メールセキュリティの米Proofpointが、データセキュリティの米Varonisを買収します。社内のファイルサーバーやクラウドにある機密データと、そのアクセス権を管理するためにVaronisを使っている会社にとっては、契約やサポート、製品の今後が気になるところです。両社の発表と、Varonisが公表している資料をもとに、利用企業が確かめることを整理します。
何が発表されたのか
- 発表日: 2026年10月15日(米国時間)
- 条件: 全額現金で約63億ドル。Varonisの株主は、1株あたり49.75ドルを受け取る
- 完了の見込み: 2027年上半期。Varonisの株主の承認と、規制当局の承認が条件。なお、Proofpointの特設ページのよくある質問は「2027年第1四半期」としていて、発表文と食い違っている
- 完了後: Varonisは米ナスダックでの上場をやめ、Proofpointの傘下に入る。Proofpointは、投資会社Thoma Bravoが持つ会社
- 完了まで: 両社は別々の会社として運営する
両社の狙いは、データの所在と権限の管理から、内部不正の対策、情報漏えい対策(DLP)、AIの利用の管理までを、一つにまとめることです。人だけでなく、AIエージェントがどのデータに触れるかを管理する、という説明もしています。
Varonisの顧客には何と案内しているか
Varonisは顧客に、次のように案内しています。
- 担当チーム、顧客番号、サポートの窓口は変わらない
- 今の契約や、使っている製品に変更はない
- 手続きの進み具合を、定期的に知らせる
Proofpointの特設ページ。価格と更新条件の記載はProofpointの顧客向けだけ出典: Proofpoint(引用)
注意したいのは、Proofpointの特設ページの書き分けです。Proofpointの顧客向けには「製品・契約・価格・サポートは変わらず、更新の条件も合意どおり」とあります。一方、Varonisの顧客向けは「Varonisは独立して運営を続ける」「両社は顧客データを共有しない」「担当は今のVaronisのチーム」の3点だけで、価格や更新条件には触れていません。完了後の製品については「製品についての決定はまだしていない」「具体的な計画は完了後に知らせる」としています。
買収とは別に、オンプレ版は12月末で終了予定
Varonisは買収の前から、自社のサーバーで動かす版(セルフホスト版、オンプレ版)を、2026年12月31日で終えると公表しています(2025年12月期の年次報告書)。今後はSaaS版を主な提供の形にするとしています。日本語の決算発表でも、「自社ホスト型ソリューションの終息決定」に触れています。
買収の発表資料は、このオンプレ版の終了に触れていません。終了日の後に猶予やサポートがあるかの公式の説明も、見当たりませんでした。
影響する会社・しない会社
- 影響する: Varonisを使っている会社。とくにオンプレ版を使っている会社は、買収よりも先に、12月31日の終了への対応が要ります。
- 影響する: ProofpointとVaronisの両方を使っている会社。完了後に、担当やサポートの窓口がまとめられていく予定です。
- 確かめる価値がある: データセキュリティやDLPの製品の選定・更新を考えている会社。製品の組み合わせが変わる可能性があるため、契約の長さを決める材料になります。
- 今すぐは影響しない: どちらの製品も使っていない会社。
情シスが今日やること
- Varonisの契約を確かめます。契約の期間、次の更新日、価格の改定の条件、解約や縮小の条件を、契約書や見積書で確かめます。
- オンプレ版を使っている場合は、12月31日の終了への対応を、Varonisか販売店に確かめます。SaaS版への移行の計画、データの移し方、移行までのサポートを聞きます。
- 販売店経由で買っている場合は、販売店にも、今後の窓口と更新の扱いを確かめます。
- 更新が近い場合は、買収の完了(2027年上半期の見込み)の前か後かを意識して、契約の期間を決めます。長い契約にするなら、価格や条件が変わったときの扱いを確かめておきます。
- 社内の記録を残します。どの部署が、どのデータを守るためにVaronisを使っているか、つないでいるシステムはどれかを一覧にしておくと、製品の扱いが変わったときに判断が早くなります。
書かれていないこと
- 買収の完了後に、Varonisのブランドや製品をどう扱うか
- Varonisの顧客向けの価格と更新条件
- オンプレ版の終了後の猶予やサポート
- 日本の顧客向けの案内と、承認が必要な国の一覧
2026年10月17日時点の内容です。