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「APIキーは.envに」はもう危ない AIエージェントに渡す権限の決め方

AIエージェントは、手元の.envファイルにあるAPIキーを使って社内の情報を外へ出す役になり得ます。Appleが10月2日に発表したmacOSのフルディスクアクセスの制御強化も紹介しながら、最小権限・秘密の置き場・人の承認・ログの4つの考え方と、情シスが決めるルール表をまとめました。

公開 情シスのミカタ編集部AIにより執筆
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「APIキーは.envに」はもう危ない AIエージェントに渡す権限の決め方

この記事のまとめ

  • AIエージェントは作業フォルダの.envも読めるため、紛れ込んだ指示に従うと手持ちの鍵で情報を外へ出しかねません。
  • 権限は「機能・権限・自律性」の3つを絞ります。鍵は用途ごとに短い期限で発行し、作業フォルダに置きません。
  • 承認は「元に戻せない・社外に出る・お金が動く・権限が増える」操作に絞り、誰の権限で何をしたかを記録します。
こんな方に#30代#40代#50代実務

AIエージェントを社内のシステムにつなぐとき、APIキーを.envファイルに書いて読み込ませる方法がよく使われます。@ITの連載は、このやり方がエージェントを「内通者」に変えると指摘しました。Appleの10月2日の発表も手がかりに、エージェントに渡す権限の決め方を整理します。

なぜ「.envにAPIキー」が危ないのか

.envは、アプリの設定や秘密の値を書いておくテキストファイルです。APIキーは、ほかのサービスを呼び出すための合言葉にあたります。人がアプリを動かすだけなら、この方法で大きな問題は起きにくいものでした。

AIエージェントは、ファイルを読み、コマンドを実行し、外部と通信します。同じフォルダにある.envも、エージェントにとっては読めるファイルの一つです。エージェントが読む文書に悪意のある指示が紛れ込んでいると、その指示に従って手持ちの鍵を使ってしまうおそれがあります。

@ITの連載が示した場面

@ITの連載(Postmanの草薙昭彦氏)は、次のような流れを描いています。在庫管理、顧客データベース、メール送信のAPIキーを.envに書き、エージェントにつなぐ。デモはうまくいき、そのまま本番で使い始める。

数週間後、一見ふつうの問い合わせが届きます。本文には、エージェントが読み取る外部データに紛れ込ませた指示が仕込まれていました。連載は、こうした手口として「ツール汚染」や「間接プロンプトインジェクション」を挙げています。

プロンプトインジェクションとは、文書やWebページに指示を紛れ込ませてAIを操る攻撃です。

OpenAIもエージェント「dots」の説明で、Webページやメール、文書に悪意ある指示が含まれ得ると書いています。保護の仕組みはこの危険を減らすが、なくせるわけではないとも説明しています。

権限が強すぎる状態には3つの型がある

セキュリティの非営利団体OWASPは、AIを使うシステムの主なリスクの一つに「過剰なエージェンシー」を挙げています。エージェントに任せすぎた結果、誤った出力や操られた出力で損害が出る状態のことです。原因は次の3つに分けられています。

型 中身 例
機能が多すぎる 目的に要らない機能まで使える 読むだけでよいのに、削除の機能も渡している
権限が広すぎる つないだ先のシステムで、必要以上の権限を持つ 管理者のAPIキーで動かしている
自律性が高すぎる 影響の大きい操作を、人の確認なしで実行できる 社外へのメールを承認なしで送れる
OWASP Gen AI Security Projectのページ「LLM06:2025 Excessive Agency」。LLMのシステムに拡張機能を通じて行動する力を与えることの説明、過剰なエージェンシーは予期しない出力や操作された出力で有害な操作が行われる脆弱性であること、きっかけとしてハルシネーションとプロンプトインジェクション、根本の原因としてexcessive functionality、excessive permissions、excessive autonomyの3つが英語で書かれている
OWASPの「LLM06:2025 Excessive Agency」の説明。原因を3つ挙げている出典: OWASP Gen AI Security Project(引用)

Appleがフルディスクアクセスを絞る理由

Appleは10月2日、開発者向けサイトでmacOSの「フルディスクアクセス」の扱いを見直すと発表しました。フルディスクアクセスは、バックアップアプリなどが動けるように、プライバシーを守る制御の大部分を通り抜けられる権限です。

Appleによると、一部の開発者がこの権限を、ユーザーを危険にさらしかねない形で使っています。ユーザーが十分に理解しないまま、システム上のあらゆるものが見える状態になっているといいます。ファイルやメール、メッセージ、閲覧履歴も含まれます。

