うるう秒は、時計の話であると同時に、情報システムの障害の原因にもなってきました。国際度量衡総会(CGPM)は2026年10月15日、うるう秒を入れない「連続したUTC(協定世界時)」を2027年5月20日から始めると決めました。何が決まり、情シスが時刻の扱いで何を確かめておくとよいかを整理します。暮らしの目線での解説は、西のITメディアのうるう秒、2027年5月20日で終わりに 国際度量衡総会が決定 暮らしへの影響はにあります。
何が決まったのか
国際度量衡局(BIPM)が公開した決議5によると、決まったのは次の2点です。
- うるう秒を入れない「連続したUTC」を、2027年5月20日から始める
- 地球の自転にもとづく時刻(UT1)とUTCの差は、最大3600秒(1時間)まで認める。これで数世紀にわたってUTCを連続させられるとしている
国際度量衡総会の決議5。連続したUTCを2027年5月20日から始め、差の上限を1時間とした出典: 国際度量衡局(BIPM)(引用)
決議は、理由として次のような点を挙げています。
- 地球の自転の変化で、1秒を削る「負のうるう秒」が必要になる確率が、2035年までに30%に達すると専門家の会合が見積もった
- 負のうるう秒は一度も行われたことがなく、備えのできていない重要なインフラで不具合や混乱を起こすおそれが大きい。備えには2000年問題並みの投資が要るとみられる
- うるう秒の扱い方が事業者ごとに違い、時刻の食い違いが起きている
うるう秒で起きてきた障害
うるう秒は、これまでも情報システムの障害につながってきました。
- 2012年: さくらインターネットで、一部のLinuxの不具合により、うるう秒の前日と当日に、計画外のサーバーの再起動や負荷の上昇が起きました
- 2017年1月1日: 米Cloudflareで、名前解決(DNS)の一部が失敗しました。時間が戻ることはないという前提で書かれたプログラムが原因でした
こうした問題を避けるため、事業者は独自の扱いを取り入れてきました。たとえばGoogleは2008年から、うるう秒を一気に入れず、正午から正午までの24時間をかけて少しずつ時刻を合わせる「なめらかな吸収(リープスミア)」を、すべてのサービスとAPIで使っています。決議が理由に挙げた「扱い方の違いによる食い違い」は、こうした方法の違いのことです。
2027年5月までの見通し
地球の自転を見守る国際機関(IERS)は、2026年12月末にうるう秒を入れないと告知しています。うるう秒を入れられるのは6月末か12月末で、次の候補の2027年6月末は、新しい決まりが始まった後です。このため、前回の2017年1月1日が最後のうるう秒になる見込みです(公式に「最後」と書いた文書は見当たりません)。
UT1とのずれが1時間に近づいたときの直し方は、決議に書かれていません。今のずれは1秒にも満たず、決議は数世紀はUTCを連続させられるとしています。
影響する会社・しない会社
- 影響する: 自社でサーバーや時刻の配信元(NTPサーバー)を運用している会社。うるう秒のための設定や手順が、今後は働く場面がなくなります。
- 影響する: 時刻の正確さが大事な仕組み(取引の記録、ログの突き合わせ、証明書や認証の期限の判定など)を持つ会社。
- 確かめる価値がある: うるう秒への対応を、調達の要件や試験の項目に入れている会社。
- 関係が薄い: クラウドやSaaSだけを使い、時刻の扱いを事業者に任せている会社。
情シスが今日やること
- 社内のサーバーや機器が、どの時刻の配信元に合わせているかを一覧にします。うるう秒の扱いが違う配信元(一気に入れるもの、少しずつ吸収するもの)が混ざっていないかも確かめます。
- うるう秒の対策として入れている設定や、うるう秒の日の監視・待機の手順を洗い出します。急いで外す必要はありませんが、今後は働かなくなることを記録しておきます。
- 調達の要件や試験の項目に、うるう秒への対応が入っていれば、2027年5月20日以降の扱いを決めます。
- 時刻の同期そのものの監視は続けます。うるう秒がなくなっても、時刻のずれはログの突き合わせや認証の不具合の原因になります。
書かれていないこと
- 2027年5月20日以降、UT1とのずれが1時間に近づいたときの直し方
- 各国の標準時の配信(日本ではNICTなど)や、電波時計・時報の具体的な対応
- OSや機器ごとの、うるう秒の設定の今後の扱い
2026年10月17日時点の内容です。