大阪公立大学で2026年10月2日の未明から、情報基盤システムに大規模な障害が起きています。ネットワークや学内メールなどが全キャンパスで止まり、10月8日(木)までの授業はすべて休講です。公表から分かることと、会社が自社の備えとして見直すことを分けて整理します。
大阪公立大学が公表した内容
大阪公立大学は、大阪府と大阪市が設立した公立大学法人大阪の大学です。2024年5月1日現在の在籍の学生は、大阪公立大学が11,933人です。ほかに前身の大阪府立大学と大阪市立大学に合わせて4,058人、高専に848人がいます(法人の事業報告書)。
第1報(10月2日14時)と第2報(同日18時)などの内容を表にまとめます。
項目
公表の内容
発生
2026年10月2日(金)未明。障害情報のページでは0時30分ごろから
止まったもの
情報基盤システム全般(ネットワーク、学内メール、ポータルサイト、教務系システムなど)。全キャンパスで学内システムの利用が止まっている
影響がないもの
医学部附属病院と獣医臨床センターのシステム。どちらも通常どおり運営
授業
10月8日(木)まで休講。9日(金)以降に対面の授業を再開する予定
入試
Web出願サイトと入学手続サイトは学外のサーバーで動いており、登録できる。実施中の出願と入学手続の期限は10月22日(木)まで延長(10月4日の追記)
発覚の経緯
ベンダーからの連絡
原因
システム担当の部署と運用の委託先が調べているが、特定できていない
復旧のめど
不明。記者会見は第1報で「来週中をめど」に開く予定としている
大学の稼働状況のページは、主なシステムにつながるかを定点で観測して表示しています。当社が10月5日14時40分ごろに開くと、臨時のお知らせサイトとOMU認証システムは「稼働中」でした。全学ポータルは「メンテナンス中」、Moodle・デジタル窓口・人事給与システム・大学のホームページなどは「接続不可」と出ていました。
10月5日14時40分ごろの稼働状況のページ。臨時のお知らせサイトは稼働中、ポータルはメンテナンス中 出典: 大阪公立大学「主要なシステムの稼働状況」 (引用)
公式サイトが止まり、公式ドメインのページから特設サイトへ案内した
大学のホームページ(www.omu.ac.jp)にはつながらず、入試課は「本学Webサイトにアクセスできません」と知らせています。代わりに知らせの入口になったのが、公式ドメインにある「OMUエントランスページ」(e.omu.ac.jp)です。このページは障害のときの案内先を兼ねていて、8月や9月の障害の情報も載っています。
システム等の障害発生時には本ページにて障害情報を発信します。このページをブックマークしておき、システムに繋がらない場合は本ページの情報をご確認ください。
出典: 大阪公立大学「OMU エントランスページ」
エントランスページは休講を知らせたうえで、「特設サイトへ」のボタンを置いています。特設サイトは、別のドメイン(omu.moe)の「臨時お知らせサイト」です。公式サイトが戻るまで大学・高専・附属病院のお知らせを載せるとしており、第1報・第2報もここに出ています。
公式ドメインのOMUエントランスページ。障害と休講を知らせ、特設サイトへ案内している 出典: 大阪公立大学「OMU エントランスページ」 (引用)
当社がドメインの登録情報(WHOISとRDAP)を確かめると、omu.moe の登録者は Osaka Metropolitan University でした。登録日は日本時間の10月2日23時34分で、障害が起きたあとに登録されたドメインです。
学内メールが使えないため、経済支援制度の申請では、個人のメールアドレス(Gメールなど)で登録するよう案内しています。高専は通常どおり授業をしています。ただ、校内のWi-Fiが使えず、教材を自宅などで前もってダウンロードするよう求めています。
原因は調査中で、サイバー攻撃かどうかは公表に無い
第1報・第2報とも、原因は特定できていないとしています。サイバー攻撃かどうかについて、大学のお知らせは触れていません(10月5日時点)。この記事でも原因は推し量りません。調査の進み具合や記者会見の日時は、決まりしだいプレスリリースで知らせるとしています。
影響する人・会社、しない人・会社
影響する: 大阪公立大学の学生と教職員。10月8日まで授業は休講で、学内メールやポータルなどが使えません。
影響する: 出願や入学手続をしている受験生。登録はできますが、募集要項などが見られないため、期限が10月22日(木)まで延びました。
影響する: 大学と取引・共同研究・委託・採用でやりとりしている会社。学内メールが止まっているため、大学のアドレスあての連絡を相手が読めていない場合があります。
影響する: 高専の学生。授業は通常どおりですが、校内のWi-Fiが使えません。
影響しない: 医学部附属病院と獣医臨床センターのシステム。大学は影響はないとして、通常どおり運営しています。
影響しない: 大阪公立大学とやりとりのない会社。ただし、次の節の備えはどの会社にも当てはまります。
基盤が全部止まったときに備えて会社が決めておくこと
ここからは大阪公立大学の公表ではなく、会社の一般的な備えです。
大阪公立大学は今回、止まった基盤の外にあるもので知らせと受付を続けています。公式ドメインのエントランスページ、別ドメインの特設サイト、学外のサーバーの出願サイト、個人のメールアドレスです。会社でも、同じ役割のものを前もって決めておけます。
決めておくこと
中身の例
連絡の手段
社内のメールやチャットが止まったときの連絡先(個人のメール・電話・安否確認サービスなど)。本人の同意を取り、控えを社外に置く
告知のページ
社内の基盤と別の所で動く告知ページを、ドメインごと前もって用意する
公式ドメインからの案内
告知ページへの入口を公式ドメインのどこに置くかを決め、「障害のときはここを見る」とふだんから知らせる
外に置く受付
問い合わせ・受注・採用の応募など止められない受付を、社内の基盤と別の所で動かす
止まってから用意したドメインは、利用者が初めて見るアドレスです。偽サイトへ誘うフィッシングのメールと見分けにくいため、公式ドメインのページや公式SNSからの案内が本物の手がかりになります。外のサービスでも、ログインを社内の認証の仕組みに頼っていると一緒に止まる場合があるので、受付の仕組みごとに確かめます。
どのシステムを何時間で戻すか、止まったときの代わりの手段は何かは、次の確認表で1行ずつ洗い出せます。
止まった日数が会社の損失にどう響くかは、システムが止まったら1日いくら損する? のシミュレーターで試算できます。窓口のシステムが止まった自治体の例は、渋谷区のシステム障害の記事 にまとめています。
会社・情シスが今日やること
大阪公立大学とやりとりのある部署(営業・研究・採用など)で、10月2日以降に大学へ送った大事な連絡を洗い出し、届いたかを電話で確かめる
大学の知らせは、メールやSNSのリンクからではなく、エントランスページ(e.omu.ac.jp)からたどって開くよう社内に伝える
自社の社内メールとチャットが同時に止まったときの連絡手段を決め、社員の同意を取って連絡先の控えを社外に置く
公式ドメインのどこから告知ページへ案内するかを決め、告知ページのアドレスを社員と主な取引先に前もって知らせる
第一報の文面(起きていること・影響・問い合わせ先・次の連絡の時刻)を、次の文例集の「障害の発生と復旧」を書き換えて用意する