本文へ移動
情シスの相棒
事故・障害約8分で読めます

アララメッセージの流出は約7700万件 委託元が今週確認する5点

「アララメッセージ」の流出は、11月2日の第2報で契約企業の環境97台・メールアドレス約7700万件に広がり、同じサービスから偽メールも最大約713万通出ました。委託元が確認する受信の記録、止まった配信、11月9日までの連名報告、送信ドメイン認証と再開時のキーがわかります。

公開 更新 執筆・監修:佐々木 航人が監修しながらAIを活用して執筆
文字
アララメッセージの流出は約7700万件 委託元が今週確認する5点

この記事のまとめ

  • 流出は1つの共用環境から、契約企業の環境97台・約7700万件に広がりました。
  • 10月28〜30日に、カード会社を装う偽メールが同じサービスから最大約713万通出ています。
  • 連名報告の申し込みは11月9日18時まで。本人への通知は連名報告に含まれません。
こんな方に#30代#40代#50代実務

最大約713万通。クレジットカード会社を装った偽のメールが、10月28日の未明から30日の昼すぎまでに、メール配信サービス「アララメッセージ」から送られた数です。送信元のアドレスは「news@arara.com」、件名は「利用内容確認のご依頼」「ご利用明細確認のご依頼」などでした。運営するアララ(ペイクラウドホールディングスの子会社)が、11月2日の第2報で明かしました。

同じ第2報で、流出の範囲も大きく変わりました。10月28日のお知らせと29日の第1報でメールアドレス約301万件としていた流出は、契約企業の環境のサーバー97台に広がり、持ち出されたメールアドレスは約7700万件(精査中)です。アララは10月31日にサービスをすべて止め、再開の時期は決まっていません。

配信を任せている会社から見ると、流出、止まった配信、偽のメール、個人情報保護委員会への報告が、一度に押し寄せている状態です。どれから手を付けるかで、今週の段取りが変わります。

アララ株式会社の2026年11月2日の第2報『当社が提供する「アララメッセージ」への不正アクセスによる情報流出およびサービス停止について』の本報のポイントと、既報からの主な変更点の表。不正アクセスが判明したサーバーが拡大し、持ち出されたメールアドレスは約77百万件(精査中、最終ユーザー数ではない)。新たに氏名等の会員情報を含む顧客データも。10月31日に本サービスの提供をすべて停止し再開は未定。変更点の表は、流出の範囲が1システム(共用環境)から共用環境と契約企業の環境(サーバー97台)へ、流出した情報がメールアドレスからメールアドレスと氏名等の会員情報へ、件数がメールアドレス約301万件から区分ごと(精査中)へ、原因がWebサーバーの脆弱性からWebサーバーの脆弱性およびシステム環境における問題へ、不審メールが一般的な注意喚起から本サービスから送信された不審メール最大約713万通へ
アララの第2報(11月2日)。流出は契約企業の環境97台に広がった出典: アララ株式会社「当社が提供する「アララメッセ-ジ」への不正アクセスによる情報流出およびサービス停止について(第2報)」(引用)

1つの共用環境から、契約企業の環境97台へ

第2報は、影響を3つに分けました。区分の間で同じアドレスが重なっている可能性があるため、アララは件数を足し合わせていません。

区分 起きた期間 対象 持ち出された情報など 件数(11月1日時点)
サービスを経由した不正アクセス 10月28〜31日 契約企業の環境のサーバー97台(推計で最大約380社) メールアドレスと、契約企業が登録した会員情報 メールアドレス約7700万件(精査中)
10月28日に公表した共用環境 10月27〜28日 契約企業61社 メールアドレス。うち5社は氏名や会社名を含む顧客データも メールアドレス338万6187件、顧客データ最大41万1827件
サービスを使った不審メールの送信 10月28〜30日 2つの環境 送り先は、第三者が外から持ち込んだアドレス 最大約713万通

会員情報の項目は契約企業ごとに違い、氏名、性別、生年月日、電話番号、会員番号、住所などで、配信の宛先などの記録も含みます。クレジットカード番号は、サービスでは一切保有していないとしています。約7700万件は人の数ではありません。1人が複数のアドレスを持つことがあり、アララもそう断っています。

経路は2つ書かれています。最初に公表した共用環境では、第三者が10月27日から28日にかけて管理画面に不正にログインし、データを出力する機能で持ち出しました。もう1つは、第三者がサービスのサーバーに入り、そこを足場にほかの多数のサーバーへ入って、データベースを持ち出したものです。アララがこれに気づいたのは10月31日の午前で、一連の原因を調べる途中でした。原因は、29日の第1報の「Webサーバーの脆弱性」に「システム環境における問題」が加わりました。侵入の始まりと経路は、まだ調査中です。

