JVN iPediaは2026年10月19日、文書解析や生成AIとの統合に使うソフトウェア「Docling」の脆弱性情報を掲載しました。対象は2.107.0以上2.120.3未満で、修正版は2.120.3です。OpenDocumentの処理を通じ、ローカルの画像ファイルが変換出力に埋め込まれる恐れがあるため、文書変換環境の利用版を確認してください。
文書内の画像参照からローカルファイルを読み込む
脆弱性の識別子はCVE-2026-105751です。種類はパストラバーサルで、本来の処理範囲を外れた場所のファイルを参照してしまう問題です。
JVNによると、OpenDocumentの処理で、アーカイブ内に画像の参照先が見つからない場合、その参照をファイルパスとして扱います。この読み込みには、スキームの確認や、参照先を抽出ディレクトリ内に制限する仕組みがありませんでした。そのため、攻撃者が指定したパスを読み込むことがあります。
読み込まれたローカルファイルのうち、画像処理ライブラリのPillowで画像として読めるものが、変換出力に埋め込まれます。今回の説明は「任意のファイルを何でも出力できる」というものではありません。画像として読めるファイルが対象になる点を押さえる必要があります。
深刻度は「重要」、機密性への影響を評価
脆弱性情報データベースのNVDによるCVSS v3基本値は7.5で、深刻度は「重要」です。CVSSは、脆弱性の深刻さを評価する指標です。
NVDの評価では、ネットワーク経由で攻撃でき、攻撃条件の複雑さは低いとされています。特権や利用者の関与も不要です。また、機密性への影響は高い一方、完全性と可用性への影響はないと評価されています。
情シスが確認したいのは、処理が止まるかどうかだけではありません。変換処理が参照できる場所にどのような画像があり、変換結果を誰が受け取れるかも、確認項目に入れてください。これはJVNの説明する読み込みと出力の仕組みを踏まえた、運用上の確認です。
影響する会社・しない会社
- 影響する: Docling 2.107.0以上2.120.3未満を利用する会社です。文書解析や生成AIとの連携を担当する開発・運用部門に、実行環境の版を確認してください。
- 影響する: 対象版でOpenDocumentを処理している会社は、今回説明された読み込み処理に該当します。文書の受付から変換結果の共有までを確認する必要があります。
- 影響しない: Doclingを利用していない会社は、今回のDoclingの脆弱性への対応対象ではありません。ただし、利用の有無が分からない社内システムは、担当者への確認が必要です。
- 影響しない: 利用版が今回の対象範囲外である環境は、この告知の影響対象には含まれません。2.120.3は修正版として案内されています。
情シスが今日やること
- 今日、実行環境の版を確認します。 文書解析や生成AI連携のシステム担当者にDoclingの利用有無を照会し、依存パッケージ一覧や実行環境のインストール情報で版を確認してください。開発用の記録だけでなく、実際に変換を動かす環境を確認します。
- 対象版が見つかったら、処理経路を記録します。 開発・運用担当者と、OpenDocumentを受け付ける箇所、変換処理が参照できるファイルの範囲、出力の保存先と共有先を確認してください。具体的な管理画面名は、発表には書かれていません。
- 次のOpenDocument処理を行う前に、更新方針を決めます。 システムの責任者へ対象版と処理経路を伝え、修正版2.120.3への更新日と担当者を決めてください。すぐに更新できない場合は、更新まで対象処理を継続するかも責任者と判断します。
- 更新後、版と変換結果を確認します。 実行環境が修正版になったことを確認し、通常の文書変換が行えるかを確かめて、対応記録を残してください。JVNはベンダ情報を参照し、適切な対策を実施するよう案内しています。