Microsoft 365ロードマップに、Microsoft Teamsの会議で、外部の事業者が出した「偽の音声・動画」の検知結果を見られるようにする機能が載りました。ロードマップに追加されたのは2026年10月2日で、展開開始は2026年11月の予定です(状態は開発中)。
この記事は、ロードマップに書かれている範囲だけを確かめ、書かれていないことは「書かれていません」と分けて書きます。そのうえで、なりすましの会議による詐欺への備えを、情シスの手順にします。
ロードマップに書かれていること
確かめたのは、Microsoft 365ロードマップのID 573451のページです(2026年10月9日に確認。最終更新は2026年10月7日)。
| 項目 |
書かれている内容 |
| 機能の名前 |
Microsoft Teams: Third-party synthetic audio and video detection in Microsoft Teams |
| 状態 |
開発中(In development) |
| 展開開始 |
2026年11月(November 2026) |
| リリースの段階 |
一般提供(General Availability)、対象指定リリース(Targeted Release) |
| 対象のクラウド |
Worldwide(Standard Multi-Tenant) |
| 対象の環境 |
Desktop、Mac、Web |
| ロードマップに追加 |
2026年10月2日 |
Microsoft 365ロードマップのID 573451。状態は開発中、展開開始は2026年11月出典: Microsoft「Microsoft 365 ロードマップ」(引用)
機能の説明は、次のとおりです(英語の原文を、この記事の筆者が日本語にしました)。
- 認定された外部の事業者が出す、合成された音声・動画の検知の仕組みを使って、会議の安全性を高められる
- 外部の検知の仕組みが、会議の音声や動画に「合成された・加工されたしるし」がないかを調べ、検知の信号をTeamsに送る
- Teamsは、その信号を受けて、会議の中での表示や操作を用意する
- 重要な点として、合成メディアの検知は外部の事業者が行い、Teamsは土台となる連携と、信号を表示して対応する画面を用意する
つまり、Microsoftが自分で偽物を見破る機能ではありません。Teamsが対応する外部の検知サービスを選んで入れ、その結果をTeamsの画面に出す形です。
書かれていないこと
次のことは、確認したロードマップのページに書かれていません。「たぶんこうだろう」で社内に説明しないでください。
- 必要なライセンス(Microsoft 365のどのプランか、追加の契約があるか)
- 管理者が設定する場所(Teams管理センターか、アプリの許可か、会議のポリシーか)
- 対応する外部の事業者の名前、検知の精度、費用
- 会議の相手が検知の対象になることを、参加者にどう知らせるか
- 日本だけに向けた提供の時期や条件(日本での提供は発表に書かれていません)
- Android・iOSでの提供(対象の環境はDesktop、Mac、Webとだけあります)
ロードマップのページには、「機能や製品の一般提供が始まったとき、またはキャンセルや延期されたときは、情報が削除される」「すべての情報は変更されることがある」との注意書きもあります。展開開始の月は、まだ約束された日付ではありません。
影響する会社・しない会社
- 影響する: Teamsで社外の人と会議をする会社。取引先との会議で、送金・口座変更・権限の付与を決めることがある会社
- 影響する: Teamsで採用面接をする会社。面接の相手が本人かを、画面だけで判断している会社
- 影響する: 経営者や役員が会議に出る機会が多く、顔や声が公開されている会社(まねされやすい条件です)
- 影響しない: Teamsを使っておらず、会議はほかのサービスだけの会社(この機能はTeamsの中だけの話です)
- 影響しない: 社外とは会議をせず、社内の顔なじみとだけ話す会社(ただし、なりすましへの備えは別の理由で要ります)
なぜ「検知」だけでは足りないのか
AIで顔や声をまねる手口は、すでに現実の被害になっています。国内の手口の流れはニセ社長詐欺の記事にまとめています。
検知の仕組みには限界があります。ロードマップは、検知の精度や、見逃しの割合を書いていません。検知が「問題なし」と出しても、本人とは限りません。検知が「怪しい」と出しても、通信の乱れで誤って出ただけかもしれません。
だから、機能が来る前に、画面の外で確かめる決まりを作っておくことが、いちばん効きます。機能が来たあとも、その決まりは残ります。検知は、決まりを守る合図のひとつになります。
情シスが今日やること
- Teamsで、会議の中で決めてよいことを書き出す。 送金、口座や振込先の変更、アカウントの発行、パスワードのリセット、権限の付与を、会議の口頭の指示だけで進めていないかを確かめます。進めているものがあれば、紙かチケットの申請を必ず通す決まりにします。
- 「別の経路で確かめる」手順を1枚にする。 会議の相手が上司や取引先でも、お金と権限に関わる依頼は、前から知っている番号に自分からかけ直す(会議のチャットや、会議で教えられた番号は使わない)と決めます。合言葉を事前に決めておく方法もあります。
- 経理・総務・ヘルプデスクに知らせる。 「顔と声がそっくりでも、依頼の中身が急ぎで、お金や権限に関わるなら、手順を飛ばさない」と、短い文面で全員に伝えます。
- Teams管理センターの、いまの会議の設定を見直す。 外部の参加者が待機室を通るか、匿名の参加を許しているか、録画を誰が開始できるかを確かめます。いまある設定は、新機能が来る前から詐欺への備えになります。
- ロードマップをブックマークし、11月に再確認する。 ID 573451のページと、Microsoft 365管理センターのメッセージセンターを、11月の初めに見ます。ライセンス、管理者の設定、対応する事業者が書かれたら、そのときに社内の方針を決めます。
採用面接でのなりすましも対象になる
ロードマップの説明の文面は、検知の目的として会議の安全性を挙げていて、採用面接のことは書いていません。ただ、画面だけで本人確認をする場面は、面接でも同じです。
面接では、本人確認の書類を入社の手続きで改めて確かめる、オンライン面接のあとに対面か別の連絡手段で確認する、という運用が考えられます。これは編集部の考えで、Microsoftの発表に書かれたことではありません。
まとめて覚えること
- Teamsは、認定された外部事業者の「偽の音声・動画」の検知結果を会議で見せる機能を、2026年11月に展開する予定です(開発中。ロードマップ ID 573451)
- 検知は外部の事業者が行い、Teamsは連携と表示の土台です
- ライセンス、管理者の設定、対応する事業者、日本での提供は、確認した範囲に書かれていません
- 検知が入っても、お金と権限は別の経路で確かめる決まりが必要です
2026年10月9日時点の情報です。ロードマップの情報は変わることがあるため、導入を決める前に、最新のページを確かめてください。