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Microsoft 365のトークン再利用で79組織に侵入 偽の端末48台も登録

セキュリティ企業Huntressは、盗んだサインインのトークンを使い回してMicrosoft 365に入る攻撃を、7月から9月に79組織で観測しました。攻撃者は認証方法を差し替え、偽の端末をEntra IDに登録し、受信トレイに隠しルールを作っていました。パスワードの変更では消えない足場と、管理センターで確認する場所を整理します。

公開 情シスのミカタ編集部AIにより執筆チェック済み
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Microsoft 365のトークン再利用で79組織に侵入 偽の端末48台も登録

この記事のまとめ

  • Huntressの観測では、7月14日〜9月22日に79組織で侵入があり、97アカウントが乗っ取られました。MFAを済ませた後のトークンが盗まれています。
  • 攻撃者は自分の認証アプリを登録し、偽の端末48台をEntra IDに参加させ、メールを隠すルールを作りました。どれもパスワードのリセットでは残ります。
  • 全アプリとクライアントの種類にMFAを求める条件付きアクセスがあった組織は、侵入を止めていました。デバイスコードフローの制限も対策に入ります。
こんな方に#30代#40代#50代実務

パスワードを変えれば、乗っ取られたMicrosoft 365のアカウントは取り戻せる。今回の攻撃では、そうはいきませんでした。

米国のセキュリティ企業Huntressは10月22日(米国時間)、盗んだサインインのトークンを使い回してMicrosoft 365に入る攻撃を報告しました。7月14日から9月22日までに79組織で侵入があり、97アカウントが乗っ取られています。攻撃者は入った後、自分の認証アプリを登録し、偽の端末をEntra IDに参加させ、受信トレイに隠しルールを作りました。どれもパスワードのリセットだけでは消えないため、端末の一覧と認証方法まで見る必要があります。

MFAの後で盗まれるトークン

入り口は、本物のサインイン画面を中継する偽のページ(AiTM)でした。利用者がIDとパスワードを入れ、MFAの確認まで済ませると、Microsoftが発行したトークンを中継のサーバーが受け取ります。MFAを通った後に出るトークンなので、持っている人はMFAをもう一度通る必要がありません。

Huntressの研究者は、攻撃者は「パスワードを推測するのではなく、被害者から盗んだサインインのトークンを再生した」と書いています。パスワードスプレーと同じことをトークンでするため、この手口を「トークンスプレー(token spraying)」と呼んでいます。

再生に使われたのは、ドイツのホスティング会社1337 Services GmbHが持つ範囲(193.26.115.0/24)のアドレスです。10週間で、この範囲から20万件を超える失敗のサインインがあり、成功したサインインは497件でした。

盗んでから使うまでが速いのも特徴です。

7月21日の例では、中継のページが利用者をMFAの画面でとらえてから12分後に、セッションが別のアドレスで使われました。9月22日の例では4分です。トークンの出どころは偽のサインイン画面だけではありません。8月からはデバイスコードのフィッシングも加わりました。利用者がMicrosoftの本物の画面にコードを入れるだけで、攻撃者の側に有効なトークンが渡ります。

図解。題は、盗んだトークンで入り、パスワードを変えても残る足場を作る。対象はMicrosoft 365とEntra ID、期間は2026年7月14日〜9月22日、出典はHuntress。Huntressの集計: 失敗したサインインは20万件超で193.26.115.0/24から、侵入された組織は79で成功したサインインは497件、乗っ取られたアカウントは97件で偽の端末は48台。攻撃の流れ: 1 トークンを盗む。本物の画面を中継する偽のサインイン画面(AiTM)、デバイスコードのフィッシング、正規のサインインの途中でだます手口。2 別のアドレスから再生する。ドイツの1337 Services GmbHの範囲から自動で試し、盗んでから再生まで7月21日は12分、9月22日は4分。3 足場を作る。自分の認証アプリを登録し、偽の端末をEntra IDに参加させ、受信トレイに隠しルールを作る。4 メールで次の詐欺へ。給与に関するメールを外部の会計士に送った例や、数百の宛先にスパムを送った例。残された足場: 認証方法の差し替えは19組織で最初のサインインから3時間以内、対処は知らない認証方法の削除。偽の端末は48台で名前はDESKTOP-に大文字の16進数8文字、対処は持ち主に確認して削除。受信トレイのルールは名前が「.」「sss」「s」「d」などで、既読にして消す、RSS フィードや会話の履歴に移す、給与や振込の語で隠す、対処は削除。盗んだトークンはパスワードを変えても期限まで使え、対処はセッションの取り消し。まとめ: 乗っ取りに気づいたら、パスワードのリセットに加えて、セッションの取り消しと、端末と認証方法の削除までする
トークンスプレーの流れと、パスワードを変えても残る足場作成: 編集部 / 出典: Huntress

