Microsoft 365 のロードマップに、Exchange Onlineの「自動拡張アーカイブ」の上限を、現在の1.5TBより広げる項目(ID 573702)が載りました。対象は「対象のE5ライセンスの顧客」で、開始は2026年11月の予定です。新しい上限の数字や、対象の細かい範囲は書かれていません。情シスが今できるのは、自社が自動拡張アーカイブを使っているかと、保持ポリシーの設計を確かめておくことです。
Microsoft 365ロードマップの項目ID 573702の表示(2026年10月9日に確認) 出典: Microsoft (引用)
何の容量が、いつ、誰向けに変わるのか
ロードマップの項目の中身は、次のとおりです(Microsoft Purview、Data Lifecycle Management)。
項目
ロードマップの記載
題
自動拡張アーカイブの拡張の上限を1.5TBより上に引き上げる
変わる容量
アーカイブメールボックス(自動拡張アーカイブ)。ユーザーのメールボックス本体ではない
状態
In development(開発中)
開始の時期
2026年11月(November CY2026)
対象
対象のE5ライセンスの顧客(eligible E5 licenses)
提供の段階
一般提供(General Availability)
クラウド インスタンス
GCC、GCC High、DoD
プラットフォーム
Web
説明文は、これまで自動拡張アーカイブは1.5TBまでで、超えるとメールボックスが使えなくなる、アーカイブはその上限を超えて自動で広がるようになる、という趣旨です。ロードマップの項目は、2026年10月6日に作られています(Microsoftの公開データによる)。
書かれていないこと
新しい上限が何TBか。
「対象のE5ライセンス」に、Microsoft 365 E5と、ほかのどのE5系が含まれるか。
一般の商用クラウドの顧客にも提供されるか。クラウドインスタンスの欄には、GCC、GCC High、DoDだけが挙がっています。
日本での提供や、日本のテナントでの時期。日本での提供は発表に書かれていません。
追加の料金の有無。
ロードマップは、すべての情報が変更されることがあり、提供が始まる、取り消される、延期されると項目が削除されると、Microsoftのページに書かれています。Microsoft Tech Communityのブログなど、この項目に結び付いた詳しい説明は、確認した範囲では見つかりませんでした。
現在の上限は、Microsoft Learnではこう書かれている
Microsoft Learnには、現在の決まりが書かれています。2026年10月9日に確認した内容です。
アーカイブメールボックスを有効にすると、最初は最大100GBの追加の保存領域が使えます。
自動拡張アーカイブをオンにすると、アーカイブがいっぱいになるにつれて領域が足され、最大1.5TBまで広がります。
追加の領域の準備には、最大30日かかることがあります。1日あたりの増加は1GB以下が対象です。
1.5TBに達すると、それ以上アーカイブにデータを置けません。メインのアーカイブも一杯になると、プライマリのメールボックスが容量に達し、メールの送受信が止まる場合があります。
1.5TBの数え方には、「回復可能なアイテム」フォルダー内のアイテムも入ります。
Exchange Onlineの制限のページの表では、アーカイブメールボックスの容量が1.5TBになるのは、Microsoft 365 Business Premium、Microsoft 365 E3/E5、Office 365 E3/E5、Exchange Online プラン2です。Business Basic・Standard、Office 365 E1、プラン1は50GBで、プラン1にExchange Online Archivingのアドオンを付けた場合は1.5TBの扱いになる、と脚注にあります。同じページは、自動拡張アーカイブの提供状況はロードマップを見るよう案内しています。
影響する会社・しない会社
影響する: 「対象のE5ライセンス」のユーザーがいて、アーカイブが1.5TBに近い会社です。
影響する: 訴訟ホールドや保持ポリシーで、メールを消せない運用をしている会社です。アーカイブが増え続けるため、1.5TBの上限に近づきやすくなります。
影響する: ほかのライセンス(E3、Business系)の会社は、現時点で拡大の対象かどうかが書かれていません。契約のライセンスを確認しておく必要があります。
影響しない: アーカイブメールボックスや自動拡張アーカイブを使っておらず、使用量も小さい会社です。今回の項目は、自動拡張アーカイブの上限の話です。
影響しない: 上限を超えて残す必要がなく、保持ポリシーで古いメールを削除している会社です。ただし、拡大を前提に削除の設計を変える前に、対象と条件の発表を待つ必要があります。
管理者が公式の手順で確かめること
有効かどうかを見る
自動拡張アーカイブは、Exchange 管理センターや Microsoft Purview のポータルからは有効にできません。Exchange Online PowerShellで行います。
組織全体で有効か: Get-OrganizationConfig | FL AutoExpandingArchiveEnabled
特定のユーザーで有効か: Get-Mailbox <ユーザー> | FL AutoExpandingArchiveEnabled
組織全体を有効にするのはSet-OrganizationConfig -AutoExpandingArchive、特定のユーザーはEnable-Mailbox <ユーザー> -AutoExpandingArchiveです。有効にするには、先にそのユーザーのアーカイブが有効になっている必要があります。
組織またはユーザーで自動拡張アーカイブを有効にしたあとは、オフにできません。管理者はストレージのクォータを調整することもできません。非アクティブなメールボックスでも有効にすると、そのメールボックスを回復・復元できなくなります(Microsoft Learn)。
ハイブリッド構成(プライマリがオンプレミスで、アーカイブがクラウド)では、特定のユーザーだけを有効にできず、組織全体の設定が必要です。
使用量の警告を見る
Microsoft Learnによると、1.5TBに近いアーカイブは、Microsoft 365管理センターの「正常性」「サービス正常性」「Exchange Online」の「アクティブな問題」にサービスの通知が出ます。合計が1.2TBを超えて1.4TB未満で「Warning」、1.4TBを超えると「Critical」です。表に出るのはアーカイブのGUIDで、ユーザーはPowerShellのGet-Mailboxで調べます。
保持ポリシーを見直す
Microsoft Learnは、1.5TBの上限に達するリスクを減らすため、ビジネス上の価値がなくなったメールを、保持ポリシーで指定期間のあとに削除するよう勧めています。上限の拡大の発表は、保持の期間を決める話の代わりにはなりません。
情シスが今日やること
自動拡張アーカイブを使っているユーザーを洗い出します。 上のGet-OrganizationConfigとGet-Mailboxで確かめます。有効かどうかだけでなく、アーカイブの使用量が大きいユーザーを、Exchange Online PowerShellなどで一覧にします。
契約のライセンスを確認します。 「対象のE5ライセンス」が何を指すかは、まだ書かれていません。自社がE5、E3、Business系のどれを持っているかを台帳に整理し、Microsoftの発表が出たときに照らせるようにします。
管理センターの通知を見ます。 サービス正常性の「アクティブな問題」に1.5TBの警告が出ていないか見ます。出ているユーザーは、保持ポリシーの見直しを先に進めます。
保持ポリシーと法的な保持の期間を、法務や総務と確認します。 容量の拡大を前提に、削除をやめる判断はしないでください。決まりは、法令や社内規程で決めます。
ロードマップの項目を、月に1回見ます。 ID 573702で検索すると、状態、時期、対象が更新されます。数字や対象が出たら、社内の判断を見直します。
参考にした公式の情報
この記事は、Microsoftのロードマップ(ID 573702、2026年10月6日作成)とMicrosoft Learnの内容にもとづきます。ロードマップの項目は、時期、対象、新しい上限が変わる可能性があります。Microsoft 365管理センターのメッセージセンターに、この件の案内が出ていないかも、あわせて確認してください。