多くの会社のWebサイトやWebアプリが、裏側で「Next.js」や「React」という部品を使っています。このうち、Reactの「サーバーコンポーネント」という仕組みに、リモートからサイトを止められる脆弱性が見つかっています。情報を盗まれるのではなく、サイトが落ちる「サービス停止(DoS)」の脆弱性です。実証コード(PoC)も公開され、未更新のサイトは狙われやすくなっています。
何が見つかったのか
Reactの開発チームは、React Server Components(サーバーコンポーネント)の部品に、サービス妨害(DoS)の脆弱性があると公式のアドバイザリで公表しました。脆弱性の番号はCVE-2026-23870、深刻度はCVSS 7.5(High)です。
React公式の脆弱性情報。DoS・CVSS7.5、修正版は19.0.6/19.1.7/19.2.6出典: React(GitHub)(引用)
公式の説明によると、サーバーの処理を呼び出す仕組み(server function、Next.jsなどではサーバーアクションと呼ばれるもの)のエンドポイントに、細工したHTTPリクエストを送られると、サーバーがクラッシュしたり、メモリ不足や高いCPU使用に陥ったりします。CVSSの内訳では、攻撃はネットワーク越し・認証不要で、影響は「可用性(サービスの継続)」に対するものです。情報の漏えいや書き換え、乗っ取りではありません。
| 項目 |
内容 |
| 脆弱性 |
CVE-2026-23870(サービス妨害・DoS) |
| 深刻度 |
CVSS 7.5(High)。影響は可用性のみ(情報漏えい・乗っ取りではない) |
| 影響する部品 |
react-server-dom-webpack / parcel / turbopack の 19.0.0〜19.0.5・19.1.0〜19.1.6・19.2.0〜19.2.5 |
| 修正版 |
19.0.6 / 19.1.7 / 19.2.6 |
| 悪用 |
CISA KEV未掲載。ただしBSIは2026年10月、実証コード(PoC)が公開されたとして参照先に追加 |
これらのReactの部品は、Next.jsなどのフレームワークが内部で使っています。そのため、ドイツのBSIは今回の注意情報を「Vercel Next.js」の脆弱性として扱っています。
なぜ今、注意なのか
修正版自体は2026年5月に公開されています。新しいのは、2026年10月にこの脆弱性の実証コード(PoC)が公開されたことです。攻撃の手順が出回ると、技術力の高くない攻撃者でも悪用しやすくなります。認証なしに、公開中のサイトを止められるため、未更新のサイトは早めの対応が要ります。
影響する会社・しない会社
- 影響する: 自社や委託先が、Next.js(App Router)や、React Server Componentsを使うWebサイト・Webアプリを運用している会社。サーバーアクション(server functions)を使っている場合は、とくに確認します。
- 影響する(確認が要る): 制作会社に作ってもらったコーポレートサイトやWebサービス。使っている技術が分からない場合は、制作・保守の会社に確認します。
- 影響しない: サーバーを持たない静的なサイトや、React Server Componentsを使わない構成(公式が「対象外」としています)。
- 影響しない: Next.jsやReactを使っていないサイト。
情シスが今日やること
- 自社や委託先のWebサイト・WebアプリでNext.jsやReactを使っているかを確認します。分からない場合は、制作・保守の会社に聞きます。
- 使っている場合は、Reactのサーバーコンポーネントの部品(react-server-dom-webpack / parcel / turbopack)を、19.0.6 / 19.1.7 / 19.2.6 以降に更新します。Next.jsなどのフレームワークは、修正版のReactを含むバージョンに更新します。
- 公開中で重要なサイト(申し込み・問い合わせ・ECなど)から、優先して更新します。
- すぐに更新できない場合は、前面のWAFやCDNで、異常なリクエストのレート制限ができないかを検討します。ただし、根本の対策は更新です。
- 委託先には、対応の予定と完了の報告を求めます。
書かれていないこと
- 実証コード(PoC)の具体的な内容(この記事では扱いません)
- Next.jsなど各フレームワークで、どのバージョンから修正版のReactを含むか(フレームワークごとに異なるため、提供元の情報で確認します)
- 今回の注意情報に含まれるほかのCVE(今回はPoCが公開されたCVE-2026-23870を中心に取り上げました)
2026年10月13日時点の内容です。