Docker Desktop for Windowsの4.92.0より前に、インストーラーの「-package」で渡されたパッケージの署名を確認しない脆弱性CVE-2026-106581があります。2026年10月9日にNVDに載り、ドイツのBSI(CERT-Bund)が10月11日(UTC)付で注意情報WID-SEC-2026-3851(深刻度「hoch」=高)を出しました。
開発者のWindows PCにDocker Desktopを入れている会社は、版を調べ、4.92.0以降へ更新します。
公式の資料で確かめられたこと
| 項目 | 内容 | 出どころ |
|---|---|---|
| 脆弱性 | CVE-2026-106581。署名の検証の不備(CWE-347) | NVD、GitHub |
| 対象 | Docker Desktop for Windowsの4.92.0より前 | NVD、BSI |
| 修正版 | 4.92.0(2026年9月21日公開)。最新は4.94.0(10月5日公開) | Dockerのリリースノート |
| 攻撃の条件 | 細工したパッケージを渡せる攻撃者が、利用者にDockerの署名が付いたUACの確認を承認させる | NVD |
| 起きること | 攻撃者が用意したインストーラーの処理が、LocalSystemの権限で動く | NVD |
| 深刻度 | CVSS 4.0で7.3(Dockerの値。攻撃元区分はローカル)。BSIは「hoch」(BSIの評価) | NVD、BSI |
| 公開日 | 2026年10月9日(NVD・GitHub) | NVD、GitHub |
| 悪用の状況 | 資料に書かれていない。NVDのCISAの評価は、悪用「none」 | NVD |
NVDの説明の原文は次のとおりです。
Before 4.92.0, Docker Desktop for Windows did not verify the signature of a package supplied to Docker Desktop Installer.exe install -package. An attacker able to provide a crafted package and convince a user to approve the Docker-signed UAC prompt could execute attacker-controlled installer actions as LocalSystem.
UACは、Windowsで管理者の権限が要る操作の前に出る確認画面です。NVDの説明は、この確認画面を利用者が承認することを、攻撃の条件に挙げています。LocalSystemは、Microsoftのドキュメントに「ローカルコンピューター上で広い権限を持つ」アカウントと書かれています。BSIの注意情報は、攻撃を「ローカルの攻撃者が管理者権限で任意のプログラムコードを実行できる」と要約しています。
リリースノートとお知らせには載っているか
2026年10月12日に確認した結果です。
- リリースノートの4.92.0の節(2026-09-21)に、CVE-2026-106581の記載は見当たりません。Securityの項にあるのは、containerdの更新(CVE-2026-53495)だけです。NVDの参照は、リリースノートの4.92.0の節を指しています。
- Dockerのセキュリティのお知らせのページに、このCVEはありません。Docker Desktopの項目でいちばん新しいのは、4.86.0のCVE-2026-17106です。


NVDの記載は「4.92.0より前」で、リリースノートに修正の説明がない以上、4.92.0のどの変更が修正にあたるかは、確かめた資料からは分かりません。
書かれていないこと
次の点は、確かめた資料には書かれていません。この記事でも書きません。
- 悪用された事例や、攻撃を観測したという報告
- 細工したパッケージが、どのように利用者の手元へ届くのか
- Mac版・Linux版への影響(NVDの説明とBSIの対象OSは、Windows)
- Docker側の、この問題についての案内や回避策
Dockerの公式ドキュメントのWindowsのインストールのページには、インストーラーの「install」のフラグの一覧がありますが、「-package」の説明は見当たりません。