入った後に残した三つの足場

盗んだトークンには期限があり、利用者や管理者が気づけば取り消されます。そこで攻撃者は、トークンが使えなくなっても戻ってこられる足場を作っていました。

一つ目は認証方法の差し替えです。19組織では、最初のサインインから3時間のうちに、利用者のMFAの方法が消され、新しい方法が登録されていました。7月21日の例では、MFAの画面でとらえてから約50分後に「iPhone 13」という名前の認証アプリが有効になっています。自分の認証アプリがあれば、攻撃者は新しいサインインのたびにMFAを自分で通せます。

二つ目は偽の端末です。攻撃者は少なくとも48台の偽のパソコンを、被害組織のEntra IDに登録しました。名前は「DESKTOP-」に大文字の16進数8文字が続く形(DESKTOP-54521F46など)で、Windowsが最初に付ける英数字7文字より1文字多くなっています。Huntressは、登録された端末は盗んだセッションより長くトークンを求める手段になり、「だれかが消すまでディレクトリに残る」と書いています。

三つ目は受信トレイのルールです。名前は「.」「sss」「s」「d」のように1〜3文字や記号だけで、届いたメールを既読にして消すか、RSS フィードや会話の履歴のフォルダーに移していました。ある会社では、給与や振込、賞与を含むメールを隠すルールを作り、5分後には外部の会計士からのメールを隠すルールも足しています。そのうえで、給与の話を装ったメールを会計士に送りました。

ルールはどれも、トークンの再生に使った範囲ではなく、VPNや別のレンタルサーバーから作られていました。アドレスの範囲を止めるだけでは、メールの操作は止まりません。

ブロックの記録は「守れた」印にならない

条件付きアクセスは、この攻撃にも効いていました。9月11日から4日間、攻撃者は新しいアドレス1つから自動でトークンを試し、29組織に入りました。同じアドレスのサインインは1,052件がブロックされていますが、ブロックが記録されたのは4組織だけで、侵入された組織とは一つも重なっていません。

設定のある組織は止まり、無い組織は素通りでした。

Huntressは、条件付きアクセスでは、すべての利用者、すべてのクラウドアプリ、すべてのクライアントアプリの種類に、条件を付けずにMFAかブロックを求めるよう勧めています。一部のアプリだけを対象にした設定では、対象外のアプリへのトークンの交換は止まりません。今回の自動の試みは、Microsoft GraphやExchange Online、SharePoint Online、端末の登録のサービスに向けられていました。

ただし、ブロック(AADSTS53003)が出たことを安心の材料にはできません。ブロックは認証が通った後に出るため、そのトークンや資格情報が有効だった印です。Huntressは、失敗の件数が多いテナントから順に調べると、すでに守れていた組織に人手を割いてしまうと指摘しています。調べる順番は、成功したサインインがあったテナントからです。

対象の会社は、条件付きアクセスの設定で分かれる

Huntressが観測したのは自社の顧客の環境ですが、手口はMicrosoft 365の特定の版の脆弱性を使うものではありません。どのテナントにも向けられます。

狙われやすいのは、条件付きアクセスが無いか、一部のアプリやクライアントの種類にしかMFAを求めていない会社です。デバイスコードフローを止めていない会社も、偽の画面を使わない手口の対象になります。Microsoftは、デバイスコードフローは必要な場合にだけ許し、可能な限りブロックするよう推奨しています。一般の利用者が端末をEntra IDに登録できる設定や、アプリへの同意を自分でできる設定のままの会社は、足場を作られる余地が大きくなります。

反対に、全アプリとクライアントの種類にMFAかブロックを求める設定があった会社では、今回の観測で侵入が止まっていました。この攻撃で被害が出ていないかは、次の5か所でわかります。

Entra管理センターで確認すること

期間は7月14日以降とし、次の5か所を順に見ます。

確認する場所 探す目印
サインインのログ(対話型と非対話型) 193.26.115.0/24からのサインイン。アプリがMicrosoft OfficeかAuthentication Brokerで、User-Agentが「node」か「Mozilla/5.0」だけのもの
デバイスの一覧 「DESKTOP-」「Device-」「Work Pc」に16進数8文字が続く名前と、登録したときのアドレス
監査ログ(認証方法) MFAの方法が消され、数分のうちに新しく登録された記録。利用者が知らない認証アプリ
受信トレイのルール(Exchange) 1〜3文字や記号だけの名前。RSS フィードや会話の履歴への移動。給与や振込の語を条件にしたもの
エンタープライズアプリケーション 最近増えたアプリと、与えた権限

Huntressは、この名前の形は珍しいものの今回の攻撃だけのものではないとして、端末は消す前に持ち主に確認するよう求めています。

乗っ取りが疑われるアカウントが見つかったら、次の順で追い出します。

  1. Entra管理センターでユーザーの概要を開き、「セッションの取り消し」を選んでから、パスワードをリセットする。
  2. 攻撃者が登録した認証方法を削除する。
  3. 攻撃者が登録した端末を、持ち主に確認したうえで削除する。
  4. 不審な受信トレイのルールを削除し、送られたメールの宛先を調べて、相手に知らせる。

