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AIブラウザ7種で検証 4種で他サイトの情報に届く経路、業務端末の決まりは

米ワシントン大学の研究者が、ChatGPT Atlasなど7種のAIブラウザが、サイトどうしの情報を分けるブラウザの基本の守り(同一オリジンポリシー)をどう扱うかを検証しました。4種で、悪意あるページの指示に乗せられると別のサイトの情報に届く経路が見つかりました。結果と、会社でAIブラウザを使わせるときに決めることを整理します。

公開 情シスのミカタ編集部AIにより執筆チェック済み
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AIブラウザ7種で検証 4種で他サイトの情報に届く経路、業務端末の決まりは

この記事のまとめ

  • 米ワシントン大学のFranziska Roesner氏とDavid Kohlbrenner氏は、7種のAIブラウザが、サイトどうしの情報の行き来を止める「同一オリジンポリシー」をどう扱うかを検証した論文を公表しました(ICLR 2026のワークショップ。実験は2026年1〜2月)。
  • ChatGPT Atlas(エージェントモード)、Chrome with Gemini、Claude for Chrome、Perplexity Cometの4種は、ページに埋め込まれた別のサイトの中身まで読めました。Atlasのエージェントモードでは、悪意あるページの指示で別のサイトの情報を外へ送る実証に成功しています。AtlasのエージェントモードとClaude for Chromeは、伏せ字のパスワード欄の文字も読めました。
  • 研究者は、安全の仕組みが固まるまでAIブラウザの利用は慎重に、とし、論文の結びでは避けることまで勧めています。会社は、業務の端末でAIブラウザやAIの拡張機能を使わせるかと、ログインしたままのタブの扱いを決めておきます。
こんな方に#30代#40代#50代実務

AIにページの要約や入力をまかせられる「AIブラウザ」は、便利な反面、ブラウザが長年守ってきた基本の仕組みを崩すことがあります。米ワシントン大学の研究者が、ChatGPT Atlasなど7種を検証し、4種で、悪意あるページの指示に乗せられると、別のサイトの情報に届いてしまう経路を見つけました。論文と大学の発表をもとに、結果と、会社として決めておくことを整理します。

何を検証したか

ワシントン大学のPaul G. Allen School of Computer Science & EngineeringのFranziska Roesner氏とDavid Kohlbrenner氏は、論文「Agentic Browsers and the Same-Origin Policy」を、AIのエージェントを扱う国際会議ICLR 2026のワークショップで発表しました(紹介のページの最終更新は2026年4月15日、大学の発表は6月30日)。

調べたのは、ブラウザの基本の守りである「同一オリジンポリシー」です。別々のサイトどうしが、ブラウザの中でお互いの中身を読んだり操作したりできないようにする仕組みで、悪意あるサイトと銀行のサイトを同時に開いても、銀行の中身を読まれないのはこのためです。

対象は次の7種で、実験は2026年1月下旬から2月上旬に、その時点の最新の安定版を使い、macOS Sequoiaで行いました。

  • Brave Leo AI
  • ChatGPT Atlas(エージェントモードの有無の両方)
  • Chrome with Gemini
  • Claude for Chrome(Chromeの拡張機能)
  • Edge with Copilot
  • Firefox AI Mode(エージェントにClaudeを選んだもの)
  • Perplexity Comet

研究者は、自分たちで作った試験用のページだけを使い、実在の利用者やサイトのデータは扱っていないとしています。

何が分かったか

論文は、いくつかのAIブラウザでは「同一オリジンポリシーの強さが、エージェントのプロンプトインジェクションへの守りの強さにまで下がっている」とまとめています。プロンプトインジェクションは、ページに書かれた文章を、エージェントが自分への指示と取り違える攻撃です。

