NVIDIAは、通信各社が同社の計算基盤を通信網の各拠点に導入し、NokiaとのAI-RAN連携を進めていると発表しました。AI-RANは、無線アクセス網にAIを活用する取り組みです。同社によると、T-Mobileが商用網で世界初のAI-RAN通話を完了し、ほかの通信会社でも試験や基盤整備が進んでいます。
既存の5Gコアと市販端末で通話を試験
T-Mobileの試験は、米ワシントン州Bellevueで実施されました。既存の5G Standaloneコアと市販スマートフォンを使い、NokiaはNVIDIA Aerial RAN Computer上の試験にanyRANを提供しました。新しい通信基盤の検証であっても、この試験では既存のコア設備と市販端末が使われた点が特徴です。ただし、すべての端末や通信網で利用できることを示す発表ではありません。
NVIDIAによると、Nokiaと同社のAI-RAN連携を公表した企業は20社近くに上ります。Elisaは5Gを用いた実地試験で、音声、データ、映像解析を同時に実行しました。OrangeもNVIDIA ARC上でNokiaの5Gソフトウェアを試験しています。
今後の計画として、BTは2027年に英国Birminghamの実網で試験を予定しています。Deutsche Telekomも2027年にフィールド試験へ移る計画です。商用網での試験完了と、今後予定する試験は分けて捉える必要があります。
なお、資料には発表日の記載がありません。日本での提供は発表には書かれていません。日本での開始時期、日本語対応、国内価格、提供リージョンについても記載はありません。
基盤の拡充に加え、運用管理にもAIを導入
NVIDIAはARCの新構成としてMGX 2UとMGX 4Uを発表しました。NVIDIA RTX PRO 6000 Blackwell Server Edition GPUを搭載し、CPUはx86とNVIDIA Veraの選択肢を提供する予定です。Dell Technologies、Quanta Cloud Technology、Supermicroも、ARC対応サーバーを提供する予定です。
通信設備だけでなく、運用管理へのAI活用も進んでいます。NokiaはAutonomous Networks SuiteにNVIDIA Nemotronを統合中です。また、NVIDIA Agent Toolkitを使い、通信網の運用管理を担うAIエージェントの開発・導入を進めています。
NTT DATAもNemotronとNVIDIA Agent ToolkitでNextGenOSSを拡張中です。BTは現場の設置写真を点検するエージェントの開発にNemotronを採用しています。通信基盤の試験と、運用業務を支援するAIの開発は、それぞれ別の取り組みとして確認すると整理しやすくなります。
影響する会社・しない会社
- 影響する: NokiaとNVIDIAのAI-RAN基盤を検証・調達する会社です。新ARC構成や対応サーバーの提供予定が、機器選定の確認事項になります。
- 影響する: Autonomous Networks SuiteやNextGenOSSに関わる運用・開発担当です。Nemotronなどを使った拡張が、自社向けの提案や導入計画に含まれるか確認する対象になります。
- 影響しない: 今回の発表を理由に、国内の既存回線や社用スマートフォンを直ちに変更する必要があるという案内は、発表には書かれていません。影響しないと断定できる契約プラン、端末、企業規模の条件も示されていません。