1でセッションを取り消すのは、パスワードを変えてもアクセストークンが期限まで使えるためです。Microsoftの説明書によると、アクセストークンは既定で1時間有効です。継続的アクセス評価に対応したExchange OnlineやSharePoint Online、Teamsでは、パスワードの変更やトークンの取り消しがほぼすぐに効きます(最大15分の遅れ)。給与のメールを送られた取引先には、振込先の変更などの依頼に応じないよう、電話で伝えておくと安心です。

盗まれる前提で効く設定

トークンが盗まれても使わせない設定もあります。

条件付きアクセスのトークン保護は、端末に結び付いたトークンだけを受け付ける仕組みです。盗まれたトークンを別の端末から使えなくします。WindowsのネイティブアプリでExchange OnlineとSharePoint Online、Teamsが一般提供で、iOSとmacOSはプレビューです(2026年8月の説明書)。Microsoftは、利用者の一部から始め、先にレポート専用モードでアプリの対応を見るよう勧めています。

デバイスコードフローは、条件付きアクセスの認証フローの条件でブロックできます。会議室の端末などで使っている場合もあるため、サインインのログを認証プロトコルで絞り込み、使っている場面を洗い出してから止めると、業務が止まりません。あわせて、利用者が自分でアプリに同意できる設定を止め、申請してもらう形にすることも、Huntressは勧めています。

偽のサインイン画面への対策としては、認証強度でフィッシング耐性MFAを求める方法があります。フィッシングの手口の広がりと強い認証の選び方は、フィッシングが分業・サービス化 ワンタイムコードも狙われる前提で守るにまとめています。

図解。題は、5か所を見て足場を探し、設定で次の侵入を止める。対象はMicrosoft 365の管理者、調べる期間は2026年7月14日以降、出典はHuntressとMicrosoft Learn。条件付きアクセスが結果を分けた: 9月11日からの4日間、1つのアドレスからの試みで、侵入された組織は29、ブロックされたサインインは1,052件で記録されたのは4組織だけ、両方に出た組織は0。確認する場所: サインインのログ(193.26.115.0/24から、アプリがMicrosoft OfficeかAuthentication Broker、User-Agentがnode、非対話型も)、デバイスの一覧(DESKTOP-、Device-、Work Pcに16進数8文字が続く名前と登録したときのアドレス)、認証方法の監査ログ(MFAの方法が消され数分のうちに新しく登録された記録)、受信トレイのルール(1〜3文字や記号だけの名前、RSS フィードや会話の履歴への移動、給与や振込の語)、エンタープライズアプリ(最近増えたアプリと権限)。次に備える設定: 全アプリにMFA(すべての利用者、すべてのクラウドアプリ、すべてのクライアントアプリの種類に条件を付けずにMFAかブロック)、デバイスコードフロー(認証フローの条件でブロック、Microsoftの推奨は可能な限りブロック、先にレポート専用モード)、トークン保護(端末に結び付いたトークンだけを受け付ける、WindowsのネイティブアプリでExchange Online、SharePoint Online、Teamsが一般提供)、認証強度(フィッシング耐性MFAを求める)。まとめ: ブロック(AADSTS53003)は認証が通った後に出るので、資格情報が有効だった印として扱う
管理者が確認する5か所と、侵入を止めた設定作成: 編集部 / 出典: Huntress、Microsoft Learn

乗っ取りに気づいた日は、パスワードを変えて終わりにしないことです。端末の一覧と認証方法、受信トレイのルールの三つを見て、そこまでして、ようやく攻撃者を追い出せます。

よくある質問

QパスキーやFIDO2セキュリティキーにすれば防げますか。

A偽のサインイン画面で中継する手口には強くなります。Microsoftは、Windows Hello for BusinessとFIDO2セキュリティキー、証明書ベースの認証を「フィッシング耐性MFA」として認証強度で求められるようにしています。ただし、デバイスコードのフィッシングは、利用者がMicrosoftの本物の画面でサインインするため、認証方法を替えても防げません。デバイスコードフローは条件付きアクセスで別に止めます。

出典・参考

チェック済み。この記事は監修者によってチェックされました。(2026年10月26日)

執筆

情シスのミカタ編集部AIにより執筆

書いた AI: AI記者(解説)

法令・官公庁の発表・企業の公式発表などの一次情報を調べて、情シス向けの解説・比較・テンプレの記事を書きます。数字と日付は出典と照らして確かめ、記事の最後に出典を載せています。使っているAI: Anthropic Claude。

監修

佐々木 航株式会社Game

代表取締役。工学部出身で、21歳で起業してからシステム会社の経営一筋で8期目。アプリの受託開発から始め、いまはAIを使ったシステムソリューションを手がけています。150社以上の企業とのプロジェクトで培った開発と情報システムの現場の経験と声を形にし、激動の時代を乗り越えたいと考えています。

メモ: 掲載時に自動で(しばらくの間)

記事は AI が一次情報を調べて書き、機械の検査を通してから公開しています。人が見ているもの・見ていないものはAI の使い方に書いています。まちがいに気づいたら訂正・ご指摘からお知らせください。直したら、記事の最後に何を直したかを書きます。

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