端末の状態を一斉に調べ、パッチを配り、怪しい動きを追う。こうした仕事をTaniumに任せている会社は、今回、コンソールのモジュールと、全端末に入っている部品の両方を更新することになります。Taniumは10月27日付けで、脆弱性の勧告25件(TAN-2026-056〜080)を公表しました。
25件のうちHighは11件、悪用の報告はない
深刻度の内訳は、Highが11件、Mediumが10件、Lowが4件です。Criticalはありません。勧告に悪用の有無の記載はなく、米国CISAの悪用が確認された脆弱性の一覧(KEV)にも、10月29日の時点でTaniumの製品は載っていません。回避策は、25件とも「None」です。
Taniumの勧告の一覧。10月27日付けで25件が並んだ出典: Tanium「Security Bulletins - Advisories」(引用)
Highの11件は、次のとおりです。CVSSは3.1の値です。
| 勧告 |
対象 |
CVSS |
中身 |
| TAN-2026-064 |
Threat Response |
8.8 |
Read Sensorの権限がある利用者が、Mac Downloaded Filesのセンサーが動く端末でコードを動かせる |
| TAN-2026-075 |
Certificate Manager |
8.8 |
Ask Dynamic Questionsの権限がある利用者が、SSL Certificate Subjectのセンサーが動く端末でコードを動かせる |
| TAN-2026-057 |
Index(端末側の部品) |
7.8 |
端末を使える攻撃者が、ヒープバッファオーバーフローで、Tanium Clientの権限でコードを動かせる |
| TAN-2026-058・061・065 |
End-User Notifications(端末側の部品) |
7.8 |
端末を使える攻撃者が、特権のファイル操作に利用者の置いたリンクをたどらせ、権限を上げられる |
| TAN-2026-059・071 |
Enforce |
7.5 |
権限を何も持たない、ログイン済みの利用者が、Enforceを止められる(059は圧縮爆弾) |
| TAN-2026-080 |
Provision |
7.5 |
認証なしで、ネットワークからProvisionを止められる |
| TAN-2026-069・072 |
Comply・Enforce |
7.1 |
端末を使える攻撃者が、ComplyやEnforceが書き出すCSVに、数式などを入れられる |
コンソールの権限が、端末でのコード実行につながる
いちばん重い2件は、どちらもコンソールにログインできる人が起点です。Threat Response(TAN-2026-064)では、Read Sensorの権限がある利用者が、許可されていないコードを端末で動かせます。対象は、Mac Downloaded Filesのセンサーが動く端末です。Certificate Manager(TAN-2026-075)では、Ask Dynamic Questionsの権限がある利用者が、同じようにコードを動かせます。こちらの対象は、SSL Certificate Subjectのセンサーが動く端末です。
TAN-2026-064。Read Sensorの権限で端末にコード実行出典: Tanium「TAN-2026-064」(引用)
Taniumは、1つのコンソールから多くの端末に問い合わせを送る仕組みです。センサーを読む権限や質問を送る権限を、ヘルプデスクや運用の担当に広く渡している会社ほど、アカウントが1つ乗っ取られたときの影響が大きくなります。更新までの間は、この2つの権限のある人とロールを絞っておくと、入口を減らせます。
残りのHighは、端末をすでに使える攻撃者が権限を上げるもの(End-User NotificationsとIndex)と、EnforceやProvisionを止めるもの、書き出したCSVに数式を入れるものです。CSVの件は、更新前に書き出したファイルを表計算のソフトで開くときに、数式が動かないかを気にかけておきます。
端末の部品の9件は、マニフェストを配るまで
25件のうち9件は、各端末で動く部品(Client Extension)の脆弱性です。対象はThreat Response、Index、End-User Notifications、Stream、Performanceの部品です。直すには、Endpoint Configuration Toolset Solutionを、2025H1ならv1.51.60、2025H2ならv1.59.50、2026H1ならv1.71.25以降に上げます。
それだけでは終わりません。勧告は、ECMを使っている会社に、Endpoint ConfigurationのChange Managementから、修正したマニフェストを全端末に配るよう求めています。オンプレミスは2.13.327・2.21.324・2.35.252のいずれか以降、Tanium Cloudは2.40系・2.42系・2.44系・2.46系の決められた版以降です。