10月30日の続報で、アララは流出を対象の環境(bvam001)の約301万件とし、それ以外の環境での流出はないとしていました。第2報は、その答えを覆したことになります。ユミルリンクのCuenote FCでも、「対象外」と聞いていた委託元の答えがあとから覆り、漏えいの跡はすべて1社で使うシステムで見つかりました(Cuenote FCの記事)。契約企業ごとに環境が分かれていても、同じサービスの中から入られれば防げない。2つの件が示したのは、その点だと編集部は受け止めています。

偽のメールは、配信サービスのアドレスから届いた

アララの件で、ほかの配信サービスの事故と違うのは、サービスそのものが偽メールの送信に使われたことです。

ユミルリンクも10月20日に、自社のドメインの「info@cuenote.jp」を使った迷惑メールに注意を呼びかけていました。表示名は「セゾンカード」「SAISON」、件名は「ご利用確認のお願い」「利用内容確認のご依頼」です。ただ、ユミルリンクは「当社および第三者が送信指示したものとは一切関係なく」としていました。アララは、自社のサービスから送られたと認めています。

第2報の経緯の表によると、不審メールの送信は10月28日3時59分ごろに始まりました。アララは同じ日の7時にその環境への外からのアクセスを止めましたが、別の環境では8時47分ごろから送信が続いていて、気づいたのは10月30日13時8分です。13時26分に通信を断ち、13時32分を最後に、送信は確認されていません。送り先は第三者が外から持ち込んだアドレスです。つまり、アララの契約企業の会員かどうかに関係なく、どの会社の社員にも届きえました。

SPFは送ってきたサーバーがそのドメインに許されたものか、DKIMは署名した鍵がそのドメインのものかを見る仕組みで、送った人や中身が正当かまでは見ません。arara.comのSPFには、アララの配信基盤(repica)が送信元として入っています(11月3日にDNSで確認)。実際に認証を通ったかは公表されていませんが、サービスから送られた偽メールは、外からのなりすましより受信箱に届きやすかったとみています。

全部を止めるまでの3日間に、持ち出しと偽メールが続いた

アララは、最初から全部を止めたわけではありません。10月28日のお知らせでは、不正アクセスを確認した対象の環境を一時停止し、停止前に予約済みの配信は実行すると案内していました。サービス全体を止めたのは10月31日で、14時50分に止め始め、19時53分に止め終えています。

その間にも、被害は続いていました。第2報の経緯の表では、契約企業の環境からの持ち出しが10月29日1時36分から30日2時22分まで、別の環境からの偽メールの送信が30日13時32分まで続いています。どこまで止めるかは、その時点で見えている範囲で決めるしかありません。アララの判断も、10月30日までの調査の答えに沿ったものだったとみています。

委託元の側では、配信サービスから「一部の環境を止めた」と連絡が来た時点で、自社の配信も止めるかを決めておく意味がありそうです。自社の環境が後から対象と分かったとき、その間に自社の名前で送られるものを減らせるからです。

同じ10月のブラストメールの件では、10月21日の未明に管理画面とAPI、配信がまとめて止まりました。報告の受付は、2つの件でよく似ています。

ブラストメール(ラクスライトクラウド・10月27日12時30分の更新まで) アララメッセージ(アララ・11月2日の第2報まで)
止まった時期 10月21日0時30分から管理画面とAPI、1時ごろから配信 10月28日に対象の環境だけ一時停止。10月31日14時50分から全サービス(19時53分に停止を完了)
漏れた範囲 全契約者の会社名・担当者名など。配信先のリストなどは345件の契約 契約企業の環境97台と、10月28日に公表した共用環境の61社
個人情報保護委員会への報告 運営会社と連名で出せる。申し込みは10月29日まで 民間は連名、行政機関と自治体はアララが代行。申し込みは11月9日18時まで
プライバシーマーク JIPDECへの報告は利用者が自社で 同じく利用者が自社で
再開 未定 未定。再開時に管理画面のパスワードやAPIキーの再設定を求める予定

管理画面を使う契約企業の担当者の氏名やメールアドレスが漏れたかは、アララもまだ確認中です。ブラストメールでは、全契約者の担当者名などが持ち出されていました。同じことが起きていれば、担当者あての偽メールも考えておく必要があります。

