JVN iPediaは2026年10月19日、大規模言語モデルの推論・配信を担うエンジン「vLLM」の脆弱性2件を掲載しました。いずれもサーバーの処理能力やメモリを使い尽くす恐れがあり、vLLM 0.30.0で修正済みです。運用担当者は、利用版とともに、HTTPの監視処理と動画処理の構成を確認する必要があります。
HTTPの監視データが増え続ける問題
CVE-2026-105759の対象は、vLLM 0.30.0未満です。深刻度を示すCVSS v3基本値は、NVD値で7.5(重要)とされています。
問題があるのは、Rustフロントエンドの「track_http_metrics」というHTTP処理に組み込まれた機能です。HTTPメソッドの生のトークン、つまり受け取った文字列を、そのまま監視ツールPrometheusのラベルに記録していました。
JVN iPediaによると、認証不要のルートに異なるトークンを送ると、ラベルが増え続けます。その結果、メモリ使用量が増え、監視用の「/metrics」の応答も大きくなります。サービスや監視経路のリソースが枯渇し、ソフトウェアが完全に停止する恐れがあります。
このため、確認すべきなのはAIの応答状況だけではありません。今回の問題は監視用の応答にも関わるため、運用確認ではメモリ使用量と「/metrics」の応答状況を分けて見ることが重要です。
動画処理では小さな入力でも過剰消費の恐れ
CVE-2026-105760の対象は、vLLM 0.23.0以上0.30.0未満です。CVSS v3基本値は5.3(警告)です。
問題箇所は、動画処理に用いるGLMGAバックエンドです。リクエストごとの「media_io_kwargs」でGLMGAを選ぶ仕組みに起因し、「fps」と「max_frames」の指定値に厳格な上限がありませんでした。
JVN iPediaによると、小さなリクエストと動画でもCPUやメモリを過剰に消費させられます。ネットワーク経由で攻撃でき、特権や利用者の関与は不要と評価されています。ソフトウェアの一部が停止する恐れがあります。
こちらは、入力の大きさだけでは判断できない問題です。運用担当者は、動画を扱う処理の有無に加え、リクエスト単位でGLMGAを選べる構成かどうかを開発担当者に確認してください。
影響する会社・しない会社
- 影響する: vLLM 0.30.0未満を運用する会社は、CVE-2026-105759の対象です。問題箇所であるRustフロントエンドの利用状況を確認してください。
- 影響する: vLLM 0.23.0以上0.30.0未満を運用する会社は、CVE-2026-105760の対象です。特に、動画処理とGLMGAの選択方法を確認する必要があります。
- 影響しない: vLLM 0.30.0では、今回の2件は修正済みです。ただし、この2件以外の問題まで解消されているという意味ではありません。
- 影響しない: vLLM 0.23.0未満は、CVE-2026-105760の公表された対象範囲には含まれません。ただし、CVE-2026-105759は0.30.0未満が対象のため、2件をまとめて対象外とは判断できません。
情シスが今日やること
以下は、今回の対象範囲に基づく確認手順です。発表には、更新期限や個別環境の管理画面の操作方法は書かれていません。
- 今日中に、利用版と管理者を確認します。 AI基盤の構成台帳やデプロイ設定を管理する画面・ファイルで、vLLMの使用有無とバージョンを調べます。外部に運用を委託している場合は、委託先に版と更新担当者の回答を求めます。
- 開発・運用担当者に、2つの処理を確認してもらいます。 Rustフロントエンドと認証不要のルート、動画処理のGLMGAと「media_io_kwargs」の利用状況を、設定や実装で確認します。未確認の項目は、対象外ではなく「確認中」として記録します。
- 対象版なら、更新日程を決めます。 両方の識別番号と、0.30.0で修正済みであることを変更管理の担当者に伝えます。検証と本番更新の担当者・実施日を決め、AIを利用する業務の担当者にも予定を共有します。
- 更新前後の状態を記録します。 現行の監視画面でCPU・メモリを確認し、「/metrics」の応答状況とAIの応答も記録します。更新後は稼働中の版を再確認し、業務側と利用確認を行ってから対応を完了します。