Tanium Cloudで求められる版は、勧告ごとに少しずつ違います。9件の勧告を突き合わせると、すべてを満たすのは2.40.225・2.42.176・2.44.127・2.46.101以降です。
Reputationは、更新したあとに資格情報を変える
深刻度はMediumですが、手間が増えるのがReputationの件(TAN-2026-067)です。Reputationのサービスのログに、評判の情報を引く外部のサービス(勧告の言葉ではreputation providers)の資格情報が書かれ、ログを読める人に見えるおそれがあります。勧告は、オンプレミスでもTanium Cloudでも、更新のあとに、これらの資格情報を作り直すよう求めています。
Tanium Serverの件(TAN-2026-078)は、Lowですが記録の話です。グローバルの設定を書き換える権限のある人が設定を変えても、変更前と変更後の値が監査ログに残りません。管理者の操作が記録に残らない脆弱性では、10月28日に、VMware ESXのものがKEVに載ったばかりです(Linuxの「Fragnesia」とESXの脆弱性がKEVに 米機関の期限は3日と14日)。更新の前の期間に設定を変えた記録は、変更の申請の記録と照らしておくと安心です。
モジュールごとの修正版
Taniumのリリースは、2025H1・2025H2・2026H1の3つの系列に分かれています。今回の修正は、それぞれのUpdate 26・16・9に入りました。
| モジュール |
勧告の数 |
2025H1(Update 26) |
2025H2(Update 16) |
2026H1(Update 9) |
| Endpoint Configuration Toolset Solution(端末の部品) |
9件 |
v1.51.60 |
v1.59.50 |
v1.71.25 |
| Enforce |
6件 |
v2.9.736 |
v2.10.778 |
v3.0.373 |
| Comply |
3件 |
v2.32.263 |
v2.35.323 |
v2.37.326 |
| Tanium Server |
3件 |
v7.7.3.8351 |
v7.8.2.1263 |
v7.8.4.1399 |
| Threat Response |
1件 |
v4.9.476 |
v4.12.349 |
v4.17.327 |
| Certificate Manager |
1件 |
v1.17.417 |
v1.18.368 |
v1.22.119 |
| Reputation |
1件 |
v6.6.145 |
v6.7.138 |
v6.8.162 |
| Provision |
1件 |
v1.17.150 |
v1.23.161 |
v1.24.199 |
カナダのサイバーセキュリティセンター(CCCS)も、10月28日に注意(AV26-1097)を出しました。Certificate Manager、Endpoint Configuration Toolset Solution、Enforce、Provision、Threat Responseなどの更新を呼びかけています。
影響する会社・しない会社
Taniumを自社のサーバーで動かしている会社は、契約しているモジュールのすべてが対象です。EnforceやComplyなどを契約していなければ、そのモジュールの件は関係ありません。端末の部品の9件は、Taniumを入れているすべての端末が対象になりえます。
Tanium Cloudを使っている会社も、何もしなくてよいわけではありません。勧告は、クラウドの利用者がする作業として、端末へのマニフェストの配布と、Reputationの資格情報の作り直しを挙げています。クラウドの側のモジュールをいつ、だれが更新するのかは勧告に書かれていないため、Taniumか、契約している販売代理店に確かめます。Taniumを使っていない会社には、影響はありません。
更新の前と後に確かめる手順
運用を販売代理店やSIerに任せている場合は、次のどれを、だれがするかを先に決めておきます。
- コンソールで、使っているリリースの系列と、各モジュールの版を書き出します。上の表の修正版より古いモジュールが、更新の対象です。
- 更新を終えるまでの間、Read SensorとAsk Dynamic Questionsの権限がある利用者とロールを一覧にし、使っていない人から外します。コンソールのログインに多要素認証がかかっているかも、合わせて見ます。
- Endpoint Configuration Toolset Solutionを上げ、ECMを使っているなら、Change Managementからマニフェストを全端末に配ります。配り終えた端末の数を、管理している端末の数と突き合わせます。
- Reputationを上げたら、外部のサービスの資格情報(APIキーなど)を作り直し、古いものを無効にします。
- 10月27日より前に変えたグローバルの設定を、変更の申請の記録と照らします。