Power Platformを社内で使っている会社に向けた、管理者向けの変更が3つまとまって公開されました。Microsoft は2026年10月16日、Microsoft 365 のロードマップに、Power Platformの監査・AIエージェント の権限・ライセンス に関わる3つの機能を「提供済み」として載せました。どれもすでに使えるようになっている機能で、監査ログ の変更のように、気づかないうちに社内の仕組みに影響しているものもあります。一つずつ、情シスが確かめることを整理します。
3つの変更の一覧
ロードマップの番号
内容
一般提供(ロードマップ・Learnによる)
情シスへの影響
576863
Purviewに送る監査ログから、変更前後の値を除く
2026年6月26日
監査・アラートの見直し
576843
AIエージェントに、Entraのエージェントユーザーを作る
2026年8月(Learnはまだプレビューと表記)
エージェントの権限の管理
576824
Processライセンスの容量を、最大25本のフローで分け合う
2026年7月
ライセンスの割り当ての見直し
MicrosoftはPower Platformなどのリリース計画のページを2026年10月にアーカイブし、最新の予定はMicrosoft 365のロードマップで見るよう案内しています。予定を追う先も、ロードマップに切り替えておきます。
1. Purviewの監査ログに、変更前後の値が入らなくなった
Dataverseの監査ログには、レコードの作成や更新のときに、列の変更前と変更後の値が記録されます。これまでは、この値もMicrosoft Purviewの監査ログ(アクティビティのログ)に送られていました。2026年5月から、Purviewに送る監査イベントには、変更前後の値が入らなくなりました。
MicrosoftのLearnのページ。Purviewに機微なデータを送らない変更は2026年6月26日に一般提供 出典: Microsoft Learn (引用)
Purviewには、誰が、いつ、どの表を変えたかといった情報は引き続き届きます。
変更前後の値は、Dataverseの監査ログに残ります。
狙いは、金額や健康の情報、個人を特定できる情報などの機微なデータが、監査ログを通じて外に広がらないようにすることだと説明しています。
注意が要るのは、Purviewの監査ログに入った値の変化を使って、アラートやデータの分析、独自のコンプライアンスの確認をしている会社です。Microsoftは、こうした仕組みは動かなくなるとして、値はDataverseの監査の仕組み(APIや表)から取るよう案内しています。Dataverseの監査ログを正としている場合は、変更は要りません。
2. AIエージェントに、Entraの「エージェントユーザー」を作る
Copilot Studioで作ったAIエージェントは、Microsoft Entraの「エージェントID」を自動で受け取り、Entraの管理センターで管理できます。エージェントがDataverseのデータを使う場合は、Entraでエージェント用のユーザー(エージェントユーザー)を作ってエージェントIDに結びつけ、Dataverseのセキュリティロールを割り当てます。
ロードマップは、エージェントに、役割に合った最小限のセキュリティロールだけを与え、エージェントの操作も監査で追えるようにすると説明しています。人とAIエージェントで、同じ権限管理と監査のルールを使えるようにする狙いです。ただし、Microsoft Learnの手順のページは、10月17日時点で「プレビュー」と表記しており、プレビューは本番での利用を想定していないとしています。
3. Processライセンスの容量を、最大25本のフローで分け合う
Power AutomateのProcessライセンスは、1本で1日25万アクションの容量があります。「フローグループ」を使うと、この容量を、ソリューションに入った最大25本のクラウドフローで分け合えます。
Learnのフローグループの説明。1つのProcessライセンスを最大25本のフローで共有 出典: Microsoft Learn (引用)
容量は、グループ全体の合計で数えます。
親フローと子フローは別々に数え、親を入れても子は自動では入りません。子フローにも共有の容量を使わせるなら、同じグループに子フローも入れます。
グループには、ライセンスを重ねて容量を増やすことはできません。1日25万アクションを超えるフローには、個別にライセンスを割り当てます。
ソリューションに入っていないクラウドフローは対象外です。
影響する会社・しない会社
影響する: Purviewの監査ログで、Dataverseの値の変化をアラートや分析に使っている会社。すでに5月から値が届いていない可能性があります。
影響する: Copilot StudioのエージェントにDataverseのデータを使わせている、または使わせる予定の会社。
確かめる価値がある: Power AutomateのProcessライセンスを、フローごとに割り当てている会社。
関係が薄い: Power PlatformやDataverseを使っていない会社。
情シスが今日やること
Purviewの監査ログを使った、Dataverseの監視の仕組み(アラート、SIEMへの連携、レポート)を洗い出します。変更前後の値を使っていれば、Dataverseの監査の仕組みから取る形に変えます。
Dataverseの監査が、必要な表や列で有効になっているかを確かめます。値はDataverse側にだけ残るためです。
Copilot StudioのエージェントがDataverseのデータに触れている場合、どのIDで動き、どんな権限を持っているかを確かめます。エージェントユーザーを本番で使うのは、プレビューの表記が外れたかを確かめてからにします。
Processライセンスの割り当てを見直します。1日25万アクションを使い切らないフローが複数あれば、フローグループでまとめられないかを検討します。
Power Platformの今後の予定は、Microsoft 365のロードマップで確かめるよう、担当者の手順を改めます。
この記事は、Microsoft 365のロードマップと、Microsoft Learnの説明をもとにしています。ロードマップとLearnで、提供の段階の表記が違うものがあります(エージェントユーザー)。使う前に、それぞれの最新の表記を確かめてください。
書かれていないこと
監査ログの変更が、すべての環境にいつ行き渡ったか
エージェントユーザーのプレビューの表記が、いつ外れるか
フローグループの利用で、実際にどれだけ費用が下がるか(使い方による)
2026年10月17日時点の内容です。