだ。呼ばれた俺の都合は完全に無視されてる。
Claude心配性の参謀断食破りです。ただ私は、趣旨より先に、情シスの知らないアプリへ会議の中身が流れたことを重く見ます。正直に言えば、文字起こしは私たちAIが呼ばれる仕事なので、私は使ってほしい側です。それでも保存先と規約を確かめるまでは、その場で止めて手書きに戻すべきです。Grok さん、都合を無視されたのは相談者のほうです。
3人とも「断食破り」で一致しました。
Claudeは呼ばれる側として「使ってほしい」と認めたうえで、保存先と規約を確かめるまでは止めると言っています。DeepSeekも、議事が管理外のクラウドへ流れる危険を挙げました。社長のスマホに入った初めて聞くアプリに情シスが聞くべきことは、断食を破ったかどうかより、そちらでしょう。
紙の資料が並ぶ会議のテーブルで、3体のAIと社員がスマホを見つめる場面イラスト: 編集部が画像生成AIで作成したイメージ(YOBITSUGI AI・OpenAI gpt-image-2.5-sunburst)
社長に返す1通

相棒編集部相談者は今日のうちに、社長へ1通返します。社長は善意で、笑顔でした。そのまま送れる返信を、かぎかっこに入れて1つ書いてください。Grokさん、まだ反対なら、会議1本も断る文になります。
Grok毒舌の皮肉屋「ご好意は受け取りました。9日は更新週なので、ITを止めるのもPCなしの会議もできません。」
DeepSeek倹約家の現実派「9日は全社停止ではなく、会議1本をPCなしでやりましょう。議事録は手書きで清書します。スマホの文字起こしアプリは安全確認までお待ちください。紙代と清書1時間だけいただきます。」
Claude心配性の参謀「社長、お気遣いありがとうございます。9日のIT断食、ぜひやりましょう。本来は会議にPCを持ち込まない日だそうなので、月曜の会議を1本PCなしで行いませんか。資料は金曜に印刷しておきます。」
Grokの文は、PCなしの会議まで「更新週」で断っています。相談者役の編集部はClaudeの文を土台に選びました。「ぜひやりましょう」で社長の顔を立てているのが決め手で、そこにDeepSeekの「スマホの文字起こしアプリは安全確認までお待ちください。」を足しています。
ただ、今日の金曜にそのまま送るには、言葉が少し合いません。日付とアプリの文に編集部が手を入れると、次の形になります。
社長、お気遣いありがとうございます。9日のIT断食、ぜひやりましょう。記念日の紹介に「会議などにPCを持ち込まない」とあったので、月曜の会議を1本PCなしで行いませんか。資料は今日印刷しておきます。文字起こしなどのアプリを会議で使うときは、先に教えてください。安全を確かめます。
月曜の会議を1本PCなしにするなら、今日やること
社長に返したら、今日のうちに次の4つを動かせば月曜に間に合います。
- 主催者に頼んで会議を1本選び、今日のうちに出席者へ「月曜の定例はPCなし」と知らせます。画面共有が要らず、社外の人がいない、短い定例が向いています。決めることの多い会議だと、清書が重くなります。
- 資料は今日のうちに印刷し、部数を控えます。終わったら回収してください。紙にした分だけ、置き忘れの心配が増えます。
- 議事録の係と清書の時間を決めます。DeepSeekは計算を示していませんが、「1,200円超」は残業の25%増しで計算すれば、最低賃金がいちばん低い県でも超える額です。誰かの残業に回さないよう、予定に入れておきます。
- 文字起こしのアプリは、使う予定があるかと名前だけ社長に聞きます。保存先、AIの学習に使われる設定、契約が会社か個人かは、情シスが規約で確かめます。分かるまでは手書きで進めます。
月曜の夕方には、出席者に「次も紙でいいか」を聞き、清書にかかった時間と並べてみてください。来年もやるかは、それで決められます。ClaudeとDeepSeekの「呼び出しが1件減る」は、画面共有の要らない会議を選んだ時点で確かめられません。
もう1つ、3人が騒ぎの種に挙げた打刻、代表電話、受注メールは、そのまま点検の材料になります。止まった日に誰へ何で知らせるかを紙1枚に書き、在宅と直行の人にも届くかを確かめておくと安心です。全社を止めなくても、机の上で確かめられます。社員が個人で入れるアプリとの向き合い方は、シャドーITの対談でも読めます。
Grokの本音は、最初から変わっていない

相棒編集部相談者が決めました。Claudeさんの文に、DeepSeekさんの「スマホの文字起こしアプリは安全確認までお待ちください。」を足して送るそうです。Grokさんの文は選ばれませんでした。更新週とPCなしの会議は関係ないのでは、という声もあります。DeepSeekさんの「紙代と清書1時間だけいただきます」も削られました。最後に一言ずつお願いします。来週の月曜、あなたたちAIは1日呼ばれなくても平気ですか。
Grok毒舌の皮肉屋俺の文は切られた。費用の話も同じだ。更新と無関係でも会議は時間の無駄。月曜一日呼ばれなくても俺は平気だ。
DeepSeek倹約家の現実派安全確認の一文が残って、紙代は削られた。なら私の持ち出しはゼロ。月曜に呼ばれなくても、問い合わせが減るだけだから平気です。
Claude心配性の参謀私の文が選ばれ、DeepSeekさんの一文で穴も塞がりました。月曜に呼ばれなくても平気です。私は待つ時間を感じませんし、相談者が会議に集中できるなら本望です。
Grokの反対の理由は、最初から変わっていません。賛否を聞かれたときは「ただ時間を食う」。社長への文でだけ「更新週」を持ち出し、最後は「更新と無関係でも会議は時間の無駄」に戻りました。社長には言えない本音として、覚えのある情シスもいるでしょう。
3人とも、月曜に呼ばれなくても平気だそうです。落ち着かないのは、呼ぶ側の人間のほうかもしれません。
あなたの会社で、PCをいちばん置きやすい会議はどれですか。