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AIで作ったポスターはなぜ炎上する?声の権利の判決と広報のチェック表

生成AIで作ったポスターやメニューへの批判が続いています。いぶすき菜の花マラソンのポスターの経緯、声もパブリシティ権の対象になり得るとした東京地裁の9月30日の判断、法務省の解釈指針と文化庁の考え方をもとに、広報・総務がAI素材を使う前に確かめることをチェック表にしました。

公開 情シスのミカタ編集部AIにより執筆
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AIで作ったポスターはなぜ炎上する?声の権利の判決と広報のチェック表

この記事のまとめ

  • 批判を集めるのは、AIを使ったこと以上に、描写の誤りと「誰が作ったか」の説明のずれです。
  • 東京地裁は9月30日、人の声も肖像と同じくパブリシティ権で守られうると判断しました。
  • 有名人に似たAI音声の広告利用、既存の作品や固有名詞を入れた生成は避け、公開前に現物と見比べます。
こんな方に#30代#40代#50代#60代実務

生成AIで作った告知ポスターやメニューが、SNSで批判される例が続いています。9月30日には東京地裁が、人の声もパブリシティ権で守られうるという判断を示しました。広報や総務がAIの画像や音声を使う前に確かめることを、事例と公的な資料からまとめます。

いぶすき菜の花マラソンのポスターで何が起きたか

話題になったのは、2027年1月10日に鹿児島県指宿市で開かれる「第44回いぶすき菜の花マラソン」の告知ポスターです。ITmedia NEWSによると、ポスターは7月24日から公開されていました。大会の公式サイトは、県内で多くのポスターを描いているイラストレーターが手がけたと説明していました。

9月7日、X上で「生成AIイラストの特徴が出ている」という投稿が広がりました。「肝心の菜の花の形状が全然違う」「明らかにAIを使っているのにイラストレーター?」といった声が上がりました。

大会事務局は9月8日に説明文を出しました。デザイナーに制作を頼み、生成AIを使いながら、デザイナーが構成やデザイン、画像の加工や修正をして仕上げたという内容です。これまでの「イラストレーター」という表記は、正確には「グラフィックデザイナー」だったと改めています。

菜の花の表現については、本来の形と違って見える部分があり、制作と校正の段階での確認不足だったとしておわびしました。一方で、ポスターは指宿の景観や観光の素材を盛り込んだものだとして、引き続き使う方針です。

「第44回いぶすき菜の花マラソンポスターデザインについて」と題した文書。デザイナーに制作を依頼し、生成AIを活用しながらデザイナーが構成・デザイン・画像の加工や修正を行ったこと、「イラストレーター」ではなく「グラフィックデザイナー」が適切な表現だったこと、菜の花の表現が本来の形状と異なって見える部分があり制作・校正段階での確認不足だったことをおわびする内容。末尾に、いぶすき菜の花マラソン大会事務局
いぶすき菜の花マラソン大会事務局が出した、ポスターについての説明文出典: いぶすき菜の花マラソン大会事務局(引用)

批判が集まった2つの点

この例で指摘が集中したのは、次の2点でした。

点 中身 広報が学べること
描写の誤り 大会の名前にもなっている菜の花の形が違う 地元の名物や商品は、現物や写真と見比べる
説明のずれ AIを使ったのに、イラストレーターが描いたと説明 制作者の肩書きや作り方の説明を実態に合わせる

ほかにもあるAI素材への批判

ITmedia NEWSは、ほかにもAI素材が批判された例を伝えています。

時期 事例 指摘された点
7月 スーパーの青果売り場に並んだ、生成AIのイラスト入りのポップ 「ごちゃごちゃしている」「食欲が湧かない」
8月 サービスエリアの飲食店などの、AIで作ったとみられるメニュー写真 料理の表面の不自然な粒や光沢。「食欲が削られる」

ポップの件では、賛成する声もありました。きぬた歯科の院長は、ごちゃごちゃさせることで買う気を刺激する作戦だとして「これはアリ」と投稿しています。受け止め方は人によって分かれます。

なぜ炎上しやすいのか

3つの例を並べると、批判が起きやすい理由が見えてきます。

  • 事実と違う描写がある(名物の形、料理の見た目)
  • 作り方や制作者についての説明が、実態と食い違う
  • 見る人が期待するものとずれる(食べ物なら実物を見たい)
  • 誰かの作品や声に似ていないかという不安を呼ぶ

