Mistral AIは2026年10月6日、生成AIモデル「Mistral Large 4」の公開プレビューを開始しました。同社によると、複雑な表計算ファイルや文書の作成・編集・修正に対応します。プレビューAPIはMistral Studioで利用できますが、モデルの重みの公開やオンプレミスでの稼働は今後の予定です。
文書・表計算の処理を、業務単位で試すモデル
Mistral Large 4は、文章や画像など複数の種類の情報を扱うマルチモーダルモデルです。Mistral AIは、複雑な文書、グラフ、自然画像を理解できるとしています。文書を読み取るだけでなく、表計算ファイルや文書を作成・編集・修正する用途も掲げています。
総パラメーター数は1兆、処理時に使うアクティブパラメーター数は490億です。学習データには160超の言語が含まれ、EUの全公用語を網羅しています。ただし、学習に含まれる言語数だけで、日本語での業務品質を判断することはできません。
同社の発表では、657の業務フローを測るAutomationBenchのスコアは59.9%でした。これはMistral AIが示した評価結果であり、自社の帳票や文書でも同じ成果が得られるという意味ではありません。情シスが試す際は、実際の仕事に近い入力と、完成物の正しさを判定する基準を用意するのがよいでしょう。
重み公開と自社運用は今後の予定
モデルの動作に必要な学習済みの数値データである「重み」は、2026年10月末までに公開予定です。Mistral AIは、セキュリティ業務向けに、社内設備で運用するオンプレミスなどでも稼働可能になる予定としています。現時点のプレビューAPIと、今後の自社運用は分けて検討する必要があります。
学習にはNVIDIA Grace Blackwell GPUを3,800基使用し、欧州のMistral AI自社データセンターで実施しました。公開プレビューも同じインフラで提供しています。今後は欧州を含む世界の複数地域で提供予定で、欧州では他のデジタルサービス事業者に依存せず、欧州法の下で自社運用する方針です。
日本での提供は発表には書かれていません。日本語対応、日本向けの価格、日本のリージョンについても記載がありません。
重み公開に向けて、サイバーセキュリティ企業や政府機関などとの安全性検証も進めています。検証参加者には、制限を緩めてサイバー機能を拡張した同じモデルを提供しています。この検証用モデルの条件を、通常の公開プレビューと同じものとして扱わないことが重要です。
影響する会社・しない会社
- 影響する: Mistral StudioでプレビューAPIを試す会社です。文書や表計算の処理を評価する際、新モデルを候補にできます。ただし、日本からの利用可否や対象プランは発表には書かれていません。
- 影響する: セキュリティ業務向けにオンプレミス運用を検討する会社です。重みの公開と追加情報が検討材料になります。必要な設備や利用条件は発表には書かれていません。
- 影響しない: 今回のプレビューを利用せず、新モデルへの移行も検討していない会社です。既存サービスの停止や、利用者に必須となる移行期限は発表には書かれていません。
情シスが今日やること
- 試用開始前に利用条件を確認します。 開発担当者に、Mistral StudioでプレビューAPIを利用できるか確認してもらいます。日本からの利用可否、料金、契約条件は未確認事項として記録し、不明な点は提供元に問い合わせます。
- 業務データを送る前に、入力してよい範囲を決めます。 情報セキュリティ担当者と、試用に使う文書・表計算ファイルを選びます。欧州の自社インフラで提供するという説明だけで、自社のデータ管理要件を満たすと判断せず、データの保存や利用条件も確認します。
- 試用前に合否の基準を用意します。 文書や帳票を扱う部門に、作成・編集・修正で試したい作業を挙げてもらいます。計算結果、記載内容、修正箇所を人が確認できるようにし、発表された評価スコアとは別に業務での使い勝手を測ります。
- 自社運用の判断は、重み公開後の情報を確認してから行います。 オンプレミスを検討する担当者には、重みが2026年10月末までに公開予定であることを共有します。アーキテクチャや追加評価、事後学習手法の詳細も公表予定のため、設備調達や本番導入の判断前に確認する項目として残します。