Microsoftは、Microsoft 365 ロードマップ(ID 573699)に、SharePointの新しい管理機能「Inactive files policy」を載せました。SharePoint高度な管理(SharePoint Advanced Management、SAM)の機能で、最後にアクセスされてから長い間たったファイルを、管理者が決めた条件で自動的にアーカイブします。ロードマップの状態は「In development」(開発中)です。
何をする機能か
ロードマップの説明によると、管理者は「最後にファイルが開かれた日」を基準に、ファイルを自動でアーカイブするポリシーを作れます。
アーカイブされたファイルは、Microsoft 365 Archiveという低コストの「コールド ストレージ」層(めったに使わないデータ用の保管場所)へ移ります。ファイルは同じ場所に残り、メタデータ、アクセス許可、コンプライアンス 、検索性は保たれると書かれています。
Microsoft 365 Archive側の説明では、アーカイブされた内容は直接は誰も開けない状態になります。検索は、Purviewのコンテンツ検索やeDiscoveryなどで使えます。復元の手順は今回のロードマップには書かれていません。
提供の時期と、予定は変わりうること
ロードマップの表記は次のとおりです(2026年10月5日に追加、同日更新)。
状態: In development(開発中)
Preview available(試験提供): October 2026
Rollout start(展開開始): December 2026
リリースフェーズ: General Availability、Preview
Microsoft 365 ロードマップの該当項目。状態、試験提供と展開開始の月が表示される 出典: Microsoft 365 ロードマップ (引用)
Microsoftはロードマップについて、「すべての情報は変更されることがあります」と案内しています。時期はあくまで予定です。社内への周知では、日付を確定として扱わないでください。
試験提供は、ロードマップによるとPowerShellのみです。管理センターの画面から使えるかどうかは、発表に書かれていません。
管理者ができること
ロードマップとLearnのコマンド説明(New-SPOFileArchivePolicy)に書かれている内容です。
非アクティブとみなす期間を6〜48か月で決める。Learnでは既定値は24か月です。
対象をすべてのSharePointサイト、OneDrive for Businessのすべてのサイト、または指定したサイトだけにする。
対象に含めるファイルの種類、除外するファイルの種類を拡張子で指定する。
サイトを対象から外す(除外する)。
What-If(シミュレーション)モードで、実際にはアーカイブせずに影響を確認する。
Learnには、ポリシーは作成時に「Inactive」(無効)状態で、Set-SPOFileArchivePolicyで有効にして初めて動くと書かれています。
注意点もあります。Learnによると、最終アクセス日が正確なのは2025年7月以降です。それ以前の日付は、一部のクライアントのアクセス記録が抜けている可能性があります。重要なデータでは、2025年7月より前の最終アクセス日を基準にアーカイブしない条件にするよう書かれています。
既定で何かが消えるのか
ロードマップにもLearnにも、ファイルを削除するとは書かれていません。説明されているのは、アーカイブ層への移動です。
また、既定で有効になるとも書かれていません。ポリシーを作るのは管理者で、作成した時点では無効状態です。一方で、新機能が既定でオンになるかどうかや、展開時に管理者への事前通知があるかどうかは、発表に書かれていません。
対象のプラン・ライセンスと、世界共通の展開か
ロードマップが示す条件は、Microsoft 365 Archiveと従量課金(pay-as-you-go)の請求設定が有効になっていることです。対象のMicrosoft 365のプラン名や、SharePoint高度な管理のライセンスが要るかは、ロードマップに書かれていません。
SAMの概要ページ(Learn)では、Copilot のライセンスが1つ以上ユーザーに割り当てられている場合に使えるSAMの機能の一覧が別にあります。ただし、その一覧に今回のポリシーは載っていません。このポリシーの契約条件は、公式の続報を待つ必要があります。
展開の範囲は、ロードマップのクラウド種別が「Worldwide (Standard Multi-Tenant)」で、プラットフォームは「Web」です。世界共通の一般向けクラウドの展開と読めます。日本での提供は、日本向けの個別の記載はなく、世界共通の扱いの中に含まれるとしか分かりません。
影響する会社・しない会社
影響する: SharePoint Onlineに古いファイルがたまり、ストレージの容量や費用が気になっている会社です。ポリシーで整理できる可能性があります。
影響する: Microsoft 365 Archiveと従量課金をすでに使っている、または導入を検討している会社です。この機能の前提条件に当たります。
影響する: 部署のサイトで古いファイルを参照する運用がある会社です。管理者が有効にすると、対象のファイルが通常どおり開けなくなる可能性があるため、現場への周知が要ります。
影響しない: 管理者がポリシーを作成・有効化しない限り、ファイルは移動しません(ロードマップとLearnの記載の範囲)。
影響しない: 政府向けクラウドなど、Worldwide (Standard Multi-Tenant)以外のテナントは、今回のロードマップの対象に書かれていません。
情シスが今日やること
自社のテナントの種類を確認します。 Microsoft 365管理センターで、一般向けのクラウド(Worldwide)かどうかを確かめます。違う場合、この機能は今回の予定の対象外です。
Microsoft 365 Archiveと従量課金を使っているか確認します。 管理センターの請求まわりを見るか、契約担当に聞きます。使っていなければ、費用が発生するかを事前に確認する担当と期日を決めます。
古いファイルの量を調べます。 SharePoint管理センターのストレージの情報で、どのサイトが容量を使っているかを一覧にします。ポリシーの対象にしたいサイトの候補になります。
業務で古いファイルを参照するサイトを洗い出します。 契約書、設計書、法定保存の資料などを置くサイトの所有者に聞き、除外する候補を作ります。2025年7月より前の最終アクセス日が頼りにならない点も、判断の前提として共有します。
試験提供が始まったら、What-Ifモードから試します。 10月に始まる予定ですが、変わる場合があります。有効化の前に、影響のあるファイル数を確認し、所有者へ知らせる文面を準備してください。