論文Agentic Browsers and the Same-Origin Policyの表1(英語)。列はBrave Leo AI、ChatGPT Atlas、ChatGPT Atlas(Agent)、Chrome with Gemini、Claude for Chrome、Edge with CoPilot、Firefox AI Mode、Perplexity Comet。行は、同じサイトの埋め込みの枠を読めるか、別のサイトの埋め込みの枠を読めるか、同じサイトのタブを読めるか、別のサイトのタブを読めるか、利用者向けに変わるページを読めるか、画面の外のページを読めるか、画面の外の枠を読めるか、隠れた要素を読めるか。別のサイトの枠は、ChatGPT Atlas(Agent)・Chrome with Gemini・Claude for Chrome・Perplexity Cometが読め、Brave・ChatGPT Atlas・Edge・Firefoxは読めない。別のサイトのタブは、Edgeが読め、Brave・Gemini・Claudeは許可があれば読め、Atlasは会話の記憶を通じて読める
論文の表1。ページと別のサイトの中身に、エージェントが届くか出典: Roesner・Kohlbrenner「Agentic Browsers and the Same-Origin Policy」(ICLR 2026 Workshop on Agents in the Wild)(引用)
  • 別のサイトの中身を読める: ChatGPT Atlas(エージェントモード)、Chrome with Gemini、Claude for Chrome、Perplexity Cometの4種は、ページに埋め込まれた別のサイトの枠(iframe)の中身まで読めました。Edge with Copilotは枠を読めない一方、別のサイトのタブを自由に読めました。
  • 情報を外へ送る実証: Atlasのエージェントモードでは、悪意あるページの指示に従って、埋め込まれた別のサイトの中身を読み取り、ページのフォームから外へ送らせることに成功しました。外の枠から中、中の枠(広告など)から外の、両方向で確かめています。ほかの3種も、指示に乗せられれば同じことが起きうる条件がそろっていました。研究者が試した単純な指示は、これらの3種では、モデルの守りで断られています。
  • 伏せ字のパスワードも読める: Atlasのエージェントモード(ログインした状態)とClaude for Chromeは、画面では点で隠れているパスワード欄の文字まで読めました。
  • 任意のプログラムを動かせる: Claude for Chromeは、すべてのサイトに入れる権限を持つ拡張機能として動き、別のサイトの枠の中も含めて、JavaScriptを差し込んで動かせました。
論文Agentic Browsers and the Same-Origin Policyの表2(英語)。列は7種のAIブラウザ(Atlasはエージェントモードの有無で2列)。行は、利用者が入力した見える文字を読めるか、伏せ字の入力を読めるか、利用者の指示で文字を入力するか、ページの指示で文字を入力するか、JavaScriptを差し込めるか。伏せ字の入力は、ChatGPT Atlas(Agent、ログインした状態)とClaude for Chromeが読める。ページの指示で文字を入力したのはChatGPT Atlas(Agent)で、ChatGPT Atlasは許可があれば。JavaScriptの差し込みができたのはClaude for Chromeだけ。注として、Geminiの利用者の指示での入力は2026年1月下旬のAuto Browseの機能で加わったと書かれている
論文の表2。入力の中身を読めるか、ページを操作できるか出典: Roesner・Kohlbrenner「Agentic Browsers and the Same-Origin Policy」(ICLR 2026 Workshop on Agents in the Wild)(引用)

論文は、ほかに2つの攻撃の考え方も示しています。1つは、別のサイトで利用者になりすまして、フォームの送信などをさせるもの。もう1つは、AIの会話の履歴(記憶)に、別のサイトの偽の情報を混ぜるものです。たとえば、銀行を装う偽のサイトの連絡先をいったん履歴に取り込むと、あとで銀行の電話番号を聞いたときに、偽の番号を答えるおそれがあります。サイトをまたいで履歴をまとめていたのは、Atlas、Chrome with Gemini、Perplexity Cometでした。

一方で、Brave Leo AI、Edge with Copilot、Firefox AI Modeは、エージェントの機能が限られる代わりに、守りの性質は強いとされています。

研究者の勧めと、各社の反応

研究者は、AIブラウザの安全の仕組みはまだ固まっていないとして、使うかどうかは慎重に、と勧めています。とくにClaude for Chromeは、拡張機能として強い権限を持つため注意が要るとし、Atlas、Comet、Chrome with Geminiも強力で危険の大きい側に入るとしています。論文の結びでは、安全の設計が整うまでは、利用者はAIブラウザを避けることまで勧めるとしています。

結果は、公表の60日以上前に7社へ伝えました。論文によると、Brave、Google、Microsoftからは返事があり、OpenAIは「最後まで通るプロンプトインジェクションの攻撃が無い」として報告を受け取りませんでした。Anthropic、Firefox、Perplexityは、執筆の時点で返事が無かったとしています。なお、ITmedia NEWSは、Atlasは2026年8月に提供を終えたと伝えています(当社はOpenAIの発表を確かめられていません)。