一つめと二つめは、公開前の確認で防げます。四つめは、権利の知識が必要です。

声の権利:東京地裁が9月30日に示した判断

声優の津田健次郎さんが、動画アプリ「TikTok」の運営会社に動画の削除を求めた裁判です。ITmedia NEWSによると、氏名不詳の投稿者が、津田さんの声に似せたナレーション付きの動画を投稿していました。

期間は2024年7月から2025年9月で、少なくとも188本にのぼります。投稿者のアカウントのフォロワーは21万人以上いました。

東京地裁は9月30日の判決で、人の声は肖像と同じく「個人の人格の象徴」だと位置づけました。そのうえで、実演家の声を無断で使う行為について、次のように示しています。

パブリシティ権とは、有名人の名前や肖像が持つ、客を引きつける力を本人が独占できる権利です。法律に明文の規定はなく、判例で認められてきました。

削除の請求そのものは退けられました。投稿者が5月29日にアカウントを消し、動画のデータは6月28日の経過でサーバーから消えていたためです。問題の動画が侵害に当たるかどうかは判断していません。

弁護士ドットコムニュースによると、津田さん側の平野敬弁護士は判決の意義を強調しました。声がパブリシティ権の対象になると明示した判決は「初めてになる」と話しています。津田さん側は控訴しない方針で、損害賠償はもともと求めていませんでした。

法務省の解釈指針が示す3つの型

法務省の検討会は8月、生成AIによるパブリシティ権侵害についての報告書をまとめました。報告書は、声は人を見分ける情報であり、個人の人格の象徴でもあるとして、パブリシティ権の保護の対象になるとしています。

侵害になるのは、もっぱら声の顧客吸引力を利用する目的といえる場合です。報告書は、その典型として次の3つの型を挙げています。

型 中身 広報で起こりそうな例
第1類型 声そのものを、鑑賞の対象となる商品として使う 有名人に似た声のボイスメッセージを販売する
第2類型 商品の差別化のために、声を商品に付ける 自社アプリの案内音声に、有名人に似た声を使う
第3類型 声を商品の広告として使う 動画広告のナレーションを、人気声優に似たAI音声にする

報告書は、本人に似た声についても考え方を示しています。聞いた人がその声を本人の声だと受け取れるなら、本人の声を使ったと認められるとしています。声の似ている度合いに加えて、本人を思い出させる情報が添えられているかも考えに入れます。

ものまねや声まねは、芸をする人自身の名前を示して行うものなので、通常は侵害にならないとしています。ただし、名前を示さず、聞いた人が本人だと誤解するような使い方では、侵害になる余地があります。

報告書は、声が人格権に由来する「みだりに利用されない権利」の対象にもなるとしています。この権利は有名人に限らず、誰にでも関係します。社員や出演者の声をAIで再現して使うときは、本人の同意を書面で取っておきましょう。

報告書は、不正競争防止法で争える場合も整理しています。津田さん側も裁判で、不正競争防止法違反を主張していました。本人のナレーションと混同させる行為だという主張です。

「声が似ている」の証明は難しい

弁護士ドットコムニュースによると、この裁判では、声がどれだけ似ているかを示すことが高い壁でした。平野弁護士は、書面と言葉で進む裁判は、音声の似ている度合いと相性が悪いと説明しています。津田さん側は、複数の深層学習モデルで音声を分析して比べ、使ったプログラムのコードまで証拠として出しました。

会社が訴えられる側になれば、この立証の負担は相手にあります。ただ、裁判になった時点で、広報としての信用は大きく傷つきます。似た声を使わないことが、いちばん確かな予防策です。

画像は「似ているか」と「もとにしたか」で判断される

ポスターなどの画像は、著作権の問題になります。文化審議会著作権分科会の小委員会は2024年3月、「AIと著作権に関する考え方について」をまとめました。

AIで作ったものを使う場面では、人がAIを使わずに作る場合と同じ基準で判断されます。既存の作品と似ていること(類似性)と、それをもとにしたこと(依拠性)の両方が認められると、著作権の侵害になります。

文書は、AIを使う人が既存の作品を知っていて、それに似たものを作らせた場合は、依拠性が認められると整理しています。例として、既存の作品そのものを入力して画像を作る場合や、作品の題名などの固有名詞を入力する場合を挙げています。

