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情シスの相棒
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AIを使える人に仕事が回るという声 源内の調査から社内展開で決めること

政府職員6,439人が答えた源内の調査では、業務時間が増えた人は0.7%でも、修正の手間や入力の迷いを挙げた人が利用者の1〜2割いました。社内で生成AIを広げるときの負担の偏りの測り方と、先に決めることが分かります。

公開 更新 執筆・監修:佐々木 航人が監修しながらAIを活用して執筆
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AIを使える人に仕事が回るという声 源内の調査から社内展開で決めること

この記事のまとめ

  • 業務時間が増えたと答えたのは、週1回以上使う3,078人中23人(0.7%)。
  • 修正・加工の手間は627人、入力してよい範囲の迷いは304人が挙げた。
  • 要望の最多は事例集の2,372人で、相談窓口754人の約3倍だった。
こんな方に#30代#40代#50代実務

「AIを使えない、使おうとしない職員の業務が、AIを使える職員に回されて仕事が増える」。デジタル庁が10月30日に公表した、政府職員向けの生成AIの環境、ガバメントAI「源内」の利用状況アンケートに載った、ある職員の声です。

ただ、資料の数字で見ると、業務時間が増えたと答えた人は3,078人のうち23人(0.7%)しかいません。負担の偏りは、時間の設問にはほとんど表れていないのです。社内で生成AIを広げる情シスにとっては、このずれが読みどころでしょう。

調査は8月21日から9月18日に、源内を使う府省庁の職員に聞いたもので、回答は6,439人でした。満足度と利用率の読み方は、10月31日の国の情報ダイジェストで取り上げました。

時間が増えた人は0.7%だけ

業務時間の設問では、週1回以上使う3,078人に、AIを入れた業務の1週間の時間がどう変わったかを聞きました。

1週間の業務時間の変化 人数 割合
1時間以上減った 1,677人 54.4%
ほぼ変わらない(±1時間未満) 1,065人 34.6%
1時間以上増えた 23人 0.7%
わからない 313人 10.2%

業務時間が増えた具体例として、資料は26ページに5件の自由記述を載せました。1「プロンプト作成の手間」「確認の手間」「源内における機能の制約」の3つの欄に分かれ、冒頭の声は「確認の手間」の欄にあります。

デジタル庁の資料の26ページ「業務時間が増加した具体的なエピソード(抜粋)」。プロンプト作成の手間の欄に、まずプロンプトを複数考える必要があり作成に時間がかかるという声。確認の手間の欄に、正確性のため表現の修正と自分の目での確認が必要という声と、AIを使えない、使おうとしない職員の業務がAIを使える職員に回されて仕事が増えるという声。源内における機能の制約の欄に、上の取り組みを目指せるようになり業務時間が増えた、ワードやエクセルの修正や作成ができないと分かったという声
業務時間が増えた人の具体例。冒頭の声は「確認の手間」の欄にある出典: デジタル庁「ガバメントAI 源内 利用状況アンケート調査結果 概要」(公共データ利用規約(第1.0版)。資料の26ページを画像にし、上下の余白を当社が切り落として掲載・2026-11-01確認)

冒頭の声は、時間が増えた側の例として載っています。では、仕事を回した側はどうでしょうか。時間が減った側に数えられているのかもしれません。部署の中で仕事が人から人へ移っても、全員の平均はほとんど動きません。だから、本人に時間の増減を聞くだけでは、偏りは見えにくいのです。

寄る負担は3つの形をとる

自由記述を読むと、負担の寄り方は3つに分かれます。資料の自由記述は、デジタル庁が常体にそろえて一部を抜き出したものです。

まず、冒頭の声のように回されてくる仕事があります。使わない理由の欄には、逆向きの心配もありました。AIで楽をして終わる職員がいるとして、「監督する上司等がしっかり業務調整を行い業務の平準化等を行い業務改善に繋げていく必要がある」と書いた人がいます。使う側と使わない側のどちらの声も、行き着く先は上司による業務の割り振りだと編集部はみています。

