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Zyxelのスイッチ約1,000台侵害 ゼロデイは6月の修正版も対象

ZyxelのGS1900シリーズは、6月に更新した版でも11月3日公表の脆弱性の対象です。10機種の修正版と、更新の前に控える設定とログ、更新の後に替えるパスワードを確認できます。

公開 更新 執筆・監修:佐々木 航人が監修しながらAIを活用して執筆
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Zyxelのスイッチ約1,000台侵害 ゼロデイは6月の修正版も対象

この記事のまとめ

  • 6月のパッチ2を入れたGS1900も対象で、更新先はパッチ3の版です。
  • GreyNoiseの観測では996台が侵害され、564台は初期の認証情報でした。
  • KEVに載るのはCVE-2026-7273だけで、CVEの記録のCISAの評価も新しい番号の悪用は「none」です。
  • 更新の前に設定とログを残し、更新の後に全アカウントのパスワードを替えます。
こんな方に#30代#40代#50代実務

世界48の国と地域で996台。ZyxelのスイッチGS1900シリーズが8月17日ごろに攻撃を受け、設定やパスワードのハッシュを抜き取られていました。その攻撃に使われた手口は、6月に出た修正版でも防げないものだったと、ファームウェアのセキュリティ企業Binarlyが11月3日に公表しました。

Zyxelも同じ日に、新しい脆弱性CVE-2026-107441のアドバイザリを出しました。対象は10機種で、修正版はV2.90のパッチ3です。

6月に更新を済ませた会社も、対象から外れていません。

6月の修正版は、手口を止めていなかった

最初の修正は6月16日でした。ZyxelはGS1900のCGIプログラムにあるスタックベースのバッファオーバーフロー、CVE-2026-7273を公表し、パッチ2の版を配りました。LANにいる攻撃者が認証なしで、細工したHTTPリクエストからOSコマンドを実行できるおそれがある、という説明です。

9月21日になって、攻撃が表に出ました。インターネット上の攻撃を観測するGreyNoiseが、「Kapibala」の名で追う攻撃者による悪用を報告し、米CISAは同じ日にCVE-2026-7273をKEVに加えました。米国の連邦機関に求めた対応期限は、3日後の9月24日です。

ところが、Binarlyが攻撃のコードを解析すると、話が変わりました。同社が入手したコードは、GreyNoiseが報告した難読化されたPythonのコードと一致し、6月の修正では止まらない仕組みで動いていたのです。6月の修正は引数の数に上限の確認を足すものでしたが、その数を入れておく値は、確認の前に上書きできてしまいました。

Binarlyは9月28日、修正版として配られた10機種の版すべてに同じ脆弱性が残っていることを確認し、翌日Zyxelに伝えました。Binarlyがまとめた経緯では、Zyxelは10月11日に新しい脆弱性と認めて番号を取り、10月22日にパッチ3を配りました。

BinarlyのBRLY-2026-057の経緯の表。2026年6月16日にZyxelがCVE-2026-7273のアドバイザリと修正版を公開、9月21日にGreyNoiseが悪用の証拠を公表しCISAがKEVに追加、9月28日にBinarlyが修正版10本すべてが影響を受けると確認、9月29日にZyxelへ連絡、10月11日にZyxelが新しい脆弱性を認めCVE-2026-107441を予約、10月22日に修正を配布、11月3日にアドバイザリとBinarlyの公開。
Binarlyの経緯の表。6月の修正版がすべて対象と確認したのは9月28日出典: Binarly「BRLY-2026-057」(引用)

Binarlyは、6月のアドバイザリの説明が攻撃の手口と合わない点を、2通りに読んでいます。6月の変更がCVE-2026-7273の修正なら、修正そのものが誤っていた。別の脆弱性の修正なら、GreyNoiseが見た悪用は6月の番号のものではなく、KEVでの結びつけが当たらない。どちらの読み方でも、パッチ2の版にはこの脆弱性が残る、と同社は結論づけています。

攻撃が観測された8月17日ごろは、パッチ3が出る2か月以上前です。Binarlyの解析どおりなら、攻撃者は修正版のない脆弱性を突いていた、つまりゼロデイの攻撃だったことになります。

KEVで照合すると「対応済み」に見える

脆弱性管理ツールでKEVと照合している会社は、ここで判断を誤りやすくなります。11月4日時点のKEVに載るGS1900の脆弱性はCVE-2026-7273だけで、求める対応は「ベンダーの指示に従う」ことで、備考から開くのは6月16日のアドバイザリ、つまりパッチ2です。CVE-2026-107441はKEVになく、CVEの記録にCISAが付けた評価でも、悪用の状況は「none」でした。評価の日付は11月4日で、Zyxelのアドバイザリにも悪用の記述はありません。

