Google は2026年10月6日、ChromeOSの長期サポート(LTS)チャネルを、LTS-144からLTS-150へ切り替えたと発表しました。LTSは、機能の更新を6か月に1回にして、端末の挙動を安定させるためのチャネルです。学校の共通テスト用の端末や、店舗・受付の端末で選ぶ会社があります。
この記事は、Chrome Releasesの発表2本と、Google管理者向けの公式ヘルプの原文で確かめたことだけを書きます。自社の端末がどのチャネルか、固定の有無、業務アプリの確認の段取りを順に見ます。
発表の内容
Chrome Releasesの2本の発表は、次のとおりです。時刻やタイムゾーンの記載はありません。
日付
発表の題
書かれていること
2026年10月6日
Long Term Support (LTS) channel for ChromeOS - Major update from 144-> 150
LTC-150がChromeOS LTS-150に昇格し、ほとんどのChromeOS端末に展開中。版は150.0.7871.256(Platform Version: 16700.66.0)
2026年10月7日
Long Term Support Channel Update for ChromeOS
同じ版150.0.7871.256を、LTC(長期サポート候補)チャネルの端末へ展開。直したセキュリティ修正の一部を公表
Chrome Releasesの発表(2026年10月6日)。LTS-150への切り替えの本文 出典: Chrome Releases(Google) (引用)
発表の原文のうち、いちばん大事な1文は次のとおりです。
If you are currently on the ChromeOS Long Term Support (LTS) channel (and not pinned to 144), your devices will automatically update to ChromeOS LTS 150.
出典: Chrome Releases「Long Term Support (LTS) channel for ChromeOS - Major update from 144-> 150」
LTSチャネルにいて、144に固定していない端末は、自動でLTS 150に更新されます。10月7日の発表には「LTSチャネルは10月6日までLTS-144のままです」(The LTS channel remains on LTS-144 until October 6th, 2026)とも書かれています。
発表には、ほかに次の記載はありません。
固定(ピン留め)している端末の期限
管理者が何をするべきかの案内
展開が全端末に届く日
日本での提供の状況(日本での提供は発表に書かれていません。公式ヘルプには日本語版があります)
10月7日の更新で公表された脆弱性
10月7日の発表は、版150.0.7871.256に「選ばれたセキュリティ修正」(selected security fixes)を含むとして、43件のCVEを挙げています。深刻度は発表の表記で、Criticalが9件、Highが31件、Mediumが3件です。
Criticalの9件は、次のとおりです。いずれも原文の分類は「Use after free(解放後の利用)」で、対象の部品は後ろに書きます。
CVE-2026-95339(ServiceWorker)
CVE-2026-95310(AdFilter)
CVE-2026-95356(WindowDialog)
CVE-2026-91721(Internals)
CVE-2026-19137と CVE-2026-19170(どちらもWebGL)
CVE-2026-95313(Fullscreen)
CVE-2026-91749(Workers)
CVE-2026-87628(Cast)
Highには、Skia、PDF、Bluetooth、GPU、WebRTC、Extensions、Enterpriseの暗号の問題(CVE-2026-17666・Cryptographic Flaw in Enterprise)などがあります。件数は編集部が発表の一覧を数えたものです。悪用の有無は、発表に書かれていません。
公式ヘルプは、LTSのセキュリティ更新には「特定のセキュリティ修正のみ」が含まれると書いています。コードの違いでLTSに重要な修正を入れられない場合があり、すべての修正は次のメジャー版への更新で入る、とも書かれています。この発表の43件が、同じ時期のStableの修正すべてではないことに注意してください。
