NVIDIAは、欧州のパートナーによる「DSX AI Factory Platform」の採用と、コンテナ型AI基盤の参照設計「DSX POD」を発表しました。AI基盤の計算機だけでなく、電源・冷却や設置工程までまとめて設計する取り組みです。参照した公式発表には、発表日の記載がありません。
電源・冷却まで一体設計、削減効果には条件
DSXは、計算・通信・ストレージ・ソフトウェア・電源・冷却を一体で設計するための参照基盤です。欧州の企業、開発者、政府向けのAI基盤の構築・運用に活用します。
冷却の参照設計では、冷却液を循環させる閉ループ液冷と、外気を使って熱を逃がすドライクーラーを組み合わせます。NVIDIAによると、施設冷却用の水消費量をほぼゼロに抑えられます。2ギガワット規模では、従来方式と比べて1日5400万リットルの節水が可能としています。ただし、最も暑い時期に補助的な機械冷却が必要かどうかは、現地の気候に左右されます。
省電力機能の「DSX MaxLPS」は、同じトークン数、つまり同じ量の文章などを生成する際の電力を最大30%削減するとしています。Google Cloud、CoreWeave、Nebiusなどが検討中であり、各社での採用決定ではありません。
また、電力網の状況や電力価格に応じて処理負荷を調整する「DSX Flex」もあります。NVIDIA Blackwell Ultra GPU群を使った初期試験では、模擬的な電力網の変動に対応し、重要な処理を続けながら消費電力を最大40%削減したとしています。この数値は、すべての本番環境での削減率を示すものではありません。
DSX PODは工場で検証、現地の受け入れ準備は必要
DSX PODは「NVIDIA Vera Rubin」を採用し、出荷前に工場で統合・検証する設計です。協力企業にはDell Technologies、HPE、Lenovoなどが含まれます。
NVIDIAは、準備済み拠点なら導入期間を6カ月から最短14日に短縮できるとしています。ただし、設置先では電源、冷却、ネットワークなどの受け入れ設備を準備する必要があります。設備工事を含む全工程が14日で終わる、という発表ではありません。
運用面では、オープンソースの「DSX OS」に3つの構成要素を開発者プレビューとして追加します。「NVIDIA Config Manager」はネットワーク設定を自動化し、「Rack Management Service」はラック単位で電源や機器を管理します。「Cluster Readiness Engine」は、本番稼働前にGPU群を検証します。正式提供済みの機能とは分けて評価する必要があります。
DSX PODは2027年初頭に世界各地へ提供する予定です。日本での提供は発表には書かれていません。日本向けの提供時期、価格、日本語対応についても記載がありません。
影響する会社・しない会社
- 影響する: 欧州で企業・開発者・政府向けAI基盤を構築・運用する会社です。DSXを検討する際は、サーバーの調達だけでなく、電源・冷却を含む設計の確認が必要です。
- 影響する: DSX PODの導入を検討する会社です。工場での統合・検証と、設置先で担う受け入れ設備の準備を分けて計画する必要があります。
- 影響しない: DSXやDSX PODを導入・評価しない会社について、今回の発表に伴う既存環境の変更作業は示されていません。既存サービスや機器の更新義務も、発表には書かれていません。