NTTドコモが、ドコモメールの「公式アカウントマーク」が、偽のメール(フィッシング)にも表示されてしまうケースがあると注意を呼びかけました。原因は、送信元のメール認証の設定の影響とされています。利用者には「マークを過信しない」注意が要りますが、メールを送る側の会社にとっては、自社の送信ドメイン認証の設定を見直すきっかけになります。この記事は、ドコモの公式情報をもとに、情シスの目線でまとめます。
何が起きているのか
ドコモは2026年10月15日、一部の公式アカウントの企業のメールで、フィッシングメールにもかかわらず公式アカウントマークが表示されるケースが報告されていると公表しました。原因は、送信元のメールの認証の設定などの影響としています。
公式アカウントマークは、2021年に始まった、なりすまし対策の仕組みです。送信ドメイン認証に成功したメールに表示されます。ただし、ドコモは「メールの内容を保証するものではない」と明記しています。マークが示すのは「送信元が認証された」ことで、「中身が安全」ということではありません。ドコモは、該当する企業について、事象が解消するまでの一定期間、公式アカウントの表示を止めるとしています。
送信ドメイン認証の「設定の不備」とは
今回のポイントは、「一部の企業の認証の設定」に起因する、という点です。メールのなりすまし対策には、送信ドメイン認証と呼ばれる、いくつかの仕組みがあります。
- SPF: そのドメインのメールを、どのサーバーが送ってよいかを、DNSで宣言する
- DKIM: メールに電子署名を付け、途中で改ざんされていないか、正しい送信元かを確かめる
- DMARC: SPFやDKIMの結果をもとに、認証に失敗したメールをどう扱うか(何もしない・隔離・拒否)を、送信側が指定する
これらの設定が不十分だと、攻撃者が自社を装った偽メールを、認証をすり抜けて送れてしまうことがあります。マークのような「本物の印」が、偽メールに付いてしまう背景には、こうした設定の穴があります。
影響する会社・しない会社
- 影響する: メールで顧客や取引先に連絡する、すべての会社です。自社を装うなりすましの標的になりえます。
- 影響する: 送信ドメイン認証(SPF・DKIM・DMARC)の設定が、不十分な会社です。DMARCを「何もしない(p=none)」のままにしている会社も含みます。
- 影響する人: ドコモメールの利用者です。マークを過信せず、不審なメールは開かない注意が要ります。
- 影響しにくい: SPF・DKIM・DMARCを適切に設定し、DMARCで認証失敗のメールを拒否・隔離している会社。ただし、本当にそうなっているかは、確かめないと分かりません。
情シスが今日やること
- 自社の送信ドメイン認証を確かめる。SPF・DKIM・DMARCが、自社のすべての送信元(基幹のメール、メール配信サービス、問い合わせの自動返信など)で、正しく設定されているかを確かめます。
- DMARCのポリシーを見直す。DMARCを「何もしない(p=none)」のままにせず、レポートで状況を把握したうえで、隔離(quarantine)や拒否(reject)へ段階的に進めます。
- 送信元の棚卸し。自社のドメインで、どのサービスがメールを送っているかを洗い出します。把握できていない送信元は、なりすましと区別がつきません。
- 利用者・社内への周知。「公式マークやロゴがあっても、本物とは限らない」と伝えます。支払いやログインは、メールのリンクではなく、公式のアプリやブックマークから行うよう案内します。