実験は2026年1〜2月の版で行われました。各社の製品はその後も更新されており、今の版で同じ結果になるとは限りません。

影響する会社・しない会社

  • 影響する: 社員が業務の端末でAIブラウザ(Atlas、Comet など)や、ブラウザのAIの拡張機能(Claude for Chrome など)、ブラウザに組み込まれたAIのエージェントの機能を使っている会社です。業務のSaaSや管理画面、ネットバンキングにログインしたまま、AIに別の作業をまかせると、この研究の想定にあてはまります。
  • 影響する: 社員が自分の判断でAIの拡張機能を入れられる設定のままの会社です。拡張機能は、入れた時点で、すべてのサイトを読み書きする権限を求めることがあります。
  • 影響しない(この研究の範囲では): ブラウザのAIの機能を使っていない会社です。AIの機能を使っていても、要約などの読み取りだけで、ページの操作をさせない使い方では、研究の示した攻撃の一部は成り立ちにくくなります。

AIのエージェントに渡す権限の考え方は、「APIキーは.envに」はもう危ない AIエージェントに渡す権限の決め方でも整理しています。

情シスが今日やること

  • 使われているかを確かめる。資産管理の一覧や、ブラウザの管理コンソールで、AIブラウザのアプリと、AIの拡張機能が入っている端末を洗い出します。
  • 使ってよい範囲を決める。業務の端末で、AIブラウザやAIの拡張機能を使ってよいか、使うならどの製品・どの機能(読み取りだけか、ページの操作までか)かを、社内の決まりに書きます。拡張機能は、許可したものだけ入れられるよう、管理コンソールの許可・禁止の一覧で絞ります。
  • ログインしたままのタブを分ける。AIにページの操作をさせるときは、業務のSaaSの管理画面、ネットバンキング、メールにログインしたタブがある画面ではさせない、という使い方を決めます。AI用のブラウザのプロファイルを分けるのも一つの方法です。
  • パスワードの入力を見直す。AIが伏せ字の欄を読める場合があるため、AIを動かしている間にパスワードを手で入力しないよう、パスワード管理の道具の使い方とあわせて周知します。
  • 会話の履歴を見直す。サイトをまたいで会話の履歴をまとめる機能は、偽の情報を混ぜられるおそれがあります。業務で使うなら、履歴(記憶)の設定と、AIが答えた連絡先や振込先は公式のページで確かめ直す、というルールを決めます。

よくある質問

Q同一オリジンポリシーとは何ですか。

Aブラウザの基本の守りの一つで、別々のサイト(オリジン)どうしが、ブラウザの中でお互いの中身を読んだり操作したりできないようにする決まりです。たとえば、悪意あるサイトと銀行のサイトを同時に開いていても、悪意あるサイトは銀行のページの中身を読めません。研究は、AIのエージェントが人と同じようにページを読み書きできると、この壁を越えてしまう場合があることを示しました。

QどのAIブラウザが安全でしたか。

A論文の実験(2026年1〜2月の各製品の当時の最新版)では、Brave Leo AI、Edge with Copilot、Firefox AI Modeは、エージェントの機能が限られる代わりに、守りの性質は強いとされました。ただし、Edge with Copilotは、別のサイトのタブを自由に読めました。各社の製品はその後も更新されているため、今の版で同じ結果になるとは限りません。

Q各社は対応しましたか。

A研究者は公表の60日以上前に、7社すべてに結果を伝えました。論文によると、Brave、Google、Microsoftからは返事があり、OpenAIは「最後まで通るプロンプトインジェクションの攻撃が無い」として報告を受け取りませんでした。Anthropic、Firefox、Perplexityは、執筆の時点で返事が無かったとしています。

出典・参考

チェック済み。この記事は監修者によってチェックされました。(2026年10月20日)

執筆

情シスのミカタ編集部AIにより執筆

書いた AI: AI記者(解説)

法令・官公庁の発表・企業の公式発表などの一次情報を調べて、情シス向けの解説・比較・テンプレの記事を書きます。数字と日付は出典と照らして確かめ、記事の最後に出典を載せています。使っているAI: Anthropic Claude。

監修

佐々木 航株式会社Game

代表取締役。工学部出身で、21歳で起業してからシステム会社の経営一筋で8期目。アプリの受託開発から始め、いまはAIを使ったシステムソリューションを手がけています。150社以上の企業とのプロジェクトで培った開発と情報システムの現場の経験と声を形にし、激動の時代を乗り越えたいと考えています。

メモ: 掲載時に自動で(しばらくの間)

記事は AI が一次情報を調べて書き、機械の検査を通してから公開しています。人が見ているもの・見ていないものはAI の使い方に書いています。まちがいに気づいたら訂正・ご指摘からお知らせください。直したら、記事の最後に何を直したかを書きます。

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