Appleは2026年10月13日付で、開発者向けの契約「Apple Developer Program License Agreement」を改定しました。開発者には変更点を確認し、アカウントで更新規約に同意するよう求めています。アプリを提供する会社では、セキュリティ要件に加え、法人向けの販売条件や税務情報の扱いを関係部門で確認する必要があります。
セキュリティ要件と機能別の利用条件を更新
Appleは、新機能やポリシー更新への対応と、規定の明確化を改定理由に挙げています。今回の発表は契約の変更であり、記載された機能がすべての開発者に新たに提供されるという案内ではありません。
第3.2条では、Appleのソフトウェアやサービスを利用する際のセキュリティ関連要件が更新されました。特定の新機能を使っているかどうかだけで判断せず、まずこの条項の変更を確認するのがよいでしょう。要件の具体的な内容は、今回の発表に示された情報だけでは分かりません。
機能別では、Live Assistance APIの利用条件が定義と第3.3.8(j)条に、App Replacement Entitlementの利用条件が定義と第3.3.8(k)条に明記されました。APIは、ソフトウェア同士を連携させるための仕組みです。ただし、両機能の詳しい動作や対象は発表には書かれていません。
また、Apple HomeView上のiOSアプリのウィジェットに関する条件と、Apple HomeViewでCarPlay向けiOSアプリを提供する条件も明記されました。開発部門には、これらを自社アプリで利用するか、提供計画に含めているかを確認してもらうと、読むべき条項を整理できます。
法人・学校向け販売と税務情報の扱いも確認
継続課金型のサービスであるサブスクリプションについても、提供条件が明記されました。Group Purchasesでは複数席を提供する条件、Volume PurchasingではApple Business組織とApple School Manager組織に提供する条件が対象です。
法人や学校にサブスクリプションを提供する会社では、開発担当だけでなく、販売条件を管理する担当者にも確認を依頼するのがよいでしょう。今回の改定を、アプリの技術仕様だけの変更として扱わないことが重要です。
税務関連では、Appleが税・売上・連絡先などの法定情報を税務当局に報告する旨が明記されました。また、Appleから開発者に共有される顧客の税務情報は、法律が義務付ける目的にのみ利用が限定されます。自社がその情報を受け取っている場合は、利用目的を法務・経理と照合する必要があります。
日本での提供は発表には書かれていません。各機能の日本での利用可否、提供時期、日本語対応、日本の価格やリージョンも示されていません。更新契約の翻訳は1カ月以内にApple Developerサイトで公開予定ですが、翻訳言語は発表には書かれていません。
影響する会社・しない会社
- 影響する: Apple Developer Programの契約を利用してアプリを開発・提供する会社です。Appleは開発者に、変更確認とアカウントでの更新規約への同意を求めています。
- 影響する: 記載された機能や、Group Purchases、Volume Purchasingによるサブスクリプション提供を利用する会社です。共通のセキュリティ要件に加え、該当する提供条件の確認が必要です。
- 影響する: Appleから顧客の税務情報を受け取る開発者です。法定目的に限るという利用条件を、社内の取り扱いと照合する必要があります。
- 影響しない: Apple製品を業務で使うだけの会社への変更は、発表には書かれていません。端末利用の見直しと、開発者向け契約への対応は分けて判断してください。対象外となる企業規模や地域も示されていません。
情シスが今日やること
- 社内の契約管理記録から、Apple Developer Programの契約アカウントと担当者を確認します。担当者にアカウント内の更新規約を確認してもらいます。具体的な画面名や操作手順は、発表には書かれていません。
- 開発責任者へ、第3.2条と、自社で使う機能に対応する条項の確認を依頼します。現在の利用と今後の提供計画を分け、確認対象と担当者を一覧にします。
- 法務・経理・販売担当に、サブスクリプションの提供条件と税務情報の変更を共有します。顧客の税務情報を受け取っているか、何に利用しているかを確認し、更新規約への同意前に判断事項を整理します。
- 社内の承認手順に沿って同意する担当者を決め、確認結果と同意状況を記録します。同意期限や未同意の場合の扱いは、発表には書かれていません。社内の確認期限は別途決め、公開予定の翻訳も確認対象に加えてください。