Googleは2026年10月5日、企業のインフラやアプリの刷新をAIで支援する製品群「Google Cloud Modernize」を発表しました。VMware環境の移行費用を試算する機能や、アプリのコード解析を行う機能をまとめ、移行前の評価と刷新案の検討を支援します。
VMwareの費用試算とアプリ解析をまとめる
Google Cloud Modernizeは、Migration Center、Google Cloud VMware Engine、Google Cloud Mainframe Modernizationを統合した製品群です。新機能のModernization Hubも、Google Cloudのコンソール内で提供を開始しました。
Modernization Hubの対象は、Java、.NET、メインフレームのアプリです。Googleによると、ソースコードを解析し、アプリやシステム同士の依存関係を把握できます。統合されたGoogle Cloud App Modernization CLIは、コマンドで操作するツールです。Geminiでコードを解析し、刷新案を生成します。.NET Frameworkから、Linuxコンテナ上の.NET Coreへの移行にも対応するとしています。
VMware環境の評価では、Migration CenterのAgentic Quick Estimatorが一般提供となりました。構成情報を使い、Compute Engineへ移した場合のTCO、つまり総保有コストを予測します。チャットで複数のリージョンやライセンス方式の費用を比較できるとしています。
また、Rapid Migration & Modernization Programでは、無料の刷新評価を提供します。無料とされているのは評価であり、移行作業や移行後の利用料まで無料とする発表ではありません。
移行の自動化は試験提供、検証機能も用意
AWS Elastic Kubernetes ServiceからGKEへの移行を自動化するEKS-to-GKE Agentic Migrationは、パブリックプレビューとして提供されます。これは試験提供の段階です。Googleによると、移行処理には人が承認する段階を組み込みます。自動化の対象だけでなく、担当者がどこで判断するかも確認したい機能です。
メインフレーム向けには、Mainframe Assessment Toolで業務ルールや依存関係を抽出します。Dual Runは、本番取引を旧環境とクラウドで再生し、処理の同等性を検証する仕組みです。Mainframe Connectorでは、メインフレームのデータをBigQueryなどへ複製できるとしています。
移行先の基盤も拡充しました。SAP S/4HANA向けのX5 Seriesと、データベース向けのM4N Seriesは一般提供です。Googleによると、X5 Seriesは単一ノードで43 TiBのメモリに対応します。M4N Seriesは仮想CPU当たり26.57 GiBのメモリを搭載し、Oracleなどのコア数に応じて課金されるデータベースのライセンス費を20%超削減するとしています。この数値はGoogleの説明であり、自社環境での削減額は別途評価する必要があります。
日本での提供は発表には書かれていません。日本向けの提供時期、日本語対応、価格、利用できるリージョンも、この資料からは確認できません。一般提供とされた機能でも、日本で利用できると決めつけずに確認が必要です。
影響する会社・しない会社
- 影響する: VMware環境からCompute Engineへの移行を検討している会社です。構成情報に基づく費用試算と、リージョン・ライセンス方式の比較が検討材料になります。
- 影響する: Java、.NET、メインフレームのアプリを刷新する会社です。コードや依存関係の解析が対象になります。AWS Elastic Kubernetes ServiceからGKEへの移行を考える会社には、試験提供の移行支援も関係します。
- 影響しない: これらの環境を使わず、移行や刷新も検討していない会社では、今回の機能を直ちに評価する必要性は低いと考えられます。既存利用者に必須となる変更や対応期限は、発表には書かれていません。
情シスが今日やること
- 今日、社内のIT資産台帳や構成資料で、VMware、Java、.NET、メインフレーム、AWS Elastic Kubernetes Serviceの利用有無を確認します。システム担当者や委託先に、刷新を予定している対象と、依存先の資料があるかを聞きます。
- アプリ刷新の対象があれば、Google Cloudコンソール内のModernization Hubで、対象アプリの解析機能を確認します。詳しい画面経路や利用条件は発表には書かれていないため、見つからない場合はGoogle Cloudの問い合わせ先に確認します。
- VMware移行を検討する担当者は、Migration CenterのAgentic Quick Estimatorで評価するための構成情報を準備します。試算前に、比較したいリージョンとライセンス方式を、インフラ担当者・契約担当者とそろえます。
- 評価を申し込む前に、日本での利用可否、価格、リージョンと、無料評価の範囲を確認します。EKS-to-GKE Agentic Migrationを試す場合は、試験提供であることを開発責任者に伝え、人による承認段階と移行後の検証方法を決めてから着手します。