台湾のDrayTekが作る拠点向けのVPNルーター「Vigor2960」に、管理画面の脆弱性が9件見つかりました。ログインした攻撃者が、機器の上でコマンドを動かせるものを含みます。悪用の手順も公開されています。Vigor2960は2021年に販売が終わり、ファームウェアの保守も2026年12月で終わる機器です。まだ使っている会社は、今の版を確かめ、管理画面の守りを固め、置き換えを急いでください。
何が見つかったか
2026年10月20日、GitHubの勧告のデータベースに、Vigor2960の1.5.1.6(Revision 8218)の脆弱性9件(CVE-2026-113389〜113397)が載りました。ドイツのCERT-Bundも同じ日に、深刻度を最も高い「kritisch(重大)」として勧告(WID-SEC-2026-4069)を出しています。9件はどれも、管理画面の処理(/cgi-bin/mainfunction.cgi)の中にあります。
GitHubの勧告(CVE-2026-113389、英語)。DrayTekはサポート終了で支援は限られると答えている出典: GitHub Advisory Database「GHSA-93hq-w565-c2gv」(引用)
| CVE |
中身 |
CVSS(v3) |
ログイン |
勧告に「1.5.1.7で直る」の記載 |
| CVE-2026-113389 |
コマンドの注入 |
9.9 |
要(低い権限) |
無し |
| CVE-2026-113390 |
OSのコマンドの注入 |
9.9 |
要(低い権限) |
無し |
| CVE-2026-113391 |
コマンドの注入(言語のファイルの取り込み) |
9.9 |
要(低い権限) |
有り |
| CVE-2026-113396 |
コマンドの注入(設定の表の名前の変更) |
7.4 |
要(低い権限) |
有り |
| CVE-2026-113397 |
コマンドの注入(IPsecの証明書の要求) |
7.4 |
要(低い権限) |
有り |
| CVE-2026-113392 |
パスの書き換え(ファイルの取り込み) |
7.4 |
要(低い権限) |
有り |
| CVE-2026-113394 |
パスの書き換え(プロファイルの設定) |
7.4 |
要(低い権限) |
無し |
| CVE-2026-113395 |
パスの書き換え(設定のファイルの取り込み) |
7.4 |
要(低い権限) |
有り |
| CVE-2026-113393 |
ファイルの取り込みの制限が無い |
6.3 |
要(低い権限) |
有り |
勧告はどれも、攻撃はネットワーク越しにでき、悪用の手順が公開済みだとしています。必要な権限は「低い」とされ、管理画面に入れるアカウントが1つあれば悪用されうる、という評価です。
DrayTekの答え:「サポート終了で、限られた支援だけ」
勧告には、DrayTekの答えとして「2960の1.5.1.7で多くのセキュリティの問題を直した。2960はサポートが終わっていて支援は限られ、重大な問題(認証なしの脆弱性など)だけを見直す」と書かれています。また、9件とも「すでに作り手のサポートが終わった製品だけに当たる」と記されています。
1.5.1.7は2026年9月に公開されたファームウェアで、リリースノートには「WebのCGIの守りを強めた」とあります。9件のうち6件は、勧告に「1.5.1.7に上げれば直る」と書かれていますが、CVE-2026-113389、CVE-2026-113390、CVE-2026-113394の3件には、その記載がありません。認証が要る脆弱性は見直しの対象外ともとれる答えのため、1.5.1.7に上げても残るものがある前提で守ります(当社の見立て)。
サポートが終わった機器を使い続けるということ
DrayTekの2021年12月の告知。Vigor2960の製造をやめ、後継にVigor2962を勧めた出典: DrayTek「End of Life Notification : Vigor2960」(引用)
DrayTekは2021年12月の告知で、Vigor2960の製造をやめ、その後は機能の改善をしないとし、後継にVigor2962を勧めました。英国の販売会社DrayTek UKの製品の一覧では、Vigor2960は2012年8月の発売で、販売の終了は2021年12月9日、ファームウェアの保守は販売の終了から5年で、2026年12月9日に終わります。
Vigor2960は、狙われてきた機器でもあります。米CISAの悪用が確認された脆弱性の一覧(KEV)には、同じ管理画面の処理の脆弱性が、2021年(CVE-2020-8515)、2024年(CVE-2020-15415)、2025年(CVE-2024-12987)に載っています。今回の9件も手順が公開されたため、同じように狙われる前提で考えます(当社の見立て)。
VPNの機器が狙われ続ける理由と守り方は、NetScalerはなぜ狙われ続けるのか 1年余りで悪用8件、VPN機器の守り方でも取り上げています。