7700万件はサーバーを足場に持ち出されていて、委託元の側で防げる形ではありませんでした。委託元が自分で手を打てるのは、管理画面の2要素認証と接続元の制限、APIキーの置き場所までです。管理画面の対策について各社が公式に何と書いているかは、メール配信サービスの地図で10製品分をご覧いただけます。

影響を受けるのは契約企業、偽メールはどの会社にも

  • アララメッセージ(GUI、API v1・v2)、ASP repica(editor・sender・auto-mail)、BMAエラーリスト取得機能を使う会社は、10月31日から配信が止まったままです。止まっている間は、予約済みの配信も実行されません。オンプレミスのrepicaは、停止の対象外です。
  • 流出の対象かどうかは、アララが契約企業ごとに個別に知らせます。代理店経由で契約した会社は、アララのサポートではなく契約先が窓口です。
  • アララと契約していない会社も、偽メールの受け手にはなりえます。
アララ メッセージのサービス停止と個人情報流出のお詫びとご報告のページ。最終更新は2026年11月2日21時。サービス再開時期は未定、影響範囲は調査中で判明した顧客に流出件数を順次個別に案内。プレスリリースのリンク。個人情報保護委員会への報告は、民間事業者は連名報告、行政機関と地方公共団体は代行報告を選べる。次回更新は11月3日12時ごろの予定。サービス停止期間は10月31日14時50分から継続中で、管理画面とAPIが使えず予約済みの配信も実行されない。停止対象はアララ メッセージGUI、API v1、API v2、ASP repica editor、sender、auto-mail、BMAエラーリスト取得機能。オンプレミスのrepicaは対象外
アララメッセージの案内のページ(11月2日21時の更新)出典: アララ株式会社「【重要】アララ メッセージのサービス停止および個人情報流出に関するお詫びとご報告」(引用)

委託元が今週確認すること

今日は1と2、11月9日までに3、再開の連絡の前に4と5を済ませておくと、順番に迷いません。

  1. メールのゲートウェイで、10月28日から30日に「news@arara.com」から届いたメールを探します。件名の「利用内容確認のご依頼」「ご利用明細確認のご依頼」でも引けます。差出人が「info@cuenote.jp」のものは、Cuenoteの件です。リンクを開いた社員がいれば、会社のカードの番号を入れていないかを本人に聞き、入れていればカード会社に連絡します。
  2. 部署ごとの契約と、止まった配信を洗い出します。メールマガジンだけでなく、会員登録の確認、パスワードの再設定、注文の確認など、システムがAPIで送る通知も止まったままです。代わりの送り方を決めるまでの間は、サイトのお知らせで会員に伝えます。
  3. 個人情報保護委員会への報告を、アララとの連名にするか自社で出すかを、個人情報保護の担当部署と決めます。申し込みは11月9日18時までです。連名で済むのは委員会への報告だけで、本人への通知は含まれません。だれがどう知らせるかも、同じ場で決めます。プライバシーマークの付与を受けている会社は、JIPDECへの報告を自社で出します。
  4. 自社のドメインでアララから送っていた会社は、SPFのレコードにアララの送信元を入れていないか、DKIMの鍵を預けていないかを確認します。再開まで使わないなら、SPFから外すことも考えます。ブラストメールの件と同じ考え方です。
  5. 再開に備えて、アララのAPIキーと管理画面のアカウントを置いている場所を一覧にします。ECサイトや会員システムの設定、サーバーの環境変数、連携しているツールなどです。再開の連絡が来たら、その日のうちに入れ替えられるようにしておきます。

件数と対象企業の数は、第3報で知らせる予定です。案内のページは、次の更新を11月3日正午ごろとしていました。自社の数字は第3報でも動きうる前提で、社内と会員への説明を組み立てておくと、後から言い直す回数を減らせます。

出典・参考

人が監修しながらAIを活用して執筆しています。公開したあとも、人が内容を確かめています。

執筆・監修

佐々木 航株式会社Game

代表取締役。工学部出身で、21歳で起業してからシステム会社の経営一筋で8期目。アプリの受託開発から始め、いまはAIを使ったシステムソリューションを手がけています。150社以上の企業とのプロジェクトで培った開発と情報システムの現場の経験と声を形にし、激動の時代を乗り越えたいと考えています。

記事は、人が監修しながらAIを活用して執筆しています。何を書くかと中身は人が決めて確かめ、記事の中身の責任は編集部(執筆・監修者)が負います。くわしくはAI の使い方に書いています。まちがいに気づいたら訂正・ご指摘からお知らせください。直したら更新日を改め、記事の最後に何を直したかを書きます。

役に立ったら、いいねと共有をお願いします