ビジネスチャット のLINE WORKSを提供するLINE WORKS株式会社が、代表電話をAIが一次受付するサービス「LINE WORKSキャッチコール」の正式提供を、2026年10月19日に始めました。基本料が1年間無料になるキャンペーンもあり、申し込みを考える会社は多そうです。サービスの紹介はLINE WORKS、AI電話受付を正式提供へ 全企業対象に1年間無償 (TECHNOVA)に任せ、この記事では、情シス が申し込む前に確かめておきたい契約 ・データ・設定の決まりを、公式の利用規約とキャンペーン規約から整理します。
何が始まったか
キャッチコールは、代表電話への着信を、LINE WORKSが発行する番号へ転送して使います。AIが応答して、用件・氏名・折り返し先などを聞き取り、内容を文字と録音で、LINE WORKSのトークルームか、指定したメール アドレスに届けます。2026年2月から先行版を約70社が使っていて、その声をもとに正式版にしたとしています。
キャッチコールの使い方の流れ(LINE WORKSのプレスリリースより) 出典: LINE WORKS株式会社 (報道用の素材)
料金は、年間に受け付ける着信の数で3つに分かれます。いずれも年間契約で、税別です。
プラン
年間の受付件数(月の目安)
月額
無料で使える番号
ライト
1,800件(150件)
8,900円
1つ
スタンダード
3,600件(300件)
14,900円
2つ
アドバンスト
12,000件(1,000件)
39,800円
3つ
番号の追加は1番号あたり月額1,000円、受付件数の追加は100件ごとに10,000円です。初期費用は無い一方、代表電話の転送の設定にかかる費用と転送の通話料は、契約した会社の負担です。使う人数による追加の料金はありません。
「1年無料」の条件と、2年目からの請求
1年無料は、申し込めば自動で付くものではありません。キャンペーン規約の主な条件は次のとおりです。
2026年10月19日以降にトライアルを始めること。10月18日以前に始めたトライアルや、先に有償で契約した会社は対象外です。
トライアルの期間中に、キャンペーンへのエントリーと、有償契約の予約(有償化予約)を済ませること。エントリーの受付は2027年3月31日まで、有償契約の利用開始日は2027年5月1日が最後です。案内のページは、トライアルの開始から30日以内にエントリーしないと対象外になるとしています。
1法人につき1回だけ。部署や拠点ごとに申し込んでも、1回とみなします。
無料になるのは基本料だけです。オプション、転送の通話料、LINE WORKS本体の料金は対象外です。
無料の12か月が終わると、通常の料金で1年間、自動で更新されます。規約は、更新の前に案内はするものの、無料期間の終わりを個別に知らせることは約束しない、としています。更新したあとに途中で解約すると、残りの期間の料金がかかります。契約の担当と情シスで、最初の契約期間の満了日を、申し込んだ日のうちに予定表へ入れておきます。
このほか、契約期間の途中で下のプランへは変えられません。使わずに残った受付件数は、次の期間へ持ち越せません。
録音と文字起こしのデータの扱い
キャッチコールが扱うデータ(規約の「本データ」)には、かけてきた人の通話の録音、電話番号、会社名、氏名、連絡先、用件、そこから作った文字起こし、対応の状況やメモが含まれます。利用規約の第12条は、その扱いを次のように定めています。
利用規約 第12条。学習に使わないこと、委託、90日の保存期間を定める 出典: LINE WORKS「LINE WORKSキャッチコールサービス利用規約」 (引用)
保存期間 : 通話情報(音声とテキスト)は、取得日から90日間保存したあと削除します。削除したデータは戻せません。
AIの学習 : LINE WORKSやほかの会社のAI技術の性能向上のための学習・再学習・評価用データの作成には使いません。個人や通話内容が分からないように加工した場合も同じで、委託先にも使わせないとしています。
委託と社員の閲覧 : 提供に必要な範囲で、扱いを外部に委託することがあります。LINE WORKSの社員は、サポートや障害 の調査などで必要なときに限り、権限を持つ人が最小限の範囲で見ることがあります。
