ソフトバンクは2026年10月19日、開発中のデータエコシステム基盤「GaranAI」の仕組みを紹介しました。コンテンツの権利者とAI事業者を仲介し、許諾済みデータを契約上の利用範囲で提供する基盤を目指しています。ベータ版は2026年7月から提供されており、データの需要やAIで使った際の出力品質などを検証しています。
RAGとモデル学習向けに、許諾済みデータを提供
GaranAIは、コンテンツホルダーと呼ぶ権利者から預かったデータを加工し、APIやデータセットで提供する仕組みです。APIはシステム同士をつなぐ窓口、データセットは利用しやすい形にまとめたデータを指します。ソフトバンクによると、AI事業者は同社との契約で、複数の権利者のデータを利用できます。
用途には、外部の情報を検索・参照してAIの回答に生かすRAGと、モデルの学習があります。権利者はデータの利用方法を指定でき、随時、利用停止や削除も行えるとしています。データ利用の対価を権利者にも還元する仕組みを目指します。
共同通信社がコンテンツを提供しているほか、出版社やウェブサービスなどからもデータ提供を受けています。ただし、開発中の基盤であり、ベータ版での検証と正式な提供条件は分けて捉える必要があります。料金や正式提供の時期、申し込み条件は、今回の発表には書かれていません。
加工後も出所情報を付与、画面での表示は推奨
ソフトバンクによると、元データは意味や事実関係を保ちながら表現を変え、さらにAI開発向けの加工を施します。加工データごとに、発信組織や媒体名、公開日時などの情報を付けます。
一方、こうした参照情報を利用者向けに表示することは、一律には義務付けません。AI事業者に対しては、回答画面などで出所を示すことを強く推奨しています。
情シスが導入を検討する際は、「データに出所情報が付いていること」と「自社の回答画面で出所が表示されること」を分けて確認する必要があります。また、RAGとモデル学習の両方が用途に挙がっていても、個々のデータをどこまで使えるかは契約範囲との照合が必要です。
影響する会社・しない会社
- 影響する: 外部コンテンツをRAGやモデル学習に使うAI事業者です。複数の権利者のデータを利用する際の契約先として、GaranAIを検討する余地があります。
- 影響する: AI向けにデータを提供したいコンテンツホルダーです。利用方法の指定、停止・削除、対価還元の仕組みが検討事項になります。
- 影響しない: 既存システムの変更や移行が不要となる会社の条件は、発表には書かれていません。業種・企業規模による対象外の条件も示されていないため、自社が対象かどうかは確認が必要です。
情シスが今日やること
- AIの利用目的を棚卸しします。 自社のAI案件一覧や設計書を開き、外部コンテンツを使う案件をRAGとモデル学習に分けます。データ調達の検討前に、開発担当へ必要な内容と用途を確認してください。
- 契約確認用の質問をまとめます。 調達・法務担当と、利用したいデータ、用途、契約上の利用範囲を整理します。ソフトバンクへの問い合わせでは、料金、利用開始条件、正式提供の時期も確認事項に加えます。
- 出所表示の設計を確認します。 AIの開発担当と、回答画面の設計書や試作画面で参照情報をどう表示するかを確認します。表示は一律の義務ではなく強い推奨である点も伝え、導入判断までに自社の方針を決めます。
- 停止・削除時の扱いを確認します。 権利者が利用を停止した場合に、利用側でどのデータや処理への対応が必要になるかを、契約前に提供元へ質問します。利用停止や削除の管理画面、操作手順、モデル学習後の扱いは発表には書かれていないため、想定で運用を決めないことが重要です。