商船三井クルーズ株式会社(ブランド名 MITSUI OCEAN CRUISES)は2026年9月10日、クルーズ船のデータ移行に使った外部記憶媒体の一部を紛失したと公表しました。保存されていた「営業情報」には、顧客と乗組員の個人情報が含まれる可能性があります。旅券番号や医療・アレルギーの情報、乗組員の銀行口座なども対象の候補に挙げられています。何が起きたのか、対象となる可能性がある情報、会社の対応と、記憶媒体でデータ移行を行う会社が確認することを、公式のお知らせから整理します。
何が起きたか
会社の発表によると、運航を終えたクルーズ船「にっぽん丸」の船内PCに保存されていた情報を、就航準備中の「MITSUI OCEAN SAKURA」の船内PCへ移すために、外部記憶媒体に保存していました。このデータ移行に使った外部記憶媒体の一部の所在が、確認できなくなったものです。
保存されていたのは「クルーズ船に関する営業情報」で、このなかに顧客と乗組員の個人情報が含まれる可能性があります。媒体の種類(USBメモリなど)や、媒体が暗号化されていたかどうかは、公式のお知らせには書かれていません。
時系列
- 2026年7月: IT担当者が、保管場所である「MITSUI OCEAN SAKURA」船内の乗組員関係者専用室で保管状況を確認したところ、使用した媒体の一部が所在不明であることが判明。その後、船内調査を行ったが発見に至っていない
- 2026年9月10日: 「外部記憶媒体の紛失に関するお詫びとお知らせ」を公表
対象となる可能性がある情報
公式のお知らせが挙げている、対象となる可能性がある個人情報の項目は、次のとおりです。
| 区分 |
項目 |
| 顧客・乗組員に共通しうるもの |
氏名、生年月日、性別、住所、電話番号、メールアドレス、旅券番号、医療・アレルギー情報 など |
| 乗組員のみ |
銀行口座、乗組員考課情報、予防接種履歴、給与関係情報 |
お知らせの項目は「等」で終わっており、この一覧がすべてかは示されていません。対象の人数や件数は、公式のお知らせには書かれていません。会社は現在、本社サーバー上の全バックアップデータ(約20万ファイル)を対象に、紛失した媒体に何が含まれていたかの特定を進めています。この約20万は調査の範囲で、紛失した件数ではありません。
商船三井クルーズの記憶媒体紛失の概要と、物理媒体を扱う情シスの教訓(編集部作成)作成: 編集部 / もとの資料: 情シスのミカタ編集部
会社の対応
会社は、個人情報保護委員会への報告と、所轄警察署への届出を実施したとしています。媒体の所在確認を続けるとともに、外部業者を起用して、紛失したデータの特定を進めるとしています。新たに公表すべき事実が判明した場合は、速やかに知らせるとしています。再発防止に取り組むとしていますが、具体的な措置の記載はありません。現時点で、情報の流出や不正利用の事実は確認されていないとしています。
お客様への案内と窓口
会社は、問い合わせの窓口を設けています。
- 特設窓口: 0120-438-038(携帯電話からも可)。受付時間は10時30分〜17時(月〜金、土日祝を除く)
- 特設窓口の問い合わせフォーム: 公式サイトに掲載
旅券番号や連絡先などが対象の候補に含まれるため、商船三井クルーズをかたる不審なメール・電話・郵便には注意し、連絡は公式サイトから確かめてください(公式の案内ではなく、一般的な注意です)。
影響する人・会社、しない人・会社
- 影響する可能性がある人: 「にっぽん丸」や関連する販売で、商船三井クルーズに個人情報を登録していた顧客、および同社の乗組員です。ただし、誰が対象かの特定は調査中です。
- 教訓として関係する会社: 外部記憶媒体(USBメモリなど)を使って、データの移行や持ち出し、バックアップを行っている会社です。今回のように、物理的な媒体は紛失のリスクがあります。
- 直接は関係しない: 商船三井クルーズと取引がなく、外部記憶媒体での持ち出し・移行も行っていない会社です。
会社・情シスが今日やること
今回は、外部記憶媒体でのデータ移行で起きた紛失です。同じように物理媒体を扱う会社は、この機会に次を確認してください。
- 媒体を暗号化する: 持ち出す記憶媒体は暗号化(媒体の暗号化・パスワード保護)しておきます。暗号化してあれば、紛失しても中身を読み取られるリスクを下げられます
- 媒体を管理する: どの媒体に何を保存し、どこに保管し、誰が持っているかを、台帳で管理します。保管場所と持ち出しのルールを決めます
- 移行後は速やかに消去・廃棄する: データ移行が終わったら、不要になった媒体のデータを消去し、廃棄します。「移行用」の媒体を長く残さないようにします
- 物理媒体を使わない方法も検討する: 可能なら、暗号化された経路でのネットワーク転送など、物理媒体を持ち運ばない移行方法を検討します
- 漏えい時の手順を用意する: 紛失・漏えいが分かったときの、公表・個人情報保護委員会への報告・警察への届出・問い合わせ窓口の設置までの手順を、社内の規程として用意します
物理的な記憶媒体は、少量でも大量の個人情報を運べるぶん、紛失や置き忘れが大きな事故につながります。暗号化と、媒体そのものの管理を、データ移行の手順にあらかじめ組み込んでおくことが備えになります。