かけてきた人には、通話の冒頭で、録音することなどをサービスが案内します。その一方で、規約は、かけてきた人の個人情報について、利用目的の特定や公表、安全管理などは、契約した会社が個人情報取扱事業者として行うものとしています。自社のプライバシーポリシーに、電話の受付をAIのサービスに委託して録音することが書けているかを確かめます。
また、規約は、緊急の通報や、命・身体の安全にかかわる連絡、即時の受付が法令や契約で求められる用途に、キャッチコールを唯一の受付の手段として使ってはいけない、としています。介護や医療、設備の保守など、緊急の電話が代表番号に来る業種では、緊急の連絡先を別に案内しておきます。
通知が見える人と、管理者の設定
よくある質問から、管理の決まりを拾うと次のとおりです。
アプリの追加や契約番号の設定は、LINE WORKSの最高管理者だけができます。副管理者や運用担当者ではエラーになります。
通知は、キャッチコールのBotを招いたトークルームの参加者にだけ届きます。そのトークルームの参加者なら、管理の権限が無くても、通知と受付の履歴を見られます。
Botを招けるのは、3人以上の社内のトークルームだけです。1対1や、社外の人が入ったトークルームには招けません。
名乗りやヒアリングの項目を変える「利用設定」と、受付履歴のCSVのダウンロードは、スマートフォンのLINE WORKSアプリからだけ使えます。
利用設定の画面。名乗り、ヒアリング項目、利用メンバーを決める 出典: LINE WORKS株式会社 (報道用の素材)
電話の用件には、取引先の担当者名や、クレーム、採用の応募など、見せる相手を選ぶ内容も混ざります。通知のトークルームは「電話を受けていた人たち」に絞り、異動や退職のときに外す人の見直しに入れます。CSVはスマートフォンに落ちるため、会社の端末の管理(MDM)の対象の端末で扱う決まりにしておくと安心です。
電話番号と転送の注意
発行される番号は転送を受けるための番号で、自社の番号として公開することはできません。権利はLINE WORKSにあり、ほかの電話会社へ移すこと(番号ポータビリティ)もできません。電話会社の事情などで、番号が変わることがあります。
契約が終わると、番号はLINE WORKSが回収し、ほかの会社に割り当てられることがあります。規約は、転送は自社が設定を外すまで続くとして、契約の終了日までに転送を外すよう求めています。トライアルも、終了後7日を過ぎると発行された番号が変わります。
転送は1段階が前提で、PBXや内線、IVRを挟んだ転送ではつながらない場合があります。J:COMやauひかり電話など、転送に対応しない回線もあります。時間帯でAIに切り替える機能は無く、電話会社の時間帯転送のサービスを使います。
影響する会社・しない会社
影響する: 代表電話の取り次ぎに人手を取られていて、キャッチコールの申し込みを考えている会社です。とくに、無料の条件(トライアル中のエントリーと有償化予約)と、2年目からの自動更新を、契約の担当と共有しておく必要があります。
影響する: 介護・医療・設備の保守など、緊急の連絡が代表電話に来る会社です。規約上、キャッチコールだけを緊急の受付の手段にできません。
影響しない: 電話の受付にAIのサービスを使う予定が無い会社です。LINE WORKSを使っているだけで、何かが自動で始まることはありません。
情シスが今日やること
申し込みの前に、利用規約とキャンペーン規約を契約の担当と読み、1年無料の条件、最初の契約期間の満了日、更新前に続けるかを決める日を、予定表に入れます。
自社のプライバシーポリシーと、電話の受付の案内を見直します。録音すること、AIのサービスに受付を委託することが書けているかを確かめます。
通知のトークルームを決めます。参加者を電話を受けていた人に絞り、社外の人を入れない、異動や退職のときに外す、という運用に入れます。
受付の記録を残す決まりを作ります。録音と文字起こしは90日で消えるため、残す必要があるものは、CSVなどで自社のシステムに移します。CSVを扱うスマートフォンは、会社の管理下の端末にします。
解約や乗り換えのときの手順に、「電話会社の転送設定を外す」を入れておきます。番号がほかの会社に割り当てられたあとも転送が残る、という事態を防ぎます。
緊急の連絡が来る業種では、緊急の連絡先を別にウェブサイトなどで案内します。
ビジネスチャット全体の料金や無料版の制限は、ビジネスチャット比較 Slack・Teams・Chatworkほか5社の料金と無料版の制限 にまとめています。