Microsoftは2026年10月13日、Azure Content Understandingで提供する文書AIの既製分析器を紹介しました。請求書や契約書などから項目を取り出し、対応する項目では値だけでなく、信頼度と原文の根拠も返せます。情シスが検討する際は、抽出精度に加えて、業務担当者が結果を確認できるかを確かめたい内容です。
請求書の項目と、抽出した根拠を取得
既製分析器は、用途に合わせて用意された文書の分析機能です。Microsoftによると、項目やデータ形式を定義する「スキーマ」と、文書種別ごとの学習知識を組み合わせています。対象には請求書、米国税務書類、本人確認書類、契約書などがあります。
対応する項目では、扱いやすい形に整理した値と、その値の信頼度、原文の根拠を返します。根拠として取得できるのは、原文の範囲、ページ、座標です。対応する日付と数値は標準形式にそろえます。
請求書向けの「prebuilt-invoice」は、発注番号や明細金額を抽出できます。数値の形式は、検出した地域・言語の設定に基づいてそろえるとしています。実務での検証では、値が合っているかだけでなく、根拠の位置から元の記載を確認できるかも確認項目にするとよいでしょう。
調達、米国税務、米国住宅ローン受付向けには、複数の文書種別を扱う既製分析器もあります。複合型の分析器は文書を分類し、専用の抽出器へ振り分けます。既製分析器で対応できない用途には、カスタム分析器を作成する選択肢があります。
試験版の比較結果は、米国税務書類が対象
Microsoftは米国税務書類19カテゴリについて、Azure Document Intelligenceと、Azure Content Understandingの1.0 GA、2.0 Previewを比較しました。GAは正式提供版、Previewは試験提供版を指します。2.0 Previewには、対応する既製分析器向けの手法「Advanced Contextualization」を用いています。
同社の比較では、抽出品質の指標であるF1の19カテゴリ等重み平均は、2.0 Previewで99.32%でした。1.0 GAより1.91ポイント高い結果です。平均推定コストは1,000ページ当たり$8で、1.0 GA比で51%減、平均遅延も51%減としています。
ただし、これはMicrosoftによる米国税務書類の比較です。自社の請求書や契約書でも同じ数値になると判断する材料にはできません。また、費用は試算であり、実際には利用量、モデル使用量、適用料金に左右されます。
日本での提供は発表には書かれていません。日本での提供時期、日本語対応、日本向け料金、利用できるリージョンも、この資料では確認できません。国内業務への導入判断では、これらを別途確認する必要があります。
影響する会社・しない会社
- 影響する: Azure Content Understandingを利用中、または導入検討中で、請求書、本人確認書類、契約書などの項目抽出を扱う会社です。既製分析器で業務要件を満たせるかが検証対象になります。
- 影響する: 調達、米国税務、米国住宅ローン受付の文書処理を検討する会社です。複数文書の分類と抽出の振り分けも確認対象になります。
- 影響しない: 同サービスを使わず、導入も検討していない会社には、今回の紹介を理由に設定を変更する必要はありません。
- 影響しない: 会社規模や契約プランによる対象外条件は、発表には書かれていません。対象文書の例に含まれない業務でも、対応不可とは断定できません。
情シスが今日やること
- 今日、経理・調達などの業務担当者に、抽出したい文書種別と項目を確認します。請求書なら発注番号、明細金額などを挙げ、どの項目の誤りを人が確認すべきかも整理します。
- 試用前に、Azure Content UnderstandingのStudioで、Foundryリソースの接続と必要なモデルの配置設定を確認します。発表には詳しい画面経路がないため、具体的な操作場所は公式の手順で確認してください。
- 利用方法を決める段階で、Studioの画面か、システムから呼び出すREST APIかを選びます。プレビュー限定の分析器を使う場合は、開発担当者にプレビュー版APIが必要なことを伝えます。
- 本番利用を判断する前に、実文書で抽出値、日付・数値の形式、信頼度、原文の根拠を照合します。Microsoftも実文書での品質検証と、業務リスクに応じた人手確認の基準設定を推奨しています。
- 予算承認前に、提供地域、日本語対応、適用料金を確認します。経理や承認者には、1,000ページ当たり$8は比較用の試算であり、自社の請求額ではないことを知らせます。