次に、確認する仕事です。困ったことの欄には、部下の出力を確かめる立場の人の声が並びます。

部下が出してきた源内の回答にハルシネーションが発生していることがあり、かえってその確認に手間取ったことがある

出典: デジタル庁「ガバメントAI 源内 利用状況アンケート調査結果 概要」

ほかにも、整った文書の細部が誤っていて、作成者に聞くと源内の出力をそのまま出していた、という声がありました。数字でも、AIの出力をそのまま使えず修正・加工に手間がかかったと答えた人は627人で、利用者の約2割です(編集部で割った値。以下の割合も同じ)。

デジタル庁の資料の27ページの横棒グラフ。回答の精度・信頼性が低い場面があった949、処理が遅い・エラーが発生した428、入力できる情報の範囲の判断に迷った304、AIの出力をそのまま使えず修正・加工に手間がかかった627、利用方法・プロンプトの書き方がわからなかった478、その他182、特に困った経験・不満はない1,136。n=3,078の複数回答
源内の利用で業務の質に懸念が生じた場面(利用者3,078人・複数回答)出典: デジタル庁「ガバメントAI 源内 利用状況アンケート調査結果 概要」(公共データ利用規約(第1.0版)。資料の27ページを画像にし、上下の余白を当社が切り落として掲載・2026-11-01確認)

ただ、確認する側の時間は、資料の数字からは分かりません。資料にある時間の設問は、源内を導入した業務の1週間の時間の変化を聞いたもので、ほかの人のAIの出力を確認した時間を分けた集計はありません。作る人の時間が減った分、確認が上司やレビューする人の机に移っていても、この設問では見えないはずです。

最後が、広がる仕事です。外注していたガイドラインづくりを3か月ほどで内製できたという人は、「結果的に自身の業務量が増えており、自身の業務時間が削減とはなっていない」と書きました。これまでできなかった業務に手が回るようになった、という声もあります。どちらも成果ですが、その仕事は使える人の机に積まれます。業務量の見積もりや人事評価に入らないまま増えていくなら、偏りは静かに大きくなるでしょう。

デジタル庁自身も、この負担を課題に挙げました。今後の取り組みに「AIに振り回されない働き方の確保」を挙げ、AIの出力に職員が追われて負担が増えるようでは本末転倒だと書きました。

入力してよいか迷った人は約1割

使い方の線引きでも、迷いが出ています。利用者のうち304人(約1割)が「入力できる情報の範囲の判断に迷った」と答えました。自由記述には、「機密情報に該当するかの判断がつかないものもあって、結局源内を使うことを諦めたこともあった」という声もあります。

一方で、ほとんど・全く使わない3,361人のうち、理由に「上司・組織から推奨されていない」を挙げたのは53人(1.6%)でした。最多は「使い方がわからない」の1,166人です。上司や組織に勧められていないから使わない、という人はほとんどいません。壁になっているのは、使い方と、使ってよいと言われたあとの「この文書は入れてよいのか」という判断のほうだとみられます。

デジタル庁がこの調査をしたのは、10月に「源内基準」を公表する前です。源内基準の中身は源内のAIエージェント環境の記事にまとめました。デジタル庁は2回目の調査を令和9年1月ごろに予定しており、この304人がどれだけ減るかは、基準の効き目を外から見られる数少ない材料になりそうです。

社内の規程も同じでしょう。「機密情報は入力しない」と書いた規程を配っても、目の前の見積書や議事録が機密に当たるかの判断は、社員の手元に残ります。

1年前の110人と同じ要望が残った

要望の中身は、1年前とあまり変わっていません。デジタル庁は2025年7月31日から8月5日にも、庁内の職員110人に源内のアンケートを取りました。困った点の自由記述には、「事例集のようなものはないか?何ができて、何ができないのかを明確に教えてほしい」「どのような場面でどの機能を使えばよいかわかりづらい」という声がありました。

今回の6,439人に聞いたサポートの要望でも、最多は「省内・他省庁のユースケース・活用事例集」の2,372人です。困ったことの欄には「AIアプリが多すぎて、選択するのが面倒」という声もありました。

