日立製作所は2026年10月1日、暗号資産やステーブルコインなどの取引向けに「Digital Asset AML Platform」の提供を開始しました。金融機関や暗号資産関連事業者などを対象とする、AML(マネーロンダリング対策)の監視サービスです。取引前の相手先確認だけでなく、取引後のリスク変化や、発行したトークンの流通リスクも評価します。
取引前・取引後・発行後を分けて確認
サービスには、確認するタイミングが異なる機能があります。事後モニタリングでは、取引が終わった後もリスクの変化を継続して確認します。オンライン即時評価では、取引前に相手先のアドレスを評価します。トークンモニタリングでは、発行後のトークンの流通リスクを確認します。
日立製作所によると、外部のブロックチェーン分析情報、制裁・犯罪関連情報、オンライン詐欺関連情報を活用します。さらに、AI(人工知能)や機械学習による分析など、複数の情報と分析手法を組み合わせてリスクの兆候を評価します。
ただし、対応するブロックチェーン、トークン、評価機能は、契約内容や提供条件によって異なります。導入を検討する際は、サービス全体の機能一覧だけでなく、自社の取引に必要な範囲が契約に含まれるかを確認する必要があります。
事業者間の情報を活用、最終判断は自社で
利用事業者間のリスク情報も評価に取り込み、個社の検知を補完します。共有する情報として想定しているのは、アドレス、取引ハッシュ、リスクカテゴリ、検知理由などです。取引ハッシュは取引を識別する情報で、個人属性情報は事業者間で共有しません。
評価結果は、リスクの兆候を判断するための材料です。不正取引や法令違反を断定するものではなく、最終的な対応判断は利用事業者が行います。情シスにとっては、評価機能の接続だけでなく、結果を誰が確認し、誰が対応を決めるかが導入時の確認点になります。
サービスには、2025年から関連事業者やAML技術提供者と進めた実証実験の成果を活用しています。第2回実証は2026年3月から2026年5月に、金融庁の「FinTech実証実験ハブ」の支援で実施しました。日立製作所は、複数の情報と分析手法によるリスク評価を実務に適用できる可能性を確認したとしています。
影響する会社・しない会社
- 影響する: 金融機関や暗号資産関連事業者など、発表で提供対象とされている会社です。暗号資産・ステーブルコインなどの取引のリスク評価を検討する際に、確認すべきサービスが加わります。
- 影響する: 導入を検討する会社で、取引前の評価、取引後の継続確認、発行後のトークン監視を必要とする場合です。必要な機能と対象資産が契約条件に含まれるかが重要になります。
- 影響しない: 今回の発表だけを理由に、全社のIT環境を変更する必要が生じるわけではありません。既存サービスの廃止や、利用者に必須となる移行期限は発表には書かれていません。
- 影響しない: 会社の規模や地域によって対象外になる条件は、発表には書かれていません。自社が利用できるかは、対象業務と提供条件を照らして確認してください。
情シスが今日やること
- 対象業務を担当部門に確認する。 まず金融・暗号資産関連の業務担当とコンプライアンス担当に、取引前、取引後、トークン発行後のどの確認が必要かを聞きます。導入検討を始める前に、必要な監視の範囲を整理してください。
- 契約前の確認項目を作る。 日立製作所への問い合わせ項目として、自社で扱うブロックチェーンとトークン、必要な評価機能を列挙します。対応範囲は契約内容や提供条件で異なるため、機能名だけで対応済みと判断しないようにします。
- 管理画面と接続方法の資料を求める。 発表には、管理画面の名称や設定箇所、接続方法は書かれていません。導入可否を決める前に、評価結果と検知理由をどこで確認するか、既存業務にどう組み込むかを提供元に確認します。
- 判断と情報共有の担当を決める。 運用開始前に、評価結果の確認者と最終対応の判断者を業務担当・コンプライアンス担当と整理します。あわせて、共有を想定するアドレスや取引ハッシュなどの扱いを確認し、個人属性情報は事業者間で共有しないという発表内容を関係者に知らせてください。