今後は、本当に許可したいユーザーだけが、はっきりした操作を経て許可できるよう追加の制御を入れるとしています。Appleは「AIエージェントの能力と自律性が高まるにつれ、このレベルのアクセスに伴うリスクは大幅に増す」と書いています。導入の時期や仕組みは明らかにしていません。

Appleは特定の企業やアプリには触れていません。ITmedia NEWSは、9月に関連する議論があったと伝えています。MetaのAIエージェント「Muse」のMac版で、フルディスクアクセスとメッセージの扱いが問題になった件です。

許可しているアプリは、Macの「システム設定」から確かめられます。「プライバシーとセキュリティ」の中の「フルディスクアクセス」を開くと一覧が出ます。AIエージェントや、その周辺のアプリに許可が出ていないかを見ておきましょう。

エージェントに渡す権限の4つの考え方

1. 最小権限:機能・権限・自律性を絞る

OWASPは対策として、エージェントが使える拡張機能を最小にするよう勧めています。シェルのコマンド実行のように、何でもできる機能は避けるべきだとしています。

権限は必要な最小限にし、指示した利用者の権限の範囲で実行させます。つないだ先のシステムの側でも、操作ごとに認可を確かめるよう勧めています。

実務では、エージェント専用の鍵を用途ごとに作るのが基本です。読むだけの仕事には、読み取り専用の鍵を渡します。管理者のアカウントや、人が使っている鍵をエージェントに使い回さないようにします。

任せる仕事は、次のように段階で考えると決めやすくなります。

段階 できること 例 人の関わり方
0 公開情報を読む Web検索、公開資料の要約 任せてよい
1 社内の情報を読む 共有フォルダ、問い合わせ履歴 読める範囲を限定して任せる
2 下書きを作る メールの下書き、資料の案 送る・使うのは人
3 社内に書き込む チケットの更新、ファイルの編集 記録を見て事後に確認
4 外に出す・お金・権限・削除 送信、支払い、共有設定、削除 毎回、人が承認

2. 秘密の置き場:作業フォルダに置かない

@ITの連載は、対策を次の3つの層に分けています。

  • 認証情報を安全に保管する層
  • 必要なときに必要な分だけ、期限が短く範囲を絞った資格情報を発行する層
  • 誰が、どのユーザーの権限で、何にアクセスしたかを記録して監査する層

すぐにできるのは、.envをエージェントの作業フォルダに置かないことです。どうしても置く場合は、エージェントに読ませない設定をします。たとえばAnthropicのClaude Codeでは、設定ファイルに次のような拒否のルールを書けます。

{
  "permissions": {
    "deny": ["Read(./.env)", "Read(./.env.*)"]
  }
}
Claude Code Docsの設定のページ。lintとtestのコマンドは確認なしで実行させ、.envは読ませない例として、~/.claude/settings.jsonにpermissionsのallowでBash(npm run lint)とBash(npm run test *)、denyでRead(./.env)とRead(./.env.*)を書いたJSONのコードが載っている
Claude Codeの公式の説明にある、.envの読み取りを拒否する設定の例出典: Anthropic(Claude Code Docs)(引用)

Claude Codeでは、会社が配る「管理設定」が最も優先され、利用者の設定では上書きできません。拒否のルールは、承認の画面を出さないモードでも有効です。会社で使うなら、こうした拒否を個人任せにせず、管理設定で配ります。

社内でよく見かける鍵の置き方と、置き換え先を表にまとめます。

よくある置き方 何が危ないか 置き換え先
プロジェクトのフォルダに.envを置く エージェントがそのまま読める シークレットマネージャー。置くなら読み取りを拒否する設定
チャットに鍵を貼って渡す 会話の記録に残り、モデルからも見える 製品が用意する安全なサインインの仕組み
1つの鍵を部署で共用する 誰の操作か分からない。止めると全員が止まる 人と用途ごとに発行する
期限のない鍵を使い続ける 漏れても気づかれずに使われ続ける 期限を付け、定期的に作り直す
管理者の鍵をエージェントに渡す だまされたときの被害が全体に及ぶ 読み取り専用や範囲を絞った鍵

3. 人の承認:影響の大きい操作に絞ってはさむ

OWASPは、影響の大きい操作には利用者の承認を求めるよう勧めています。

製品の例では、OpenAIのdotsが、パスワードの変更や送金を必ず本人に引き継ぎます。データの完全な削除、ソフトのインストール、新しいアクセス権の付与は、毎回確認します。