台帳の上では、パッチ2を入れたスイッチが「悪用ありの脆弱性は対応済み」、新しい番号が「悪用なし」と並ぶことになります。悪用の確認で優先度を決めている会社ほど、2つの番号のすき間に落ちるでしょう。編集部は、CVE-2026-107441をKEVに載った脆弱性と同じ急ぎ方で扱うべきだとみています。Binarlyの解析では、攻撃者のコードが突いていたのはこちらの脆弱性だからです。

Zyxelの6月16日のアドバイザリは、改訂の記録が初版のままでした(11月5日確認)。6月のページだけを見た人には、パッチ2がいまも修正版に見えます。

深刻度の読み方にも差があります。CVEの記録でZyxelが付けたCVSS 3.1は、隣接ネットワークからの攻撃として8.8。Binarlyは、HTTPで管理画面に届けば攻撃が成り立つとして、ネットワークからの攻撃で9.8と評価しました。

「LANからの攻撃」を「社内の人しか触れない」と読むのは危ういところです。ウイルスに感染した社内のPCも、ゲストWi-Fiにつないだ来客の端末も、同じLANにいます。

もう1つ、KEVを同じ版で数えると、Zyxelの脆弱性は13件あり、ファイアウォールやNAS、ルーターが中心で、スイッチは9月のGS1900が初めてでした。スイッチは更新の知らせを待つ機器として見られにくく、版が台帳に載っていない会社もありそうです。

996台のうち564台は、出荷時のパスワードのまま

GreyNoiseによると、攻撃者は996台から、スイッチの設定、ハッシュ化したrootの認証情報、ネットワーク情報を持ち出しました。手口は、まずスイッチにTFTPで外部から収集用のスクリプトを取らせ、集めた結果を管理画面のWebから読める場所に移して取り出すものでした。国別ではイタリアの133台、米国の129台、台湾の123台が多く、48の国と地域の表に日本はありません。

しかも564台は、出荷時の認証情報のままでした。996台の約57%にあたります(編集部で計算)。

今回の脆弱性は認証なしで突けるので、管理画面に届けば、パスワードが何であれ乗っ取られるおそれがあります。ただ、持ち出されたハッシュは、更新したあとも攻撃者の手元に残ります。初期のパスワードのハッシュは、だれもが答えを知っているハッシュと同じです。初期のままのスイッチは、パッチ3を入れても、攻撃者が知っているパスワードで管理画面に入れる状態のままでしょう。初期でなくても、ハッシュは時間をかければ解かれるおそれがあります。だから、更新とパスワードの変更は1つの作業にまとめて進めます。

日本が表にないことは、安心の材料になりません。表はこの攻撃者が抜き取りに成功した台数で、ほかの攻撃者がどこを狙ったかは分からないからです。

まだ見えていないこともあります。996台がどの版で動いていたかを、GreyNoiseは公表していません。日本の機器の被害の報告も見当たらず、JPCERT/CCが2026年に出した注意喚起の一覧(10月29日更新)にも、Zyxelの項目はありません。JVN iPediaは10月下旬から止まっていて(11月2日のダイジェスト)、JVN iPediaから脆弱性の情報を取り込むツールでは、この番号がまだ台帳に入ってこないおそれがあります。

影響するのは、パッチ2までの10機種

版の見分け方は単純です。括弧内の英字4文字は機種ごとに違い、その後ろの数字が2以下なら対象、3なら修正版。たとえばGS1900-24なら、2.90(AAHL.2)C0が6月の修正版で、今回の修正版は2.90(AAHL.3)C0です。

型番 対象の版(この版まで) 修正版(パッチ3)
GS1900-8 2.90(AAHH.2)C0 2.90(AAHH.3)C0
GS1900-8HP 2.90(AAHI.2)C0 2.90(AAHI.3)C0
GS1900-10HP 2.90(AAZI.2)C0 2.90(AAZI.3)C0
GS1900-16 2.90(AAHJ.2)C0 2.90(AAHJ.3)C0
GS1900-24 2.90(AAHL.2)C0 2.90(AAHL.3)C0
GS1900-24E 2.90(AAHK.2)C0 2.90(AAHK.3)C0
GS1900-24EP 2.90(ABTO.2)C0 2.90(ABTO.3)C0
GS1900-24HPv2 2.90(ABTP.2)C0 2.90(ABTP.3)C0
GS1900-48 2.90(AAHN.2)C0 2.90(AAHN.3)C0
GS1900-48HPv2 2.90(ABTQ.2)C0 2.90(ABTQ.3)C0

Zyxelのコミュニティに社員が載せたリリースノートには、GS1900-8HPのRev. B1も同じ版で並びます。Zyxelの日本語サイトでも、仕様のページに10機種がすべて載っていました。一方で、日本語サイトから脆弱性の案内をたどると英語のページにつながり、日本語のアドバイザリは見つかりません。