自社の端末はLTSか、144に固定しているか
自社の端末のチャネルと固定の状態は、次の2か所で確かめます。画面名は公式ヘルプ(日本語版)の表記です。
管理コンソールで確かめる
管理者アカウントでGoogle管理コンソールにログインします
[デバイス] > [Chrome] > [設定] > [デバイスの設定] を開きます
組織部門を選びます(上位のまま選ぶとすべてに適用、子の組織部門ならその部門だけ)
[デバイスの更新設定] > [自動更新の設定] を開きます
[リリース チャンネル] の表示が、チャンネルの設定です。LTSの端末は、LTC(長期サポート候補チャンネル)かLTSかを見ます
[目的のバージョン] に値が入っていれば、そのバージョンに固定されています。ここが144なら、144に固定している端末です
固定の設定は、選んだバージョンより新しいChromeOSには更新されない設定です。組織部門ごとに設定が違うことがあるので、部門を1つずつ見ます。
端末で確かめる
公式ヘルプには、端末での確認の手順があります。管理対象のChromeOS端末にログインし、右下の時刻、設定アイコンの順に開きます。
版: 左のパネルの下の [ChromeOS について] に、バージョンが出ます
チャンネル: [ChromeOS について] の [詳細] の [チャンネル] で確かめます
注意点が1つあります。LTCかLTSに設定した端末では、画面には「長期サポート チャンネルを利用している」とだけ出ると、公式ヘルプに書かれています。LTCとLTSの区別は、管理コンソールで見ます。
版の見かた
LTS-150の版は150.0.7871.256です。端末のバージョンが144系なら、まだ更新が届いていないか、固定されています。ほとんどのChromeOS端末に展開中という発表なので、届く時期には差が出ます。
LTS-150で何が変わるか
2本の発表には、変更点の一覧はありません。発表は「LTS-150のリリースノートはここにある」とリンクしており、その先がGoogleの「ChromeOS 長期サポート(LTS)リリースノート」(最終更新日 2026年7月22日)です。
このリリースノートには、LTS 150の機能の概要が、Chrome 145から150までの表で載っています。ChromeOSの更新内容の欄の、150の項目の題は次のとおりです。
版
項目の題(日本語ヘルプの表記)
150
クラスツールでの Gemini
150
キオスク セッションでの Chrome アプリのサポート終了
150
管理対象 Chromebook でのローカル PIN とパスワード
150
ローカル PIN またはパスワードを使用しているユーザーの自動移行
150
独立したウェブアプリの管理対象外インストール
150
再認証メカニズムの強化
150
ChromeOS 150 に次回の長期サポート候補(LTC)リリースを同梱
LTS-144からの6か月分の変更なので、145から149の項目もあります。たとえば、149の「管理対象の ChromeOS デバイスの位置確認」「ユーザー補助設定の同期」、147の「クラスツールのアクティビティ ログ」「証明書のプロビジョニングの移行」、146の「ローカルのカメラ フォルダのポリシー」などです。
この記事は、各項目の詳しい中身までは確かめていません。表の題を見て、自社に関係しそうなものは、リリースノートの本文で読んでください。店舗や受付の端末をキオスクとして使っている会社は、「キオスク セッションでの Chrome アプリのサポート終了」を先に読むのがよさそうです。これは編集部の見立てです。
公式ヘルプは、LTSのダウンロードサイズについても書いています。LTS 138から144のような更新は、6か月分の機能とアップデートを含むため、Stableの1回分の更新の平均より大きくなります。台数が多い教室や店舗では、回線の混雑に注意してください。
144に固定している場合の期限
発表には、144に固定している端末の期限は書かれていません。ここから先は、公式ヘルプに書かれている範囲です。
公式ヘルプの「ChromeOS のアップデートを特定のバージョンに固定する」には、次のことが書かれています。
この設定はおすすめしません。サポート対象となるのは、最新バージョンのChromeOSのみです
固定を解除し忘れると、重要なセキュリティ更新が適用されないままになったり、新機能を使えなくなったりすることがあります