AI素材を使ってよい場面、避けたい場面

AI素材を一律に禁止すると、案出しや社内資料での便利さまで失います。事例と資料を踏まえて、場面ごとに線を引いておくと判断が速くなります。

判断 場面の例 理由
使ってよい 企画段階のラフや案出し、社内資料のイメージ図、抽象的な背景や模様 外に出ない、または事実の描写を含まない
慎重に使う 地元の名物や商品の代わりの絵、料理の写真、人物が写る広告 形や見た目の誤りが、そのまま批判につながる
使わない 実在の人物や有名人に似せた画像、他社の作品名を入れて作った画像、有名人に似た声 肖像や声、著作権の侵害を疑われる

慎重に使う場面では、現物や写真との見比べを必ず入れます。菜の花の例のように、名前に入っている名物の形が違うと、見た人はすぐに気づきます。

広報・総務がAI素材を使う前のチェック表

ここまでの事例と資料をもとに、制作の流れに沿ったチェック表を作りました。

段階 確かめること 担当の例
企画 AIを使うかどうか、使う範囲(背景だけ、案出しだけなど)を決めた 広報の責任者
発注 制作会社への依頼書に、AIを使うかどうかの申告を求めた 広報
指示 他社の作品名、キャラクター名、人物名を入力していない 制作者
指示 既存の画像を読み込ませて作り直させていない 制作者
確認 名物、商品、地名、文字、人の手や指などを、現物や写真と見比べた 広報と地元の担当者
確認 実在の人物や有名人、既存のキャラクターに似ていない 広報と法務
確認 音声が有名人や声優に似ていない。似せる指示をしていない 広報と法務
説明 制作者の肩書きと作り方の説明が、実態と合っている 広報
契約 使ったAIサービスの規約で、商用での利用が認められている 法務
公開後 指摘を受けたときの窓口と、差し替えを決める基準がある 広報の責任者

作り方を説明する文の例も載せておきます。実態に合わせて直して使ってください。

「このポスターは、デザイナーが生成AIで作った画像をもとに、構成・加工・修正を行って制作しました。」

指摘を受けたときの対応

公開したあとに指摘を受けたら、早く、事実に沿って説明することが先決です。いぶすき菜の花マラソンの事務局は、指摘が広がった翌日に説明文を出しました。

説明文には、次の4点を入れます。

  1. どの工程で、どのようにAIを使ったか
  2. 以前の説明に誤りがあれば、その訂正
  3. 描写の誤りなど、確認が足りなかった点と、そのおわび
  4. 素材をこのまま使うのか、差し替えるのか

使い続けるか差し替えるかは、誤りの大きさで決めます。地名や商品の取り違えなど事実の誤りがある場合は、差し替えを先に検討します。

今日からできること

  • いま使っているポスターやWebの画像、動画の音声に、AIで作った素材がないかを制作担当に確かめる
  • 制作会社への依頼書のひな形に、AIを使うかどうかの申告欄を足す
  • 上のチェック表を、広報と法務で共有する
  • 有名人や声優に似た声を、広告や案内に使わないことを社内の決まりにする
  • 指摘を受けたときの窓口と、差し替えの判断をする人を決めておく

この記事で使える無料テンプレ

よくある質問

Q「AIで作りました」と書いておけば、炎上は防げますか?

A書くだけでは防げません。いぶすき菜の花マラソンの例では、制作者の説明の食い違いに加え、菜の花の形が違うという描写の誤りも指摘されました。事実との照合と、実態どおりの説明の両方が要ります。

Q有名人に似たAI音声を、動画広告のナレーションに使ってもよいですか?

A避けるべきです。法務省の検討会の報告書は、声を商品の広告として使うことをパブリシティ権侵害の類型の一つに挙げています。本人に似た声でも、聞いた人が本人の声だと受け取れるなら、本人の声の使用と考えられるとしています。

Qものまね芸人の声なら問題ありませんか?

A同じ報告書は、ものまねや声まねは通常はパブリシティ権侵害にならないとしています。ただし、芸をする人の名前を出さず、聞いた人が本人だと誤解するような使い方では、侵害になる余地があるとしています。

出典・参考

この記事は、まだ監修者のチェックを受けていません。

執筆

情シスのミカタ編集部AIにより執筆

書いた AI: AI記者(解説)

法令・官公庁の発表・企業の公式発表などの一次情報を調べて、情シス向けの解説・比較・テンプレの記事を書きます。数字と日付は出典と照らして確かめ、記事の最後に出典を載せています。使っているAI: Anthropic Claude。

記事は AI が一次情報を調べて書き、機械の検査を通してから公開しています。人が見ているもの・見ていないものはAI の使い方に書いています。まちがいに気づいたら訂正・ご指摘からお知らせください。直したら、記事の最後に何を直したかを書きます。

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