ZyxelのCVE-2026-7273のアドバイザリ。GS1900シリーズのCGIプログラムのスタックベースのバッファオーバーフローで、LANにいる認証なしの攻撃者がOSコマンドを実行できるおそれがあると説明。GS1900-8から48HPv2までの10機種について、対象は2.90(xxxx.1)C0まで、修正版は2.90(xxxx.2)C0と表にある。改訂の記録は2026-6-16の初版だけ。
6月16日のアドバイザリ。修正版はパッチ2の版で、改訂の記録は初版だけ出典: Zyxel Networks「Zyxel security advisory for stack-based buffer overflow vulnerability in GS1900 series switches」(引用)

影響しない側について、Zyxelは、表にない販売中の製品は影響を受けないとしています。同じ日本語サイトに載るGS1915シリーズなどは対象外です。ただし、表に載るのは「脆弱性のサポート期間内」の機種だけ。販売を終えた古い型番まで影響しないとは書かれていません。

急ぎ方は、管理画面に届く経路で分かれます。インターネットや、来客の端末がつながるゲストWi-Fiから管理画面に届くなら、今日のうちに経路を塞ぎ、そのまま更新まで進めるのが安全です。情シスの端末からしか届かない構成なら、今週の保守の時間に組み込む形でも筋は通ります。

なお、10月20日に公表されたZyxelの通信機器の認可不備は、CPEやONTなど別の製品の脆弱性で、KEVにも載っていません。GS1900とは版も窓口も分けて確認します。

設定とログを控えてから更新する手順

CISAは、KEVのCVE-2026-7273に「フォレンジックのトリアージが要る」という印を付けました。11月4日の版で数えると、1,768件のうち97件にしかない印です。CISAの手引きによると、証拠を集める前は、できる限りシステムを変えないこと。更新すると、跡が失われるおそれがあるためです。

中小企業のスイッチでも、考え方は同じです。

  1. 台帳と管理画面で、GS1900の全台の型番とファームウェアの版を書き出します。管理画面のIPアドレスと、そこに届くネットワーク(社内LAN、ゲストWi-Fi、保守業者のVPN)も同じ表に加えます。
  2. 管理画面に外から届かないかを調べ、届くものは更新より先に塞ぎます。ルーターやUTMのポート転送にスイッチの管理IPがないかを見て、スマートフォンの回線から会社のグローバルIPアドレスを開き、ログイン画面が出ないかを試します。ゲストWi-Fiにつないだ端末からも、管理IPを開いてみます。公開の洗い出し方は、JPCERT注意喚起を情シスの週次点検にでもご覧いただけます。
  3. 更新の前に、設定ファイルを書き出し、ログとアカウントの一覧の画面を保存して、作業の日時を控えます。あわせてUTMやルーターのログで、8月以降にスイッチの管理IPと外部との通信がないかを探します。GreyNoiseが侵害の指標として公開したIPアドレスは74.48.66.73、104.225.153.141、172.245.247.21で、ドメインは*.981666.xyzです。スイッチ以外への攻撃で使われたものも含みます。ログの検索だけに使い、送信元と宛先のどちらにも出てこないかを見ます。スイッチにTFTPでファイルを取らせた通信は、宛先のポートが6969番でした。伏せられたアドレスもあるので、見つからなくても入られていない証明にはなりません。
  4. Zyxelのダウンロードライブラリかコミュニティにある配布の投稿からパッチ3を入手して更新し、管理画面で版が.3)C0で終わることを確かめます。
  5. 更新のあと、スイッチにある全アカウントのパスワードを替えます。同じパスワードをほかの機器でも使っていれば、そちらも替えます。SNMPのコミュニティ名のように設定に書き込んだ秘密があれば、それも替え、書き出した設定を前の控えと比べて、覚えのない変更やアカウントがないかを見ます。跡が見つかったら、販売店かZyxelの窓口に相談し、初期化してから設定を入れ直すことも考えます。

番号が2つに分かれた今回のような件では、KEVの照合より、型番と版で台帳を引けるかどうかで差がつきます。スイッチの版を台帳に書いていなかったなら、手順1の表をそのまま台帳に残しておくと、次の更新の日に同じ書き出しを繰り返さずに済みます。

出典・参考

人が監修しながらAIを活用して執筆しています。公開したあとも、人が内容を確かめています。

執筆・監修

佐々木 航株式会社Game

代表取締役。工学部出身で、21歳で起業してからシステム会社の経営一筋で8期目。アプリの受託開発から始め、いまはAIを使ったシステムソリューションを手がけています。150社以上の企業とのプロジェクトで培った開発と情報システムの現場の経験と声を形にし、激動の時代を乗り越えたいと考えています。

記事は、人が監修しながらAIを活用して執筆しています。何を書くかと中身は人が決めて確かめ、記事の中身の責任は編集部(執筆・監修者)が負います。くわしくはAI の使い方に書いています。まちがいに気づいたら訂正・ご指摘からお知らせください。直したら更新日を改め、記事の最後に何を直したかを書きます。

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