固定したバージョンが端末で利用できないときは、それ以降の更新は実行されません
4つ以上前のバージョンに固定すると、自動更新が意図したとおりに動かないことがあります。最新の安定版の3つ前以降のバージョンだけをサポートしています
固定する代わりに、LTCかLTSのチャネルを検討するように、とも書かれています
固定中の端末にいつまでセキュリティ修正が届くかは、発表にもヘルプにも書かれていません。書かれていないので、「いつまで大丈夫」とは言えません。固定の理由が残っているか(特定の業務アプリがLTS-150で動かないなど)を、早めに確かめるのが安全です。
公式ヘルプには、端末の自動更新の期限(プラットフォームのリリースから10年)の話もあります。これはChromebookの機種ごとの期限で、LTSの切り替えとは別の話です。古い機種は、期限もあわせて見てください。
影響する会社・しない会社
影響する: Google管理コンソールでChromebookのリリースチャンネルを「長期サポート」にしていて、固定をしていない会社(自動でLTS-150になります)
影響する: LTSチャネルのうち、バージョンを144に固定している会社(自動では上がりません。期限は発表に書かれていません)
影響する: LTC(長期サポート候補)チャネルの端末がある会社。10月7日の発表で、同じ150.0.7871.256に更新されます
影響しない: リリースチャンネルがStableの会社(LTSの切り替えの対象ではありません。Stableは約4週間ごとに更新されます)
影響しない: 管理コンソールで自動更新を止めている(アップデートをブロックしている)端末。ただし更新を止めている間は、セキュリティ更新も止まります
情シスが今日やること
管理コンソールで、組織部門ごとのリリースチャンネルと固定を確かめます。 [デバイス] > [Chrome] > [設定] > [デバイスの設定] > [デバイスの更新設定] > [自動更新の設定] の、[リリース チャンネル] と [目的のバージョン] です。結果は、部門名・チャンネル・固定の版・台数の表にします。
各部門から数台を選び、版を確かめます。 端末の [ChromeOS について] で、150.0.7871.256に上がったかを見ます。上がっていない部門は、展開待ちか、固定かを切り分けます。
LTS-150のリリースノートを読みます。 上の表の項目のうち、自社に関係するものを、担当者と一緒に確かめます。キオスク、クラスツール、PINとパスワードの項目は、使い方によって影響が出ます。
144に固定している端末は、固定の理由を書き出します。 理由が業務アプリの互換性なら、次の章の段取りで確認し、固定を外せるかを決めます。固定のまま放置しないよう、見直しの日を決めます。
利用者に予告します。 更新は端末の再起動で反映されます。学校なら授業のない時間、店舗なら営業時間外など、再起動してよい時間を伝えます。
業務アプリ・拡張機能の動作確認の段取り
ここからは編集部の整理です。公式の発表に書かれた手順ではありません。
一覧を作ります。 端末で使うWebアプリ、Chromeアプリ、拡張機能、PWA、印刷や周辺機器(プリンタ・バーコードリーダー・カメラ)を書き出します。キオスクの端末は、起動するアプリも入れます。
試験用の組織部門を作ります。 数台をLTS-150にして、ほかは今のままにします。管理コンソールの組織部門を分ければ、台数を絞って試せます。
動作を決めた手順で確かめます。 ログイン、印刷、ファイルの保存、外部機器の接続、画面の表示を、一覧のアプリごとに同じ手順で見ます。
問題が出たら、アプリの提供元に聞きます。 版は150.0.7871.256と伝えます。固定は一時の回避にとどめ、期限を決めます。
問題なければ、残りの部門に広げます。 公式ヘルプは、段階的な展開(ステージング)を2〜3日など短い期間で行うことをすすめています。
発表から分からないこと
144に固定している端末の期限
全端末にLTS-150が届く日
「ほとんどのChromeOS端末」に入らない機種の条件
LTS-150の各機能の詳しい中身(リリースノートの本文で確かめます)
悪用の有無
自社のChromebookを管理コンソールで管理している会社は、固定の有無の確認から始めてください。Googleの管理者ヘルプの画面名は、更新で変わることがあります。この記事は2026年10月9日時点の内容です。
Office 2021の2026年10月13日のサポート終了 のように、期限のある更新の作業と並べて、日程を管理すると見落としを防げます。