化学・繊維メーカーの東洋紡のグループ会社である東洋紡せんいで、従業員のメールアカウントが第三者による不正アクセスを受けました。乗っ取られたアカウントから、グループの内外の関係者へ、フィッシングサイトへの誘導を目的とする不審なメールが約1,500件送信されたとしています。
何が起きたのか(経緯)
東洋紡の発表によると、2026年9月24日11時頃、東洋紡せんいの従業員が利用するメールアカウントが第三者による不正アクセスを受け、そのアカウントから社内および社外の関係者に不審なメールが送信されたことを確認しました。その後の調査で、約1,500件(社内・社外のアドレス宛)の不審メールが送られていたことが分かったとしています。
この不審メールにはPDFファイルが添付されており、開くと外部サイトに誘導され、メールアドレス・ID・パスワードなどの認証情報の入力を求められる内容だったとしています。同日13時頃、情報セキュリティ部門が確認後、当該アカウントのパスワード変更や認証セッションの失効など、被害の拡大を防ぐ措置を直ちに実施したとしています。
東洋紡が公表したお詫び文(PDFの1ページ目)出典: 東洋紡株式会社(引用)
影響を受けるのは誰か
直接の影響を受けるのは、乗っ取られたアカウントから不審メールが送られた、グループ内外の関係者や取引先です。メールを受け取った人が、添付のPDFや誘導先でうっかり認証情報を入力してしまうと、その人のアカウントも乗っ取られる、という連鎖が起こりえます。東洋紡せんいは、送信先が確認できた外部の関係者へ、順次、個別に状況の報告と注意喚起を行っているとしています。
これは「取引先のメールアカウントが乗っ取られ、そこから自社に不審メールが届く」という、どの会社にも起こりうる形です。送信元が実在する取引先のアドレスであるため、受け取った側も信じてしまいやすい点が、やっかいなところです。
情シスが今日やること
- 受け取る側の注意を共有する: 取引先を含め、実在する相手からでも、PDF添付やログインを促す不審なメールには注意するよう、従業員に周知します。認証情報は、メールのリンク先で入力しない、を基本にします
- アカウント乗っ取りに備える: メール・グループウェアのアカウントに多要素認証をかけ、普段と違う場所・端末からのログインを検知・通知できるようにします。パスワードの使い回しも見直します
- 乗っ取られたときの手順を用意する: 自社のアカウントが乗っ取られた疑いがあるときに、すぐにパスワードを変更し、ログインセッションを失効させ、送信先に連絡する、という手順を決めておきます
- ログを確認できる状態にする: メールの送受信やログインのログを残し、不正アクセスの範囲(どのメール・連絡先が見られたか)を後から追えるようにしておきます
- 取引先からの連絡に備える: 取引先のアカウント乗っ取りで、自社宛に不審メールが届くこともあります。不審なメールの報告窓口を社内で決め、受け取った人がすぐ相談できるようにします
メールアカウントの乗っ取りは、そこから取引先へ被害が広がる入り口になります。受け取る側の注意と、多要素認証による乗っ取りの防止、乗っ取られたときの素早い対応を、平時から整えておくことが情シスの実務になります。