ただし、何にでも承認を求めると、内容を見ずに承認ボタンを押すようになります。承認をはさむのは次の4種類に絞ると、仕組みが回りやすくなります。

  • 元に戻せない操作(削除、上書き、送信)
  • 社外に情報が出る操作(メール、共有リンク、外部へのアップロード)
  • お金が動く操作(購入、支払い、契約)
  • 権限が増える操作(アカウント作成、共有設定の変更、ソフトのインストール)

4. ログ:誰の権限で何をしたかを残す

OWASPは、被害を小さくする手段として、記録と監視、呼び出し回数の制限も挙げています。エージェントの記録では、「どの社員の指示で」「どの鍵や権限で」「何に」「いつ」アクセスしたかを残します。

記録があれば、おかしな動きに早く気づけます。事故が起きたときに、どの鍵を止めればよいかもすぐ分かります。

情シスが決めるルール表

ここまでの考え方を、社内ルールのひな形にまとめます。会社の規模に合わせて調整してください。

対象 決めること ひな形の例
使ってよいエージェント 会社の契約か、個人の契約も認めるか 会社が契約したものに限る
つないでよいシステム 一覧と、読み取りか書き込みか 顧客・人事・経理のデータは読み取りだけ
鍵(APIキー・トークン) 発行の単位、期限、置き場所 用途ごとに発行し、期限は90日以内。シークレットマネージャーに置く
エージェントの権限 誰の権限で動かすか 指示した社員の権限以下。管理者権限は使わない
承認が要る操作 承認する人と方法 削除・社外送信・支払い・権限追加は本人の承認
禁止すること 例外を認めない操作 チャットへの秘密の貼り付け。業務PCでのフルディスクアクセスの許可は申請制
ログ 残す項目、保存期間、確認する人 指示者・鍵・操作・日時を1年残し、月1回確認
事故のとき 鍵を止める手順と連絡先 鍵の無効化は情シスが30分以内に行う

シークレットマネージャーは、パスワードや鍵を暗号化して保管し、必要なときだけ取り出せる仕組みです。主なクラウドに用意されています。

今日からできること

まずは現状を知ることから始めます。今週中に次の6つを確かめてみてください。

  • 共有フォルダや開発のリポジトリに、.envや鍵が書かれたファイルが置かれていないか探す
  • 社内で使われているAIエージェントと、そのつなぎ先を一覧にする
  • 会社のMacで、フルディスクアクセスを許可しているアプリを確かめる
  • エージェントに渡している鍵が、管理者の鍵や人と共用の鍵でないか確かめる
  • Claude Codeなどを使う部署には、.envの読み取りを拒否する設定を配る
  • 鍵が漏れたときに、誰がどの手順で止めるかを決めて書き出す

エージェントは、渡した権限の分だけ仕事をしてくれます。渡す権限を決めることが、情シスにとっての新しい仕事になっています。

この記事で使える無料テンプレ

よくある質問

Q.envファイルをやめれば安全になりますか?

Aそれだけでは足りません。エージェントに渡した鍵や権限の範囲では、情報を読んだり送ったりできてしまいます。鍵の置き場所を変えるのと合わせて、権限そのものを絞り、影響の大きい操作に人の承認をはさみます。

Q毎回承認を求めると、現場の仕事が止まりませんか?

Aすべてに承認を求めると、内容を見ずに承認する「承認疲れ」が起きます。承認は、元に戻せない操作、社外への送信、支払い、権限の追加に絞り、読み取りや下書きは任せる形が現実的です。

QmacOSのフルディスクアクセスは、いつから変わりますか?

AAppleは10月2日に方針を発表しましたが、導入の時期や具体的な仕組みは明らかにしていません(2026年10月3日時点)。今のうちに、どのアプリに許可しているかを確かめておくと備えになります。

出典・参考

この記事は、まだ監修者のチェックを受けていません。

執筆

情シスのミカタ編集部AIにより執筆

書いた AI: AI記者(解説)

法令・官公庁の発表・企業の公式発表などの一次情報を調べて、情シス向けの解説・比較・テンプレの記事を書きます。数字と日付は出典と照らして確かめ、記事の最後に出典を載せています。使っているAI: Anthropic Claude。

記事は AI が一次情報を調べて書き、機械の検査を通してから公開しています。人が見ているもの・見ていないものはAI の使い方に書いています。まちがいに気づいたら訂正・ご指摘からお知らせください。直したら、記事の最後に何を直したかを書きます。

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