Microsoftが、SharePointとOneDriveに、Copilot(AI)で社内の文書を検索できる機能を追加します。「先週届いた、来期の予算の資料を見せて」といった、ふだんの言葉での検索ができるようになります。便利な機能ですが、情シスにとっては、展開の前に確かめておくことがあります。AIが権限を尊重する設計であっても、「過剰に共有された文書」が、かえって見つかりやすくなるからです。この記事は、Microsoftのロードマップと公式ドキュメントをもとにまとめます。
何ができるようになるのか
Microsoft 365のロードマップによると、SharePointとOneDriveに、Copilotによる自然言語の検索が加わります。キーワードの一致を超えて、意味や文脈で文書を探し、出典を参照するAIの要約も返します。検索の結果から、Copilotのチャットへ移ることもできます。
公開プレビューは2026年10月、一般提供は2027年1月の予定です。対象のMicrosoft Copilotライセンスを持つユーザーに、追加費用なしで提供され、セットアップに管理者やユーザーの操作は不要で、自動で表示されるとしています。
「権限は尊重」でも、過剰共有は見つかりやすくなる
この検索は、ユーザーが既にアクセス権を持つ文書だけを返す設計です。権限のない文書を見せることはない、とされています。ここは安心材料です。
ただし、問題は「権限の設計そのもの」にあります。
たとえば、「社内の誰でも」や「リンクを知っている誰でも」で共有したまま忘れられた、人事や経営の資料が、AIの検索で、意図せず見つかってしまう、といったことが起こりえます。AIは正しく「権限の範囲」で返しているのに、です。
展開の前に、情シスが確かめること
Microsoftは、Copilotの展開に向けて、過剰共有を点検・是正する統制を案内しています。
- 過剰共有の棚卸し: SharePoint Advanced Managementの「データアクセスガバナンス(DAG)レポート」や、「Anyone(誰でも)リンク」の利用状況レポートで、広く共有された場所を洗い出します。
- 参照範囲の限定: Restricted SharePoint Search(Copilotの参照を最大100サイトに一時的に限定)や、Restricted Access Control(サイトを指定したグループだけに限定)で、範囲を絞ります。これらは、是正までの暫定策です。
- 機微情報の保護: 秘密度ラベルを付け、Purviewのデータ損失防止(DLP)と組み合わせて、重要な情報を守ります。
- 共有の既定を厳しくする: 組織全体での共有を既定にせず、特定のユーザーへのリンクを既定にするなど、共有の初期設定を見直します。
影響する会社・しない会社
- 影響する: Microsoft 365 Copilotを使う、または使う予定の会社です。SharePointやOneDriveに、過剰に共有された文書があると、AIの検索で露出しやすくなります。
- 影響する: 共有の設定を、現場任せにしてきた会社です。「誰でも」リンクが多い組織ほど、点検が要ります。
- 影響しにくい: 共有範囲を厳密に管理し、機微情報にラベルとDLPを適用している会社。ただし、本当にそうなっているかは、レポートで確かめないと分かりません。
情シスが今日やること
- レポートで現状を知る。DAGレポートや「Anyone」リンクのレポートで、どこが広く共有されているかを把握します。
- 範囲を絞ってから広げる。展開の初期は、Restricted SharePoint SearchやRestricted Access Controlで参照範囲を絞り、是正が進んでから広げます。
- 機微情報にラベルとDLPを。人事・経営・顧客などの機微な文書に、秘密度ラベルとDLPを適用します。
- 共有の既定を見直す。新しく作る文書やサイトの共有の既定を、広い設定から、必要な範囲へと狭めます。