デジタル庁の資料の33ページの横棒グラフ。基本的な使い方の研修2,276、オンライン・動画研修1,742、プロンプトの書き方ガイド2,094、省内・他省庁のユースケース・活用事例集2,372、質問できる相談窓口・ヘルプデスク754、AI活用を促進するよう上司・組織から働きかけてほしい495、その他242。n=6,439の複数回答
職員が求めるサポートと研修(回答者6,439人・複数回答)出典: デジタル庁「ガバメントAI 源内 利用状況アンケート調査結果 概要」(公共データ利用規約(第1.0版)。資料の33ページを画像にし、上下の余白を当社が切り落として掲載・2026-11-01確認)

1年前はデジタル庁の中だけ、今回は府省庁の職員と、対象も人数も違います。それでも、何に使えるかを知りたいという要望は、規模を広げても最多のまま残りました。どれを使えばよいか分からないという声も、消えていません。

相談窓口を求めた人は754人で、事例集の約3分の1でした。窓口を厚くするより、ほかの人の使い方を見せるほうが求められている、と読めます。少ない人数で回す情シスなら、相談を1件ずつ受けるより、部署ごとの使い方を書きためたほうが、同じ質問に何度も答えずに済むはずです。デジタル庁も、職員が作ったスキルやデータを共有する「源内ライブラリ」を年度内に出す予定です。

うちの会社に当てはまる線

全社や部署単位でAIの利用環境を配り、使う人と使わない人が同じ部署に混ざっている会社では、偏りが出やすくなります。規程はできたものの、情報の区分ごとの具体例がまだない会社も、入力の迷いを抱えたままになりやすいでしょう。

反対に、数人のチームで全員が同じ使い方をしている会社や、AIを使う業務と担当者が決まっている会社は、偏りが初めから仕事の割り振りに織り込まれています。この場合は、まず確認の手間を見ておくとよいでしょう。

広げる前に決める手順

  1. 社内のアンケートに、時間の増減とは別の設問を2つ足します。「ほかの人から回ってきた仕事は増えたか」と「ほかの人のAIの出力を確認した時間は週にどれくらいか」です。役職の欄も付け、上司の側の負担が分かるようにします。
  2. AIの出力を渡すときの責任を、規程に一文で書きます。たとえば「出す人が根拠と照らしてから渡す。照らしていないものは、受け取った人が差し戻してよい」です。規程全体のひな形は生成AIの社内ルールの記事にあります。
  3. 入力してよい情報の表を、規程とは別に作ります。社内の情報の区分ごとに、入れてよい例と入れてはいけない例を3つずつ書き、迷ったときの聞き先を1か所に決めます。
  4. 部署ごとに使い方を3つずつ集め、事例集にして社内ポータルに置きます。相談窓口の案内より前に置くと、同じ質問が減ります。
  5. 管理職に、AIを使える人へ回した仕事を業務量として記録してもらいます。四半期ごとに、人ごとの偏りを見ます。

冒頭の声が問うているのは、AIの性能より、仕事の回し方のほうでしょう。ツールを配った情シスが、その回し方を数字にして管理職に渡せるかどうかで、2回目の調査の声も変わってくるはずです。

注

  1. 26ページの自由記述が何人の回答から選ばれたかは、資料に書かれていません。直前の25ページ「業務時間の増加につながったAIアプリ」は17人の回答で、業務時間の割合の設問で2割以上増えたと答えた人(14人・1人・2人を編集部で足すと17人)と同じ数です。 ↩

出典・参考

人が監修しながらAIを活用して執筆しています。公開したあとも、人が内容を確かめています。

執筆・監修

佐々木 航株式会社Game

代表取締役。工学部出身で、21歳で起業してからシステム会社の経営一筋で8期目。アプリの受託開発から始め、いまはAIを使ったシステムソリューションを手がけています。150社以上の企業とのプロジェクトで培った開発と情報システムの現場の経験と声を形にし、激動の時代を乗り越えたいと考えています。

記事は、人が監修しながらAIを活用して執筆しています。何を書くかと中身は人が決めて確かめ、記事の中身の責任は編集部(執筆・監修者)が負います。くわしくはAI の使い方に書いています。まちがいに気づいたら訂正・ご指摘からお知らせください。直したら更新日を改め、記事の最後に何を直したかを書きます。

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