チラシやニュースレター、ポスター、カレンダーづくりに30年以上使われてきたMicrosoft のDTPソフト「Publisher」が、提供を終えました。Microsoft 365 では10月1日から順に使えなくなり、買い切り版も10月13日でサポートが終わっています。Microsoft 365だけを使う会社では、社内に残った.pubファイルを、Publisherで開けなくなりました。何が起きたのかと、残ったファイルをどう扱うかを、Microsoftとほかの開発元の公式の情報から整理します。
何が起きたか
Microsoftのサポートページは、Publisherの提供の終わり方を、契約 の種類ごとに次のように書いています。
Microsoftのサポートページ。契約の種類ごとの提供の終わり方 出典: Microsoft サポート「Microsoft Publisher は、2026 年 10 月以降サポートされなくなります」 (引用)
Microsoft 365: 2026年10月1日まで、今の機能で使えました。それ以降は、削除の更新が順に配られ、Publisherを使えなくなります。インストールやダウンロードもできなくなり、Publisherで.pubファイルを開いたり編集したりできません。
買い切り版(永続版): Publisher 2021のサポートは、Office 2021とOffice LTSC 2021と同じ2026年10月13日(米国太平洋時間)に終わりました。サポートは終わっても、インストールして使い続けることはできる、としています。Publisher 2016・2019のサポートは、2025年10月14日に終わっています。
Office 2024・Office LTSC 2024: もともとPublisherは含まれていません。
Office 2021そのもののサポート終了 は、Office 2021のサポートは2026年10月13日に終了、移行先の選び方 で取り上げました。
Microsoftが案内する移し方
Microsoftは、Publisherのファイルを、使い道に合わせて別の形式に移すよう案内しています。
したいこと
Microsoftの案内
中身を見る・印刷する
Publisherで開き、「名前を付けて保存」でPDFにする
中身を直す
PDFにしてから、WordでPDFを開いてWordの文書にする。図が多いと、レイアウトが元と変わることがある
たくさんのファイルを一度に変える
PowerShellのスクリプトの例(Convert-PubFileToPDF.ps1)を手直しして、まとめてPDFにする
これから新しく作る
チラシ・パンフレット・名刺・カレンダーはWordかPowerPoint、ポスターや看板はPowerPoint、封筒・ラベル・レターヘッド・ニュースレターはWord
注意したいのは、どの移し方も、Publisherが動くパソコンでの作業が前提になっていることです。まとめて変換するスクリプトも、「動作するライセンス版のPublisherがインストールされていること」を条件にしています。Microsoft 365でしかPublisherを使っていなかった会社は、10月1日以降の削除の更新が届いたパソコンでは、この方法をとれません。
LibreOfficeで読み込む道もある
オフィスソフトのLibreOfficeを開発するThe Document Foundationは10月14日、Publisherの利用者に向けた呼びかけを出しました。.pubは公開された形式ではありませんが、Document Liberation Projectの開発者が形式を解析して読み込みの部品(libmspub)を作り、LibreOfficeとScribus(オープンソースのDTPソフト)が使っています。
The Document Foundationの呼びかけ。LibreOfficeで.pubを読み込める 出典: The Document Foundation「LibreOffice comes to the rescue of Microsoft Publisher users」 (引用)
同団体によると、LibreOffice Drawで.pubファイルを開き、表示・編集できます。保存は、特定の会社のソフトに縛られない開いた形式(ODF)でできます。DTPソフトではないものの、数ページのニュースレターや1枚ものなら扱える、としています。
同団体は、PDFは見た目を保てても直しにくく、Wordへの変換では複雑なレイアウトが崩れる、と指摘しています。そのうえで、1社のソフトでしか開けない形式で文書を残すと、そのソフトの終わりとともに中身を開けなくなる、と警告しています。どちらの道でも、変換したら、元のファイルと見比べてレイアウトや文字の抜けを確かめます。
影響する会社・しない会社
影響する: チラシ、社内報、名刺、案内状、カレンダーなどを、Publisherで作ってきた会社です。とくに、Microsoft 365だけを契約している会社は、Publisherで.pubファイルを開けません。
影響する: 買い切り版のPublisher(2021・2019・2016)を使い続けている会社です。動きはしますが、セキュリティ更新が来ない状態です。
影響しない: .pubファイルが社内に無い会社です。ただし、取引先や過去の担当者から受け取ったファイルが、共有のフォルダーに眠っていることがあります。
情シスが今日やること
社内の.pubファイルを洗い出す。Microsoftは、パソコン、OneDrive、SharePointで「.pub」を検索するよう案内しています。ファイルサーバーや共有のフォルダーも含めて、件数と持ち主を一覧にします。
今も直すものと、残すだけのものに分ける。毎年使うチラシや申込書の型のように、これからも直すものは、WordやPowerPointで作り直すか、LibreOfficeで読み込んで移します。残すだけのものは、PDFにして保存します。
変換に使えるパソコンを確かめる。買い切り版のPublisherが動くパソコンが残っていれば、変換の作業に使えます。ただし、セキュリティ更新が来ないため、外から届いた.pubファイルを開く用途には使わず、作業が終わったら外す計画を立てます。無ければ、LibreOfficeでの読み込みを試します。
新しく作る道具を決めて伝える。社員が慣れた形のチラシや名刺を、WordやPowerPointのテンプレートとして用意し、どれを使うかを社内に知らせます。
文書を残す形式の決まりを見直す。長く残す文書は、PDFやODFのように、特定のソフトが無くても開ける形式で残す、と社内の決まりに書いておくと、次に同じことが起きても慌てずに済みます。